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「紅柊(R-15~大人向け)」
乙未・春夏の章

業火の恋情・其の参~天保六年一月の決意(★)

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 早咲きの梅がちらほらと咲く時期とはいえ夜はまだまだ寒さが堪える。羅生門河岸の路地の最奥、ただでさえ日当たりの悪い清波の局見世も普段は底冷えし、部屋の中にいても震えが来るほど寒い。
 だが、二畳ばかりの小さな部屋は今、積年の想いを叶えようとしている二人のむせ返る熱気に包まれていた。

「た、辰治郎・・・・・・さ、ん」

 自らの乳房の上を這いまわる唇と舌から与えられる快感に耐えられず、清波は辰治郎の頭を抱えるように抱きしめる。仕事柄、同じ様な愛撫は数え切れないほど受けてきたが、辰治郎の舌使いはそれらとは全く違うものだった。
 辰治郎の舌使いは清波の奥底に眠っていた女の本能を強引に引きずり出し、残酷なほど露わにしてゆく。決して激しいものではないが、清波を徐々に煽り、昂らせていく柔らかな舌先は清波の乳房を快感にうち震わせてゆくのだ。

「はぁ・・・・・・うんっ」

 辰治郎の手練の所為か、それとも幼き日より想い続けていた恋情の所為か。嬌声にもならない甘い吐息が、半開きになった清波の唇から零れる。その吐息に気を良くした辰治郎は一旦顔を上げ、欲情に潤んだ清波の瞳をじっと見つめた。

「花魁、本気で感じてくれているんですね」

 恵比寿屋付きだった娼妓を母に持つ、廓生まれの廓育ちの辰治郎である。女が本気で感じているか否かなどすぐに判る。そんな辰治郎の目から見ても、清波の感じ方は尋常ではなかった。
 徐々に昂らせていこうと唇以外、清波が弱い部分は敢えて外して可愛がっているのに、既に蕩けきった表情を浮かべ辰治郎の腕に堕ちている。百戦錬磨の娼妓とは思えぬ初心な小娘のような清波の溺れ方に、辰治郎は愛おしさを覚えた。

「じゃあ・・・・・・これはどうですか、花魁」

 辰治郎の男にしては細い指が清波の左脇腹を撫で上げ、それと同時に屹立した乳首を甘く咬む。どちらも以前、清波が仕事中に本気で感じそうになった愛撫だ。

「あふっ・・・・・・ん」

 辰治郎の歯が紅く充血した乳首に触れた瞬間、悲鳴にも近い嬌声を上げて清波は頤を仰け反らせた。咬まれた乳首からは初めて感じる強い痺れに似た快感が走り、身体の芯を貫いてゆく。その快感は清波の全身を桜色に紅潮させる熱に変わり、辰治郎の手や唇を伝って彼に還っていった。

「花魁・・・・・・もしかして本気で気を遣ってしまいましたか?」

 清波の熱を感じた辰治郎は乳房を愛撫していた唇を離し、清波の耳朶に顔を近づけながら囁く。その、ほんの少し意地悪さを含んだ甘い囁きに清波は小さく頷いた。

「もう、わっちを弄ぶのはやめておくんなんし」

 清波は辰治郎の腕の中で身悶えながら訴える。だが、その訴えを本気だと受け取るほど辰治郎は野暮ではなかった。熱を帯び、桜色に染まっている清波の耳朶に舌を這わせつつ、辰治郎は清波の可愛らしい訴えを退ける。

「弄んでなんていないですよ。俺はただ、花魁に惚れているだけ・・・・・・こんな極上のご馳走を目の前に遠慮なんてしていられるはずもないでしょう」

 辰治郎は耳朶からそのまま清波の首筋に唇を下ろしてゆく。そこは清波の弱い部分であり、案の定清波は愛らしい吐息を漏らしながら辰治郎を潤んだ目で睨みつける。

「あんっ、もう・・・・・・そうやって、人の弱いところばかり・・・・・ふぁっ!」

 さすがに身体が持たないと、清波は辰治郎から与えられる愛撫から逃れようとするが、そんな清波を逃すまいと辰治郎は強く抱きしめた。その瞬間、熱り立った辰治郎の逸物が着物越しに清波に押し付けられる。

「辰治郎さん・・・・・・こん、なに?」

 辰治郎の分身の硬さ、そして大きさに気がついた清波が驚いたように辰治郎を見つめた。それは清波が経験してきた中でも上位に入るに違いない。そんな驚く清波に対し、照れくさそうな笑いを浮かべつつ辰治郎は清波に頬をすり寄せた。

「そりゃ、当たり前でしょう。ガキの頃から惚れていた花魁を抱いている最中なんですから」

 辰治郎はそう言いつつ、清波の目に触れぬよう身体を密着させたまま自らの着物の裾をまくり上げ、下帯をずらそうとする。だが、それより早く清波の手が辰治郎の逸物に伸びてきたのだ。

「お、花魁?」

 予想していなかった清波の行動に、辰治郎は狼狽する。だが、清波は潤んだ大きな目で辰治郎を見つめつつ、切なげに訴える。

「わっちだって初めて会った日からずっと・・・・・辰治郎さんに惚れていんした。わっちだって辰治郎さんが・・・・・・欲しい」

 その言葉と同時に清波の手が辰治郎の逸物を下帯から引きずり出す。そして白魚のような細い指を熱り勃った怒張に絡めると、愛おしそうにしごき出したのである。

「お、花魁、やめ・・・・・・うっ!」

 今の辰治郎の状態では素人の拙い手管でさえもあっという間に果ててしまうかもしれない。それなのにこの瞬間、辰治郎の逸物に絡みついているのは『ならずの御職』と言われた清波の細い指なのだ。男の性感を的確にとらえた手練手管に、さすがの辰治郎も耐え切れなくなる。

「お、花魁!もう・・・・・・果てしまう、から・・・・・・」

 苦しげに呻く辰治郎を、清波は悪戯っぽく辰治郎の耳許で囁いた。

「さっきのお返しですよ。悪さばっかりして・・・・・・」

 先走りに濡れる鈴口を指先で嬲り、細い指が敏感な裏筋を撫で上げる。絶妙な力加減で逸物を扱く清波の手の中で、辰治郎の怒張は激しく脈打ち、今にも爆発しそうだ。欲望と快楽の塊と化した逸物に意識を集中してしまえば間違いなく辰治郎の白濁は清波の手を汚してしまうだろう。だが清波は与えられた玩具を離さない子供のように辰治郎の逸物から手を離そうとしなかった。
 このままではいけないと、辰治郎は意識を逸らす為に清波の身体を撫でていた手を一旦離し、着物の裾をめくり上げる。そして程よく脂の乗った太腿に手を這わせながら、秘められた場所へと手を伸ばした。

「あんっ」

 辰治郎の指が清波の整えられたひこばえに触れた瞬間、清波は小さな声を上げる。その声には隠しようのない欲情が滲んでいた。その声に清波の昂ぶりを確信した辰治郎は、ひこばえを撫でつつ清波にねだる。

「花魁、足の力を少し抜いて・・・・・・」

 辰治郎が何を求めているか感じ取った清波は、恥ずかしげにおずおずと閉じていた足の力を少しだけ抜く。それと同時に辰治郎の指がさらに奥へ入り込み、清波の花芽を探り当てた。並の男だったら強引に繊細な部分を貪るところだが、そこは廓の男である。逸る気持ちを抑えつつ、辰治郎は清波を傷つけぬよう絶妙な力加減ですっかり膨らみきった花芽を柔らかくこすりあげた。

「あっ・・・そ、そんな、だめぇ!」

 力加減こそ柔らかいものだったが、与えられる快楽は今までにない強く、激しいものだった。辰治郎のひと撫でに清波は身体をぴくん、と跳ね上げる。

「も、もう堪忍・・・・・・あんっ!」


全身が麻痺したかのような強く、甘い痺れに清波は声にならない嬌声を上げ、辰治郎にしがみつく。だが辰治郎は愛撫を止めること無く、とろとろと蜜が溢れ出ている蜜壺へ指を差し入れた。

「花魁、こんなに濡れて・・・・・・まるで初心な地女じゃないですか」

 辰治郎は清波を煽る言葉を吐くと、わざと大きな音を立てながら指の出し入れを始める。その音は間違いなく隣の真津衣の部屋にも聞こえるだろう。それに気がついた瞬間、羞恥と快楽に昂った清波は辰治郎に強く抱きつき、その背中に爪を立てた。その激しい抱きつきに何を思ったのか、辰治郎は急に指の動きを止め、低い声で清波の耳許に囁く。

「指じゃ・・・・・・物足りませんか?」

 情事の最中のおなごへの問いかけとしてはあまりにも意地悪で残酷な問い――――――だが、快楽に溺れて掛けている清波はこくり、と素直に頷いてしまった。



 行灯の灯りがゆらりと揺れる。その灯りの下、帯を完全に解いた清波のすべてがさらけ出された。そして帯を解き、鰹縞の長着を羽織っただけの辰治郎が清波に覆いかぶさり、熱くたぎった蜜壺に己の逸物を宛がう。

「じゃあいきますよ、花魁」

 この瞬間をどれほど夢見ていたであろうか。辰治郎はごくり、と息を呑んだ後、ゆっくりと逸物を蕩ける蜜壺に挿入した。

「はうっ」

 挿入した瞬間、まるで絡みついてくるような清波の蜜壺に辰治郎は甘い呻き声を上げる。そして辰治郎が感じた以上の快楽に清波は溺れていた。十年以上の想いが満たされた心の満足感と、辰治郎から与えられる肉体的な快楽が相まって、唇から熱っぽい嬌声が溢れ続ける。

「た・・・つじろう・・・・・・さん」

 もつれる舌で辰治郎の名を呼ぶ。その舌足らずな声が愛らしく、辰治郎は腰を使いつつ清波の唇を吸った。
 普通の男と違い、辰治郎の腰使いは緩急を絶妙に使いこなしたものだ。いつ、どんな動きになるかわからない分、清波はその動きに翻弄される。だが最初こそ余裕があった辰治郎の腰の動きも徐々に単調に、そして早くなってゆく。

「お、花魁!清波・・・・・・おい、らんっ!」

 ひときわ熱っぽい声で清波を呼んだ瞬間、辰治郎の身体は痙攣し、清波の中に熱い迸りは放たれた。その熱い迸りを体の奥で感じつつ、清波は避妊用の詰め紙を忘れていたことに気がついた。もし、子供ができたら―――――だが、仕事が出来なくなるという恐怖以上に、辰治郎との子供ができるかもという嬉しさが清波の体中に満たされる。

「辰治郎さん、わっちは・・・・・・幸せでありんす」

 嬉しさに満たされた笑みを浮かべ、清波は辰治郎を抱きしめた。

「俺もです、花魁・・・・・・やっと結ばれた」

 たった二畳の狭い部屋だったが二人にとってはどんな贅を尽くした部屋よりも幸せな空間だった。互いに腕を回し、柔らかな接吻を交わす。

「一度抱けば満たされると思っていたけど・・・・・・まだまだ足りないな。詰め紙も忘れてしまったし、いっそ所帯を持とうか?」

 辰治郎は清波を接吻から開放するなり訴える。その口調はすでに花魁に対する油差のものではなく、情人のものであった。

「今日はいつまで居られるの、辰治郎さん?」

 くだけた辰治郎の口調につられて清波も甘えた声で辰治郎に尋ねる。

「達四郎さんには明日の朝に帰るって言っておいたけど・・・・・・」

 その時である。遠くの方から半鐘のけたたましい音が聞こえてきたのに二人は気がついた。

「火事・・・・・・?」

 半鐘は次々と鳴らされ、遠くから火事を叫ぶ声が聞こえてくる。

「花魁、身支度を!もし吉原で火が出たのならここから逃げないと!」

 辰治郎の言葉に表情を変えた清波は慌てて着物を羽織る。そして二人は手を取り合い、小さな局見世から飛び出した。



 天保六年一月、吉原遊廓は大火に襲われる。晴天が続き乾燥しきった寒空の下、火は瞬く間に広がり、吉原のすべてを燃やし尽くそうと激しさを増す。辰治郎と清波、二人の恋情にもにた激しい炎はこの期の二人の運命を大きく変えていくことになる。



UP DATE 2014.1.15

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久しぶりの丸々一話エロ話になりました~ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
しかし愛し合っている同志のエロは無茶が出来ないのでどうしてもパターンが似通ってしまふ・・・(-_-;)これはひたすら勉強しかないのでしょうね。そこのところは頑張らせていただきますv
紆余曲折あった二人ですが、ようやく結ばれることが出来ました。しかしもう一戦!という時になって気がついた、けたたましく鳴る半鐘が(>_<)果たして二人は無事逃げ出すことができるのでしょうか・・・。
余談ですが史実ではもう少し後、一月の終わりに吉原遊廓で火事がありました。そこはフィクション、ちょっとだけ大目に見てくださいませ(^_^;)

次回は1/22、二人の運命が大きく変わってゆきます。
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