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「紅柊(R-15~大人向け)」
甲午・秋冬の章

ならずの御職・其の参~天保五年七月の片恋(★)

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 見世の縁側の隅に置かれた行灯の灯りが庭の厠を微かに照らす。輪郭の半分が闇に溶けかかっている見世の者用の厠の中、男の洗い息遣いと湿ったものを擦るような音が続いていた。

「花魁・・・・・清波花魁・・・・・!」

 切なげな溜息と共に溢れる声は、油差の辰治郎のものであった。皆仕事が忙しいのか厠には辰治郎しかおらず、それを幸い辰治郎は自らの妄想に没頭する。

(もし俺が大店の息子だったら・・・・・間違いなく清波花魁に三つ重ねを送っている筈だ。)

 そう思いながら目を瞑った瞬間、辰治郎の瞼の裏が緋色に染まる。その緋色はいつの間にか三つ重ねの緋色の敷き布団に変化し、その上に長襦袢姿の清波がしとげなく横たわっていた。胸の膨らみは半ばまで露わになり、ほんの少しでその頂きまで零れ落ちるだろう。裾も派手にめくれ上がり、白粉を塗った内腿が緋色の布団に映えて艶かしい。

「辰治郎様、お情けを・・・・・おくんなんし。」

 妄想の中の清波は、艶然と微笑みながら辰治郎に手を伸ばし辰治郎の首に抱きついてくる。そんな積極的な清波を、辰治郎は抱きとめてやりながら、ふっくらとした清波の唇を強引に奪った。
 辰治郎の舌は清波の唇を強引にこじ開け、逃げようとする舌を絡めとる。甘く、柔らかなその感触を堪能しつつ清波の舌を吸ってやると、清波はくぐもった声を上げながら辰治郎の背中に爪を立てた。その反応に気を良くした辰治郎は、クチュクチュとわざと淫猥な濡音を立てながら清波の舌や唇を舐ってゆく。すると次第に清波もそれに呼応するように辰治郎の舌を吸い始めた。まるで蛇の情交のように絡まり合う舌同士の愛撫に、辰治郎の脳髄は蕩けそうになる。

「・・・・・行儀の悪い子だ、清波は。」

 散々清波の唇を貪った後、辰治郎は一旦清波の唇から自らの唇を離す。そして清波の小さな頭を抱きかかえながら、羽二重餅のような耳朶を軽く噛んだ。

「あんっ、くすぐったい。」

 清波はクスクス笑いながら辰治郎の腕の中で身を捩るが、辰治郎はお構いなしに清波の耳朶を舌でなぞってゆく。

「たったこれだけの愛撫に感じるなんて・・・これでは仕事にならないだろう、花魁。」

 辰治郎は清波の耳朶を舐り、舌でなぞりながら首筋に指を這わせた。


 あれは突き出し直後だったろうか。日本橋・井瀬屋の三番番頭が清波の首筋をしつこく責め立て、清波を翻弄した事があった。その日は以後の仕事が出来ないほど気を遣ってしまい、女将に以後気をつけるよう叱られたのである。
 勿論井瀬屋の三番番頭も無傷では済まさない。清波を使い物にできなくなるほど翻弄した井瀬屋の三番番頭は、辰治郎自らが仕向けて『お履物』―――――つまり出入り禁止にしてやった。
 本物の清波相手ならばやはり務め優先しなければならないので、弱い首筋をしつこく責め立てる事はできないだろう。だが、妄想ではそんな事を気にする必要もない。先走りに濡れる怒張を扱きながら、辰治郎は更なる妄想の深みに嵌り込んでいった。


 辰治郎は清波の首筋をねちっこく撫でながら胸許を寛げ、双の膨らみを露わにする。決して大きくはないが、辰治郎の掌にすっぽりと収まる膨らみは心地良い柔らかさと弾力を辰治郎に伝えてくる。そんな蕩けそうなほど柔らかな胸の頂きで、まるで意思を持っているかのように乳首だけは起立していた。

「こんなに先端を凝らせて。花魁、気持ちいいのか?」

 辰治郎は充血して凝った乳首を指で軽く摘み、転がしながら清波に尋ねる。

「そんな恥ずかしいこと・・・・・言わせないでおくんなんし」

 その瞬間、辰治郎が唇を寄せている耳朶が熱を帯びた。どうやら本気で感じ始めているのか、清波は頬だけではなく首筋や耳朶まで桜色に染めている。

「今更恥ずかしいなんて。俺と・・・・・花魁の仲じゃないか。」

 辰治郎は舐り続けている清波の耳朶に強めに歯を立てると同時に、充血し、凝り固まった乳首を強く摘んだ。

「ああっ!いいのっ・・・・・そこぉ!!もっとぉ!」

 同時に与えられた強い刺激に清波は派手に頤を仰け反らせる。これは確か河内屋の手代だ―――清波の耳朶に付けられた歯型と、あの本気の嬌声は今でも忘れない。『商売道具』である花魁の身体に傷を付けたと河内屋の手代言いがかりをつけて、二度と敷居を踏ませない様にしたのも自分だ。
 清波を傷つける者、溺れさせる者は一歳容赦しない―――――そんな辰治郎の嫉妬を知ってか知らずか、清波は辰治郎の愛撫に翻弄されていた。

「辰治郎さん・・・・・もう、堪忍。体の芯が熱くて、切ない・・・・・。」

 首を捻り、潤んだ目で辰治郎を見つめながら情けを乞う清波に、辰治郎は意地悪く囁く。

「堪え性が無いなぁ花魁は・・・・・まだまだこれからじゃないか。」

 そう告げた刹那、辰治郎は清波の左脇腹をぞろり、と撫で上げる。

「ひゃんっ!」

 ひときわ高い声を上げながら、清波は身体をぴくり、と跳ねあげる。

「あんっ!そこ、だめぇ!」

 作り声ではない、悲鳴に近い嬌声を上げながら清波は辰治郎に抱きついた。柔らかく蕩けそうな胸が辰治郎の身体に押し付けられ、細い足が辰治郎の脚に絡みつく。

「早う、お情けを・・・・・おくんなんし。わっちは、もう・・・・・。」

 快感に小刻みに震えながら清波は辰治郎を求める。だが辰治郎は清波の訴えを無情にも退ける。

「そんな媚を売っても駄目だ。お楽しみはこれからだというのに」

 辰治郎はにやり、と笑うと清波の脚の間に入り込み膝に手をかけた。そしてそのまま脚を大胆に開いたのである。

「辰治郎様・・・・・?」

 辰治郎が何をしようとしているのか解らず、清波は怪訝そうに辰治郎を見つめる。すると辰治郎は清波の一番奥深く―――――しとどに濡れそぼっている花弁に顔を近づけたのだ。

「こんなに濡らして・・・・・まるで素人娘じゃなか。」

 辰治郎は蜜を含んだ花弁を両手の指で摘むと、中身を全て曝け出すように押し開く。

「やっ・・・・・!」

 仕事柄、秘所を覗き見られることは多々あるが、奥の奥まで押し広げられることは滅多にない。恥ずかしさのあまり清波は脚を閉じようとするが、辰治郎はそれを許さず息づく花弁を開ききってしまった。
 未だ美しい朱鷺色をしている花弁の奥、そこからは留まることなく花蜜が零れ落ちてゆく。花弁に含みきれず、後ろの菊花やむっちりとした尻にまで垂れる花蜜に辰治郎は欲情を覚える。

「まるで本物の花のようだな。こんなに美味しそうな蜜を滴らせて・・・・・食べてしまおうか。」

 辰治郎はまるで蝶のように花弁に顔を近づけると、ふっ、と軽く息を吹きかけた。

「あんっ」

 息を吹きかけられた途端、清波は辰治郎の頬を挟むように脚を閉じる。だが、辰治郎の愛撫から逃れられる筈もない。むしろ辰治郎の顔は蜜を滴らせている花弁に近づいてしまった上に、清波の脚の間に固定されてしまった形になる。
 それを良い事に辰治郎は舌を伸ばし、ぷっくりと膨れた清波の花芽を舌先でちろり、と舐め上げた。

「!!」

 清波は声にならない声を上げて身体を跳ね上げる。噂では品川あたりに通う浅黄裏が好む愛撫だというが、さすがにこの様な愛撫をする下品な浅黄裏は吉原に入ることはできない。
 だが、愛おしい清波の花芽や花弁なら舐め回し、吸いつくしたいと辰治郎は妄想する。そんな卑猥な妄想の中、清波は辰治郎の舌技にあられもない声を上げながら、花弁を押し付けるように腰を浮かした。潤いすぎた花弁は辰治郎の顎に食らいつき、芳しい花蜜で辰治郎の顎を濡らしてゆく。その激しい腰の動かし方に、辰治郎は清波がもうすぐ高みに到達する気配を感じ取った。

「花魁・・・・・!」

 自らも我慢ができなくなった辰治郎は、清波の脚を抱えるとそのまま腰を進め、蜜を溢れ出させている蜜壺に己の怒張を挿入した。
 奥の方に感じる挟み紙の感触と程よい締め付け、そしてまるで湯に浸かっているような温かさが辰治郎の逸物に纏わりつく。


―――――そんな妄想と共に自らの怒張を扱いている辰治郎の手の動きも徐々に早くなる。現実の辰治郎の限界もすぐそこまで近づいていた。

「花魁・・・・・こんなに惚れているのにっ!」

 苦しげな呻き声と共に、悲しいほど硬くなった逸物が更に膨らむ。そして次の瞬間、辰治郎は己の白濁を厠へと吐き出した。饐えた臭いが辺りに漂い、辰治郎は妄想から現実に引き戻される。

「おい・・・・・らん・・・・・。」

 めくるめく妄想の後に残るのは虚しい疲労感だけだった。辰治郎は浅草紙で手を拭くと、仕事へと戻っていった。



 盂蘭盆の時はそれぞれの家中が多忙な事、そしてさすがに殺生は出来ないからと、この間の刑の執行は無い。山田一門の門弟達も各々の家なり藩なりで盆の準備や墓参りで何かと忙しいのだが、そんな中でも道場に顔をのぞかせる者もいる。大概はまだ若い次男、三男坊なのだが、その例に漏れず五三郎も道場にやってきて出された真桑瓜に齧り付いていた。

「全くやってらんえぇよなぁ!」

 三切れ目の真桑瓜を食べ終えた五三郎は、傍に座っている幸に先日の出来事の愚痴を零す。

「間男じゃあるめぇし・・・・・何が哀しくて花魁が惚れている男の前で花魁を買わなきゃいけねぇんだよ。」

「まぁまぁ、兄様。気を静めて・・・・・」

 そう五三郎を慰めながらも、幸は笑いを堪えている。

「それにしても知らなかったなぁ。『ならずの花魁』にそんな秘めた恋があったなんて・・・・・今度清波花魁に聞いてみよう。」

「おいおい、それはまずいって!俺だって『内緒にしてくれ』って言われたんだからよ。」

 五三郎は慌てて幸に手を合わせる。勿論清波花魁との約束はあったが、それ以上に幸に自分の敵娼を訪ねられてしまう気恥ずかしさの方が勝る。

「なんだぁ・・・・・つまらないなぁ。」

 不満そうな顔をする幸だったが、五三郎は必死だ。

「いいか!絶対に言うんじゃないぞ!解ったな!おめぇだから教えたんだぞ!そこのところを理解しろよ、幸!」

 しつこすぎるくらいにきっちり念を押す五三郎だったが、五三郎の願いは翌日あっさり潰える事になる。



UP DATE 2013.7.17

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『ならずの御職』、第三話は辰治郎の妄想ワールドになってしまいました(^_^;)しかもちょっとオフで遊びに行っちゃって慌ただしく書いてしまったので想像していたものより生ぬるい・・・・・妄想なんだからもうちょっと過激でも良かったかな~と反省しております(^_^;)でもあまり過激すぎるとドン引きされるし・・・・・さじ加減が難しいと思う今日このごろです(-_-;)

愛しい人が他の男に抱かれる姿を見つめながら自分は触れることさえ叶わない―――――そうなるとやはり逃げこむのは妄想の中になるでしょう。闇に溶ける厠の中、悲しすぎる妄想ですが今の辰治郎にはこれが精一杯なのです(>_<)花魁の年季が明けて、男女の関係になることが許されるようになったとしても、果たして辰治郎が抱けるかどうかは微妙ですし・・・・・その前に身請けされちゃったら絶対に抱くことはできませんし(^_^;)

この続編は来年のお正月あたり、清波花魁の年季明けを待って書きたいと思います(^^)
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