FC2ブログ

「VOCALOID小説」
Confession~告白~

ボカロ小説・Confession~告白~8.微笑むだけで・・・

 ←星龍旗の戦士達の物語~ケパロス星域の新米参謀官4 →拍手お返事&本当はオリジナルでほのぼのを書く予定だったのに・・・(・・?
「ってかさぁ、ルカっちの作った新曲歌ってたら、絶対めーこが優勝だったよね!公式のパーティじゃ言えなかったけど、カバー曲を歌ってあえて優勝を逃すというとんでもない暴挙に出た準優勝コンビにかんぱーい!!」

 テトの音頭と共に升酒が掲げられ、全員が一斉に口にする。ボカロ・アマチュア・ナイト公式の祝賀パーティを終えたあと、日本の関係者はグリニッチ・ビレッジに戻り、二次会という名の飲み会を始めていた。



 ボカロ・アマチュア・ナイトの結果だが、優勝したのはやはり会場を大いに沸かせたミリアムだった。
 メイコの歌唱力その他はミリアムを上回っていたが、カバー曲であることがコンテストという場で不利に働いてしまったのである。
 ボーカロイド得点では満点を叩きだしたメイコ&浅川ペアだったが、新曲でなかった事でボカロP得点が伸び悩み、僅差で準優勝という結果を招いたと審査結果発表時の総評で発表された。
 それを承知であえてカバー曲を選択した二人は充分満足していたが、それを不服としたのは決勝に進出できなかった仲間達である。特にテトはルームメイトのメイコの優勝を本人よりも願っていただけに、余計に腹立たしいらしい。

「ルカっちの曲、すっごく良いのにさ。何で決勝に自分の曲じゃなくてあんな古臭い歌を持ってくるかな」

 浅川ルカの実力ならば新曲で勝負すれば間違いなく優勝できたのにと、しつこくテトは食い下がる。しかしルカは全く気にも止めず、シャンパンを片手にクスクスとマシンボイスで愉快げに笑う。

「優勝ならいつでも出来るわ。だけどボーカロイドが本気で歌いたい曲に巡りあう確率は極めて少ないでしょ?今回、偶然とはいえそのデータが取得できたことは、優勝よりかなり価値があるから別にいいのよ」

 だが、ルカのその余裕綽々なところもテトにとって面白く無いらしい。ぷぅ、と頬を河豚のように膨らませルカに迫る。

「確かに『運命の歌』に巡り会えるボカロは少ないけどぉ、そんなに低い確率とも思えない!」

 するとルカは何を思ったのか、具体的な数字をテトに突きつけてきたのである。もしかしたら少し酒に酔っているのかもしれない。

「因みにその確率って試算してみたら0.0012%だったわよ。私が知っている限りでも全ボーカロイドの中でも10体いるかいないか、ってところかな」

「そ、そんなに少ないの!」

 唖然とするテトに、ルカは更に余計なことまで口走る。

「まぁね・・・・・・私と元ダンナが復縁する可能性よりはちょっと高め、ってところかしら」

 やはり酔っているのか、今までプライベートの事を殆ど口にしなかったルカがそれを口にする――――――それを聞きながらフクザワ・プロダクション所属の三人とメイコは顔を見合わせた。

「社長とルカさんとの復縁は無いって・・・・・・社長の精神衛生上的にはその方が良いのかもしれない」

 酔っぱらいに聞こえないよう、カイトが小声で呟く。そしてその一言にメイコ、ミク、ミクオの三人も強く頷いた

「だって、メールひとつに怯えてたぜ。あの大手事務所の遣り手社長がよ」

「私、前聞いたことがあるけど別れるときはかなり『シュラバ』だったみたい。でも社長のほうが奥さんに未練タラタラだったって咲音ちゃんが言っていた。あれは別れたというより社長が捨てられたんだって」

「っていうか、何で結婚したのかな?」

「それは聞いちゃいけないと思う・・・・・・でも聞いてみたい」

 浅川ルカと福澤が何故結ばれ、そして別れたのか判然とはしない――――――だが、少なくとも福澤よりルカのほうが立場が強いということだけは確かなようである。未だじゃれあっているルカとテトを見つめながら、四人は苦笑いを浮かべた。



 二次会は延々と続き、酔いつぶれたボーカロイド達は次々に管理棟のベッドに放り込まれたり、自分から充てがわれた部屋に入って行く。そして最終的に残ったのはメイコ、カイト、ミクオ、そしてテトとテッドの5人だけになった。

「今日でここも解散なんだよねぇ。もっと居たかったな~N.Y」

 ボカロ研究所アメリカ支部の窓から見える、華やかなN.Yの夜景を見つめながらテトが呟く。その頬は酔いでほんのりと赤い。

「あんたは呑める環境さえあればいいんでしょ」

 妖艶な笑みを浮かべメイコが指摘する。その手には大好きなエライジャ・クレイグのロックが収まっている。やはり最後にはここに行き着くようだ。

「めーこだって人のこと言えないでしょ。エライジャ・クレイグの瓶一気飲み、日本じゃ出来ないんだから!」

 テトの暴露を聞いた瞬間、メイコの隣に座っていたカイトの顔が青ざめた。

「え?そ、そんなことしていたの、メイコ?」

「うん、予選通過の時は一気に3本も空けちゃったしねぇ」

 テトの暴露にメイコも開き直ったのか、それを認める発言をする。

「あれは飲み過ぎだったぁ。ルカにも一本にしておけって怒られたもん」

「・・・・・・何かが違う気がする」

 ボソリとつぶやいたカイトに、ミクオも同調して頷いた。

「諦めろ、カイト。メイ姉の酒好きは今に始まったことじゃない・・・・・・それと、酒が入ったメイ姉を放し飼いにするんじゃねぇぞ。大変なことになる」

「大変なことって・・・・・・」

「てめぇで知ることだな」

 アラウンド・ザ・ワールドだろうか。手にしたショートカクテルを弄びながらミクオはぷいっ、とそっぽを向く。

「俺の腹への一発、泥酔メイ姉の世話一生分で許してやるよ」

「ずいぶんと安い一発だな。俺はメイコの全部を引き受けるつもりだけど」

 挑発するようなカイトの不敵な笑みをちらりと横目で見ながら、ミクオはちっ、と小さく舌打ちをする。

「・・・・・・強がりを言っていられるのも今のうちだけだぜ」

 『姉(メイコ)』をカイトに取られた『弟(ミクオ)』は、それでも満足気な笑みを浮かべて手にしたカクテルを飲み干した。



 コンテストが終わっておよそ一週間、マスコミからのインタビューやその他諸々の手続き、そして部屋の引き渡しなど目の回るような忙しさだった。
 そして11月4日、コンテストに出場した五人とカイトたち三人、更にテトのパートナーのテッド、合わせて九人がジョン.F.ケネディ空港の出発ロビーにいた。

「い~い、あんた達?」

 統括マネージャーと一緒に見送りに来たルカがまるで母親のような口調で告げる。

「一応全員ビジネスクラスにしておいたけど、あまり周囲に迷惑はかけないでね」

「はぁ~い!」

「それと!日本に帰ったらちゃんと研究所に行って今回のデータ解析をきちんとしてもらうこと!それでなくてもあんた達はアメリカに長居しすぎているんだから」

 どうやら日本から再三に渡り落選したボカロ達を日本に帰すように要請があったらしいのだが、『仲間(メイコ)を応援したい!』という情熱に負けて最後まで居続けを許してしまっただけに、その点はしっかりしてもらわないと困ると念を押す。

「今回管理棟に滞在していたボカロ達より、あんた達リトル・ジャパン組の方がかなり成績が良かったのは何故なのか――――――しつこいようだけど、それが本来の目的なんだから、逃げ出しちゃダメよ!」

 リトル・ジャパン組は絶対的な『命令』はともかく、あまり人間の言うことを聞かない。言うならばやんちゃな小学校低学年といったところだろう。だが、それでも彼らはそこそこの結果を叩き出した。一次予選落ちをした3人もあと数ポイント取得できていれば、という状況だったのだ。
 ボカロにしては人間に従順過ぎないところが今回の結果につながったのか、または別の要因があるのか、それは解析しなければ判らない。

「じゃあ、その気があったらまたいらっしゃい。次回は全員一次予選突破!特にメイコは優勝を目指すからね!」

「はい!」

 元気な返事がジョン.F.ケネディ空港にこだまする。アメリカのスタッフに見送られ、彼らが機上の人になったのはその30分後の事だった。



 思わぬ強風に到着が1時間遅れ、メイコのキャリーバッグが行方不明になってしまった除けば、ボーカロイドたちは無事日本に到着することができた。
 到着したのは11月5日の夕方で、さすがにこの時間から研究所に向かうのは無理がある。そこでコンテスト参加組の5人は都内でバラバラに宿泊、翌日各々ボカロ研究所に入ることとなった。

「不思議なこともあるもんだね」

 一週間の解析を終え、メイコのデータを分析した北堀が感心したように呟く。

「歌唱力に関しては浅川くんの訓練の成果もあるだろうからこんなものだと思うが・・・・・・中枢のダメージが殆ど無くなっているんだ。ここを出発するときにはアメリカの生活にも耐えられないかもしれないほどひどい状態だったが」

「そ、そんなにひどかったんですか!」

 人口羊水を抜く前にボカロ・プールから起き上がったメイコは、衝撃の事実に目を丸くする。

「ああ。君をあまり不安にさせないようにできるだけ穏やかな表現をしていたが、普通なら精神崩壊を起こしていただろうね。あの時、3年分の記憶の消去を勧めたのもその為だ」

 北堀は人口羊水に濡れたメイコの髪を撫でながら微笑む。

「巧のところのサードとのよりが戻ったのも大きいのかな」

 その瞬間、メイコは顔は勿論、体じゅうまで恥ずかしさで真っ赤に染まった。

「え、な、なんで北堀さんがその事を知っているんですか!もしかして私の蓄積データを読んだとか・・・・・・」

 メイコはあからさまに動揺するが、北堀は軽く首を横に振る。

「今日退院予定の君を迎えにきているんだ。うまい具合に休みが取れたってね、さっきから待合室で待っているよ、ほら」

 そう言って北堀が見つめた先には待合室と手術室を隔てるガラス窓があり、その向こう側ではカイトがこちらを覗きこんでいた。

「君のダメージの驚異的な復元は前例がない。これから時間をかけて全てのデータを洗い出してゆくが・・・・・・もしかしたらこれからのボカロたちにとっても大きな発見になるかもしれない」

 人口羊水を抜きながら北堀は父親のごとく穏やかに笑う。

「これからも色々な試練があるだろう。その時には私や浅川君、友人たち――――――そして彼に頼ればいい。一人で全てを背負い込むことは無いんだからね」

「はい・・・・・ありがとうございます」

 北堀の言葉に涙ぐむと、メイコは改めて自分を覗いているカイトを見た。その顔には優しい微笑みが溢れ、自分を包むように見つめてくれている。


――――――今度向かい合ったら 微笑むだけでわかる気がする


 あの歌の歌詞が胸に蘇る。確かに出会いは褒められたものではないけれど、似たもの同士の不器用な二人、これから少しずつ解り合えればいい。
 メイコはカイトに向かって微笑みながら立ち上がり、ガウンを羽織った。




Back   Next


にほんブログ村 小説ブログへ
INランキング参加中v
こちらはブログ村の小説ランキングにリンクしております。



こちらは画像表示型ランキングですv




案の定というかやっぱりと言うか、メイコ&浅川ルカペアは準優勝を勝ち取りましたワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
コレに関しては『ボカロPが新曲を作らず、カバー曲アレンジでお茶を濁した』と判断されたのでしょう。どんなに打ち込み技術が素晴らしくても新曲で勝負した他の2名のボカロPより劣ると判断されたのかもしれません。尤も拙宅の最凶ボカロPは『来年優勝するから構わない!』と豪語しておりますが(^_^;)

そして『歌いたい歌』はメイコのメカニカルな部分でも素晴らしい効果を上げたようです。理由は解らないものの、傷つき、修復不可能と思われていたメモリーが復活したという・・・これも愛の力でしょう(おいっ)不器用な二人の物語、ここまでお付き合い下さりありがとうございましたm(_ _)m

そして次回からはおまけのR-18( ̄ー ̄)ニヤリ
多分次の話が一番生誕祭らしいかもしれない・・・帰国したけど荷物が行方不明になってしまった11月15日夕方からの話、宜しかったらこちらもお付き合いいただけると幸いです(*^_^*)
(11月17日に一気に出せればいいんですが・・・2話続きになるかもです^^;)


関連記事
スポンサーサイト

 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png vague~道場主・作間駿次郎顛末記
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏虫~新選組異聞~
総もくじ 3kaku_s_L.png 紅柊(R-15~大人向け)
総もくじ 3kaku_s_L.png 葵と杏葉
総もくじ 3kaku_s_L.png 横浜慕情(大人向け)
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編小説
総もくじ 3kaku_s_L.png VOCALOID小説
総もくじ 3kaku_s_L.png 雑  記
総もくじ  3kaku_s_L.png vague~道場主・作間駿次郎顛末記
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏虫~新選組異聞~
総もくじ  3kaku_s_L.png 紅柊(R-15~大人向け)
総もくじ  3kaku_s_L.png 葵と杏葉
総もくじ  3kaku_s_L.png 横浜慕情(大人向け)
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編小説
総もくじ  3kaku_s_L.png VOCALOID小説
総もくじ  3kaku_s_L.png 雑  記
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
【星龍旗の戦士達の物語~ケパロス星域の新米参謀官4】へ  【拍手お返事&本当はオリジナルでほのぼのを書く予定だったのに・・・(・・?】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【星龍旗の戦士達の物語~ケパロス星域の新米参謀官4】へ
  • 【拍手お返事&本当はオリジナルでほのぼのを書く予定だったのに・・・(・・?】へ