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「雑  記」
烏のおぼえ書き

烏のおぼえ書き~其の三十六・苗売り

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多少乱暴な言い方ではありますが、江戸の街はガーデニング天国でした。

地方に比べるとやはり殺伐としてしまう都会だからなのか、それとも日本人の農耕民族の本能なのか、上は江戸城二の丸の御花畠、下は下町の路地裏でアワビの貝殻に苗を植えて育てようとする者までいたとかいないとか・・・プラントハンター・R・フォーチュンの著作にその様子が詳しく載っていますが、どんな小さな家でも緑のない家は無かったそうです。

そんなガーデニング好きを狙って春の芽吹きの季節になると苗売りがやってきたそうです。近隣の農家で作られた野菜や花の苗が売られたそうですが、一番の得意先はなんと武家!
そう、経済的に逼迫していた彼らは農家から野菜の苗を購入し、それを広い敷地で自ら育てていたんです。きっとよっぽどの変人でもない限り、腹の足しにならないような花なんて購入しなかったのでしょう。う~ん、世知辛いなぁ(-_-;)
その一方、朝顔やヘチマ、おしろい花など狭い敷地でも育てることができて花を愛でることができる苗は庶民が購入していたそうです。そう考えるとどちらが心の余裕を持っていたのかいないのか・・・誰だか忘れてしまいましたが『庶民に生まれるなら日本人』と仰った方がいたそうです。こういうところからも何となく分かるような気がするなぁ。
ささやかな例ですが、こういうところからも日本の支配者階級というのはあんまり『美味しい』身分ではなかったような気がします。(現代でも海外のお金持ちに比べると日本のお金持ちはスケールが小さい気が・・・)

次回おぼえ書きは3/18、お彼岸の六阿弥陀巡りを取り上げたいと思います♪



【参考・引用文献】

お江戸の意外な商売事情―リサイクル業からファストフードまで (PHP文庫)


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