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「紅柊(R-15~大人向け)」
癸巳・秋冬の章

鮫ヶ橋の女・其の参~天保四年十二月の悪女(★)

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―――――山田浅右衛門かその娘の首でお代は払ってもらおうか。

 中年の男の硬く、長大な逸物に貫かれたまま、夕波は邪悪な笑みを浮かべた。饐えた臭いが漂う狭い部屋の中、男を喰らわんばかりにぺろり、と舌舐めずりするその舌はまるで蛇のように忌まわしい。他人の首を所望しながら笑みを浮かべるその毒気に中てられたのか、夕波の蜜壺を貪っていた男の腰が不意に止まった。

「おや、不満なのかい?恨みも何も無い同心二人も殺しておいてさ。だったら憎んでいる相手の一人や二人、どうってことはないだろう?」

 唄うように語りかける夕波の言葉に男は興味をそそられたのか、上体を倒し夕波の顔に己の顔を近づける。

「別に殺るのは訳ないが・・・・・なかなか面白いことを言う女だな。恐ろしくないのか?自分の一言で他人の首と胴が離れることが・・・・・。」

 男がさらに何かを語ろうとしたその時、夕波の唇が男の唇を塞いだ。さらに近づいてきた男に絡みつくように、夕波の腕が男の首に回される。獲物を捉えた女郎蜘蛛の如く男を逃さぬよう絡めとると、夕波は自らの舌を男の口にねじ込みその舌を強く吸った。絡まり合う舌はさながら蛇の情交のようにねちっこく、淫猥に互いを求め合う。狭苦しい、煤けた小屋の中にくちゅくちゅと下品な濡音と荒い息遣いだけが響き、互いが融け合って一つになりそうなほど情熱的な接吻がいつまでも長く続く。

「・・・・・そりゃ、恐ろしいさ。血塗れの生首は。」

 男の唇をようやく開放した夕波が喘ぐ息の下からいたく。接吻の所為かそれとも生首が欲しいと言った自分の言葉に酔っているのか定かでないが、その頬は興奮で紅潮し艶めいている。

「でもさ・・・・・あの女がわっちの馴染みと乳繰り合っていなけりゃわっちはこんなところに流れちゃいなかったんだ!その恨みを晴らすにはあの女の生首が必要なのさ!」

 ぎりぎりと歯ぎしりをしながら、夕波は悔しげに男に訴えた。逆恨みも甚だしいが、遊波としては『あの女さえいなければ今頃吉原で御職を張っていた』と言いたいらしい。それに気がついた男は、夕波以上に禍々しい薄ら笑いを浮かべながら夕波の耳朶に唇を近づける。

「果たしてそうかな?お前は絶対に遅かれ早かれこの場所に・・・・・鮫ヶ橋に流れ着いていたはずだ。」

 夕波を馬鹿にしたような男の一言に、夕波はかっとなる。

「一体どういうことだい!わっちがそんなろくでなしに・・・・・・・ああっ!!」

 怒鳴り、男の首筋に噛み付こうとしたその刹那、不意に夕波の乳首から甘く、激しい痺れが全身に駆け巡った。いつの間にか夕波の乳房を弄んでいた男の指が、少し強めに夕波の乳首をつまみ上げたのである。そして捻るように刺激を加え続けると、夕波は怒鳴りつけるのも忘れ、その刺激に身を委ねてしまった。その反応に男は満足し、もう片方の手を夕波の太腿に滑らせる。そこはすでに夕波が垂れ流した濃密な蜜で濡れ、快感に打ち震えていた。

「夕波よ・・・・・お前みたいな性悪が大人しく吉原で年季を全うするとは思えねぇ。絶対に何かやらかしていたはずだ。」

 男は夕波の耳許で囁くと、そのまま舌を差し入れる。その蛭のような感触に一瞬気味悪さを覚えた夕波だったが、それもすぐに快楽にすり変わっていった。まるで蜜壺に出し入れされる逸物のように夕波の耳を出入りする男の舌は、耳朶の襞をなぞり、舐め回し、しゃぶり尽くす。ただそれだけなのに、夕波は先程以上にあられもない声を上げ始めた。

「あうっ!おおうっ!」

 先程隣から聞こえてきた獣のような嬌声に負けず劣らずの雄叫びが夕波の口から飛び出す。だが、本当の快楽はここからだった。

「さっき見たところじゃ、こちら側は『生娘』のようだな。」

 男は舌と歯で耳朶を嬲りながら囁くと、密やかに息づいていた夕波の菊座につぷり、と人差し指を差し入れたのである。元々仕込んでいたふのりと自らが垂れ流した愛液のせいで、男の指はすんなりと夕波の菊座に飲み込まれてしまった。

「だめぇ、そこはっ!いやぁ、抜いてぇ!!」

 本来ものを受け入れるべきでない部分を責められ、夕波は逃げようとする。だが、蜜壺が男の逸物によって貫かれているため逃げるどころか自由に動くことさえ叶わない。それを良い事に男の指は夕波の菊座で蠢き、内壁を引っかき始めた。

「もう、いやぁ・・・・・ああんっ、そこぉ、堪忍・・・・・・!」

 男が菊座を虐めるたび夕波の蜜壺は強く男の逸物を締め付け、最初こそ本気で嫌がっていた声にも甘ったるい快感が含まれ始める。普段男を翻弄する立場の娼妓だけに、落ちてしまえばその快楽にとことん溺れてしまう。夕波が本当の意味で男の手中に堕ちるのも時間の問題であった。

「これくらいでへばってどうするんだ?そのうちこっちの穴で俺を受け入れさせるんだから覚悟しておけ。お前は口も使えるし・・・・・何なら俺の手下と数人で相手をしてやろうか?好きもののお前の事だ、俺一人の魔羅じゃ物足りないだろう。」

 男はあえて夕波を蔑むような言葉を吐きながら再び腰を動かし始める。すると夕波の声は更に大きくなり、蜜壺も菊座も激しく収縮を繰り返し続けた。明らかに本気で感じている―――――それを確信した男は内心ほっと胸を撫で下ろす。

(これで少しは裏切ろう、って気もなくなるだろう。)

 高札に貼り出されるようなお尋ね者を奉行所に密告すれば、それ相応の報奨金が与えられる。それを知ったらこの女は間違いなく八丁堀に密告するに違いない。それを無くすには、金と快楽で縛り付ける・・・・・今までの経験から男は確信していた。

「いいか、裏切るんじゃねぇぞ。裏切らなければ金も快楽も与えてやる。だが、もし裏切ったら・・・・・。」

「うら・・・・・ぎったら?」

 与えられる続ける快感に溺れながら、夕波は男に聞き返す。

「ずたずたに切り刻みながら姦りまくってやる。原型を留めないほどにな。」

 幸の母親・真由をそのように犯し、殺したように―――――その時の興奮を思い出したのか、男の腰の動きが更に早くなる。その激しい動きのせいか、はたまた男の脅しとも取れる発言のせいか、夕波の蜜壺の締りは更に強くなり、男の逸物を食いちぎらんばかりである。その強すぎるほどの締め付けに満足気な笑みを浮かべ、男は夕波の耳に唇を近づけた。

「俺の名は新實益五郎だ。覚えておけ。もし誰かにその名前を聞かれても、客として来ているが知らないと言っておけばいい。」

 だが、夕波にその言葉は半分も届いていなかった。蜜壺や菊座、その他の場所から与えられ続ける快楽に神経は爛れ、ただひたすら快楽を貪るだけの『モノ』に堕ちてしまった夕波に、新實に逆らうという考えは微塵も浮かばない。

「わ・・・・・判ったからぁ!はやくぅ!早くいかせてぇ!!」

 この快感を貪れるのなら、地獄の悪鬼にだって魂を売っても構わない。夕波は更に強く新實を抱きしめると、蜜壺と菊座に力を込める。

「うっ!」

 その瞬間新實の体が硬直し、夕波の膣内で熱い迸りが弾け散った。ゆっくりと新實が己の逸物を夕波の蜜壺から引き抜くと、蜜壺からどろりと白濁が零れ落ちる。

「いいか・・・・・金と快楽が欲しかったら奉行所に俺のことは密告するな。その代わり、それ以外は何をしてもいい。他の男と寝ようがどこに引っ越そうがお前の自由だ。判ったな?」

「・・・・・ああ。その代わり、わっちがさっき頼んだ首も忘れないでおくれよ。」

 どうやら夕波の恨みは新實が想像していたより根が深いようである。新實は苦笑いしながら頷き、再び夕波の唇を貪り始めた。



 定廻りの幾田が山田邸にやってきたのは、知らせを出してから半刻後だった。息を切らせているところをみると、かなり急いでやってきたらしい。

「幾田さん、早かったですね。お務めは?」

 玄関まで出向いた五三郎が幾田に尋ねるが、幾田は『奉行所から逃げ出してきた』と草履を脱ぎ捨て屋敷に上がり込む。

「そんなもん、ほっぽり出してきたに決まってんだろ!何せ恭四郎が『良いネタ』を掴んだってぇんだからよ。ところで恭四郎は?」

「こっちです。澄庵さんに手当を受けてようやく一息ついたところだから丁度いいかも知れません。」

 五三郎は幾田に恭四郎の状況を伝えながら二人がいる部屋に幾田を案内した。

「おい、恭四郎。待たせたな・・・・・にしてもひでぇ怪我だ。そんだけの怪我を負った上に『良いネタ』ってぇんだから相当なんだろ?」

 幾田は恭四郎を一目見るなり顔を顰める。それくらい恭四郎の怪我はひどいものだったのだ。そんな怪我を負いながらも命からがら逃げ切り、幾田に知らせなければならないことがあるのだろう。幾田は恭四郎の前に座り込み話を促した。

「へぇ。あの男が・・・・・新實が江戸に帰ってきてたんです。俺が奴を見つけたのが鮫ヶ橋のすぐ近くでした。で、そのまま後をつけて行ったら、鮫ヶ橋のやくざどもに袋叩きにされちまいまして。でも、奴がどこに転がり込んだかは突き止めました。」

 そして恭四郎は新實が吉原崩れの娼妓・夕波のところに転がり込んだことを幾田に報告した。

「・・・・・なるほど。その、夕波とかいう女が奴の情婦、ってところか。」

 恭四郎の話を聞いた幾田は深刻な表情で恭四郎に尋ねた。

「いえ、そこまでは・・・・・一見の客なのか、それとも馴染みなのか確認したくって、ちょいと奥へ回ったら・・・・・。」

「らしくもねぇドジを踏んだってことか。まぁ、そこまで突き止めりゃ上出来だ。どっちにしろ、お尋ね者がそう長く江戸に居るとも思えねぇし、情婦がいるとしても暫くは鮫ヶ橋に近づかないだろう。」

 幾田の推理に恭四郎と澄庵は頷いたが、ただ一人五三郎はその推理に異を唱える。

「もしかしたら女のほうが鮫ヶ橋から離れるかも知れませんよ。何せこずるい女ですからね。俺もさんざん煮え湯を飲まされましたし。」

 半分は自分の恨み節もこもっているような五三郎の言い分に、幾田は思わず失笑を零した。

「そんなに袖にされていたのか。そんなろくでなしの淫売に振られまくってたぁ、相当もてねぇんだな、おめぇは。」

 幾田の混ぜっ返しにその場にいた者たちが笑い出す。

「ひでぇな、幾田さん。勿論それもありますが、幸の奴があの女に鉄瓶に沸いた湯をぶっかけられそうになったんです。尤もあいつのはしっこさが幸いして難を免れましたけどね。」

 五三郎の言葉に、笑っていた男達は不意に真顔になった。

「確かに、お幸ちゃんはおなごにしておくのが惜しい逸材だと六代目も言っているが・・・・・にしてもひでぇ女だな。ま、ある意味同心二人を殺した男に似合いの女、ってところか。」

 幾田は腕組みをしながら眉間に皺を寄せる。そうやって渋い表情で黙りこくっていればなかなかの男前なのだが、いかんせん軽妙すぎる口が災いしてその印象が薄い。

「・・・・・恭四郎、おめぇは暫く鮫ヶ橋に近づくな。他の密偵を使う。」

「承知しやした。澪の奴に心配をかけさせたくもありませんし・・・・・暫くは大人しくしておりやす。」

 恭四郎は幾田の言葉に素直に頷いた。



 天保四年は飢饉に悩まされた年だった。だが、その飢饉よりも恐ろしい存在が江戸の闇に跋扈している。五三郎を始め、男達はその影に身震いを覚える。

「近いうちに・・・・・お白州に引っ張り出さねぇとな。でなけりゃ奴に殺された仏達もうかばれねぇ。」

 幾田の言葉に全員が深く頷く。できることなら『災い』は年を越すことなく消してしまいたいものだが、そう簡単に消せないものもある。根深い飢饉と立ち向かうように、新實とは根気強く戦い続けなければならないのだ。男達はゆらゆら揺れる御事納めの上げ笊を見つめながら、腹を据えたのだった。



UP DATE 2012.12.18

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今年最後の『紅柊』は何とな~く後味が悪いものになってしまいました(>_<)しかし天保四年という年自体が天保の大飢饉の初年であり、幕府崩壊への萌芽の年でもありますので、ある意味この年らしい終わり方なのかもしれません。
そしてこの年の大飢饉以上に災いの種となりそうな新實と夕波・・・・・この二人の関係もこれからになります。食うか食われるか、獣のようなCPに私が潰される可能性もありますが、こいつらの最期まで書かないことには江戸の平和はやって来ませんのでそこのところは頑張ります(^_^;)それを可能にするのが今回登場の四人―――――幾田、五三郎、恭四郎、澄庵になるんでしょうねぇ。

次週は新作拍手文(時代は明治終盤、以前お試しで書かせていただいた『BAD TASTE』の続きとなります』、新年早々1月1日は家庭の事情(ヘルパーさんがお休みなのでいつも以上に介護に出なきゃいけない)の為、お休み、または短編の何か、紅柊通常更新は1/8からになりますv新年なので可愛らしい話(エロ含む)にしたいなぁ。

今年一年紅柊をご贔屓にしてくださってありがとうございましたv来年もまたよろしくお願いしますm(_ _)m
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