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「VOCALOID小説」
Confession~告白~

ボカロ小説・二人きりのBirthday~Confessionその後・1

 ←拍手お返事&今夜からUPするボカロ小説新作は2~3話続き物になりそうです(>_ →烏のおぼえ書き~其の七十・十三詣り
「メイ姉、諦めようぜ。もう荷物流れてこないじゃん」

 ミクオの一言にメイコはがっくりと肩を落とした。自分達と共に帰りの飛行機に乗せたはずのメイコの荷物、それが無くなってしまったのだ。既にテトやリリィ達は自分達が所属する事務所や自宅に帰ってしまっていて、残っているのはメイコとカイト、そしてミクオとミクの四人だけである。

「もしかして荷物の中に大事なものが入っていたの?それ以外なら俺が揃えてあげるからそろそろここを出よう。マスコミも押しかけてきているようだし、あまり長いをすると迷惑になる」

 しょげかえるメイコの肩を抱きながら、カイトがメイコを説得する。その様子をミクオは背後から面白く無さそうに睨みつける。

「何気に亭主ヅラしてるんじゃねぇよ、このアイス野郎!」

 なまじ今までの二人の関係を知っているだけに、ミクオとしてはカイトの態度がいちいち面白く無い。いっそ後頭部に飛び蹴りの一つでも食らわせたい気分だが、そこは人目もあるのでやめておく。
 それよりもメイコがここまで自分の荷物に執着する理由は何なのだろう。それを聞こうとミクオが口を開きかけたその時、一番聞きたくない一言がメイコの口から飛び出した。

「・・・・・・エライジャ・クレイグ!免税上限ギリギリまで買い込んだのにぃ!」

 その瞬間その場の空気は凍りつき、ミクオがカイトに怒鳴りつけた。

「おい、アイス野郎!その酒乱ここから引きずってさっさと家に帰るぞ!メイ姉!一緒に待っていた俺達の時間返せ!」

「・・・・・・同感」

 すっかりメイコに甘くなってしまったカイトもこれだけは呆れたらしい。肩を抱いていた手を腰に回して抱えると、ずるずるとメイコを荷物到着レーンから引きずり始めた。

「そんなに嘆かなくてもお酒ならいくらでも奢ってあげるから。それよりここから出たらフラッシュに気をつけて。かなり眩しいよ」

「え、フラッシュ?」

 カイトが何を言っているのか理解できず、メイコがカイトに聞き返す。だが、カイトがその返事をする前――――――到着ロビーから一歩出た瞬間、眩いばかりのフラッシュの嵐がメイコを襲った。

「な、なに?わっ、眩しっ!」

 激しすぎるフラッシュに立ち竦み自らの目を覆うメイコを、カイトは守るようにそっと自分の胸に抱き寄せた。

「びっくりした?でもね、ボカロ・アマチュア・ナイトの準優勝者の凱旋帰国となればマスコミも押しかける――――――間違いなく君を取り巻く世界は変わったんだよ、メイコ」

 カイトは驚きに震えているメイコの耳許で優しく囁くと、到着ロビーから花道を作っているマスコミに対して叫んだ。

「すみませ~ん、俺の嫁、こういうのに慣れていないんで!できるだけお手柔らかにお願いしま~す!」

 いきなり飛び出したカイトの突拍子もない発言にメイコが目を丸くし、異論を唱えようとしたその瞬間、更に激しくフラッシュが焚かれる。
 ボカロ・アマチュア・ナイトの準優勝者を抱きかかえた、売れっ子ボカロの『俺嫁』発言となれば間違いなく明日のスポーツ紙や今週発売の写真週刊誌のTOP記事になるだろう――――――この男は絶対に解ってやっていると、メイコはカイトの腕の中でがっくりと肩を落とした。

(今日、絶対に厄日だ。買い込んだエライジャ・クレイグや手持ちの服は全部キャリーバッグの中だし、着替えを買うにしてもこんなにマスコミがいたんじゃ・・・・・・パンツ一枚買いにいけない)

 明日ボカロ研究所に入り、服は支給されるとしても、今夜は着の身着のままどこかのビジネスホテルに泊まらなければならない。いや、ビジネスホテルにさえたどり着けず、一晩中マスコミに追い掛け回される可能性だってある。
 歩いても歩いてもしつこく付きまとってくる記者やカメラマンに辟易しつつメイコが困惑していると、カイトがボカロ可音域ぎりぎりの小声で語りかけてきた。

「今日はこのまま俺のマンションに行こう。っていうか元々そのつもりだったけど」

「え?いいの?」

 確かに泊まるところがあるのはありがたいが、帰国早々押しかけるのも気が引けるとメイコが告げると、カイトは問題無いと笑顔を見せる。

「だってメイコは『俺の嫁』じゃん。むしろそっちのほうが自然だろ?」

 悪びれもせずに言い放つカイトにメイコは頬を赤らめ、斜め後ろでその甘ったるい囁きを聞かされたミクオは『けっ』と面白く無さそうに舌打ちした。



 タクシー乗り場でミクオ達と別れたカイトとメイコはそのままカイトのマンションへ向かう。だが、その後ろや横をパパラッチのバイクや車が取り囲み、相変わらずシャッターを切りまくっていた。目が眩みそうになるフラッシュの嵐に、カイトはタクシーの運転手に詫びを入れる。

「運転手さん、すみません。ちょっとマスコミに絡まれちゃって。こんだけうじゃうじゃいたら振り切るのは無理だと思うんで、潔く安全運転でお願いします」

 尋常じゃないフラッシュの量、そして道路交通法を無視した危険な運転に巻き込まれて事故でも起こされたら堪らない。だが、運転手は気にした風もなく法定速度を守りながら高速道路を走り続ける。

「ボカロさんも大変ですね。この前も紫色をした髪の方とお連れさんを乗せましたが、やはりこんな感じでしたよ。デート帰りか何かですか?」

「ええ、婚前旅行の帰りです。もし俺達を下ろした後、マスコミに絡まれたらそう言っておいてください」

「ちょ、カイ・・・・・・!」

 文句を言おうとしたメイコの口を、カイト人差し指を立ててそっと塞ぐ。

「あいつらには暫く『わかりやすい餌』を撒いておいたほうがいい。でないと事務所移籍問題とか、もっと厄介なことをしつこく聞かれるよ」

「事務所・・・・・・移籍?何、それ?私、研究所から何も聞かされていないけど」

 カイトの口から思わぬ言葉が出てきてメイコは面食らった。確かにこれから新たなレンタル先を決めることになるのだろうが、研究所本部からは一切そのような話は聞いていない。理由が解らないとぼやくメイコに、カイトは自分のスマホの画面を見せる。

「これ見てよ。社長からのメールなんだけど、アメリカで賞を取った実力派ボカロを獲得しようと大手から零細、そして新規で立ち上げた事務所がメイコの争奪戦を繰り広げているらしいんだ」

 メイコがそれをのぞき込むと、確かにメイコ争奪戦のこと、そしてボーカロイド研究所から福澤社長を通じてフクザワ・プロダクションのボカロたちにメイコの保護を頼むという旨の連絡が入っていた。

「最終的には研究所の采配になると思うけど・・・・・・今『どこの事務所に行く予定ですか?』なんてマスコミに聞かれてもメイコには答えられないだろ?」

「・・・・・・うん」

「だからこその『わかりやすい餌』さ。尤も俺としては2年半、隠し通していたメイコとの関係をおおっぴらにできるのはありがたいけど」

 その瞬間、メイコの眉がぴくり、と跳ね上がる。

「2年半って・・・・・・あれを『付き合っていた』なんて言うわけ?しかも最近半年は全然連絡さえ取っていなかったでしょ?」

 カイトに弱みを握られ、ズルズルと関係を続けていた2年間、そしてメイコがアメリカに行って音信不通状態だった半年を『付き合った年月』に組み込むのはメイコとしては納得がいかない。
 だが、文句を言おうとしたその瞬間、タクシーはカイトのマンションの地下駐車場へと滑りこんだ。

「できるだけ奥のエレベーターの近くで下ろしてください。支払いはカードで」

 カイトは運転手にカードを渡すとメイコを座席に座らせたままトランクから荷物を出す。そして運転手からカードを受け取った後、メイコを座席から引っ張りだした。

「エレベータ―で乗り込まれないことを祈るしか無いけど・・・・・・あとは俺の部屋までダッシュね」

 言いたいことは色々あるけど、取り敢えずパパラッチから逃げ切ることのほうが重要だ――――――カイトの言葉にメイコは黙って頷いた。



 幸い乗り込んだエレベーターは途中階で止まること無く目的階まで辿り着き、そこからカイトの部屋に二人は転がり込んだ。さすがにここまではパパラッチも追いかけてくることは出来ないだろう。玄関の鍵をかけると二人は顔を見合わせ、安堵の表情を浮かべた。

「メイコ・・・・・・やっと二人っきりになれたね」

 カイトは荷物もそのままにメイコを玄関の壁際に追い詰める。そして細い腰を引き寄せたそのままの勢いで、メイコの唇を貪リ始めた。
 するりと忍び込んできたカイトの舌は欲情の熱を孕みながらメイコの口腔を探り、逃げようとしたメイコの舌を絡めとる。そして優しく、だが有無をいわさぬ力強さでメイコの柔らかな舌を吸い上げた。二つの舌が絡まり合い、奏でる濡音はひんやりとした玄関に響き、メイコの耳を犯してゆく。

(だめ・・・・・・立っていられない)

 初めて受けるカイトの激しいキスに耐えられず、メイコはカイトの首に腕を回す。その動きに合わせ、カイトがメイコの脚の間に膝を入れてきた。メイコの太腿には服越しでもはっきりと判るカイトの強張りが感じられ、メイコの脚の奥にはカイトの太腿が強く押し付けられる。その瞬間、メイコはびくん、と身体を震わせ頬を赤らめた。

(やだ、私・・・・・・もう、濡れてる)

 カイトが太腿を押し付けてきたその場所は、いつの間にか熱く滴る蜜に潤い始めていた。そしてカイトが太腿を擦り上げていく度に、体の奥から熱泉のようにどんどん蜜が溢れていくのを自覚する。

(どうしよう。このまま求められたら・・・・・・)

 カイトが自分をこの場で求めてきたら、間違いなく自分は応じてしまうだろう。今まで経験したことがない、獣じみた己の欲望にメイコは慄く。だが、欲望に身を任せようとしたまさにその瞬間、カイトはメイコを欲情のキスから解放した。

「今のメイコ、すっげぇ色っぽい顔してる・・・・・・本当はこのままメイコを食べちゃいたいところだけど」

 カイトは二人の唾液に濡れた唇を舐めながら、メイコの顔を覗き込む。

「・・・・・・まずは風呂にしようか。向こうじゃ湯船になんてろくに入れなかっただろ?」

 湯船――――――その魅惑の一言に、メイコの顔が輝き出す。向こうでは入れなかった、日本式の湯船がすぐそこにあるのだ。しかし次の瞬間、メイコはある事を思い出した。

「だけど着替え・・・・・・無いのに」

「取り敢えず明日分は何とかなるよ。お風呂に入ったあと洗濯機に放り込んで乾燥をかければ。だけど今夜はさすがにどうしようもないから俺のパジャマでいい?何なら下着も貸すけど」

「下着はいいから!」

 恥ずかしさに叫んだ後で、メイコは下着の替えも無い事を改めて思い知らされる。

(し・・・・・仕方ないよ、ね)

 どのみちこんな様子ならパジャマだってすぐに脱がされてしまうだろう。再び淫らなキスを受けながら、メイコは腹をくくった。



 『脱いだものを見られるのは恥ずかしいから』とカイトに先に風呂に入ってもらったメイコは、ぼんやりと窓の外を見下ろしていた。その視線の先には先程メイコ達を追いかけてきたパパラッチ達がたむろしている。

「あんなんで明日・・・・・・研究所に行けるかな」

 ざっと見ただけで十数人はいるだろう。公共機関を使っての移動は不可能だし、一般人に迷惑がかかる。事情を説明して研究所に迎えを出してもらったほうが良いのか・・・・・・メイコが悩んでいるその時、カイトが風呂から上がってきた。下にブルーのパジャマを着ただけの上半身裸の姿にメイコは頬を赤らめ、視線を逸らしながら再び窓の外のパパラッチ達に視線を落とす。

「あ~あ、まだ奴らいるのか。かなりしつこいね」

 メイコを背後から抱き抱え、カイトも窓の外を覗きこんだ。

「これだとコンビニに買い出しに行くもの難しいな。食事はデリバリーのお寿司かピザで我慢して」

 メイコの背中にぴったりと身体を密着させながら、カイトは耳許で囁く。自分の背中に感じるカイトの体温に、メイコは胸の高鳴りを抑えられない。

「うん、それはカイトに任せる。色々ありすぎた所為かな。私・・・・・・まだあんまりお腹が減らないの」

 そう告げてカイトの腕の中で振り向いた瞬間、メイコは再びカイトに唇を奪われた。先程よりは穏やかな、しかし身体の芯から蕩けてしまうような甘い舌技にメイコは陶然と目を細める。

(カイトって・・・・・・こんなにキスする人だったんだ)

 以前は『身体だけの関係』という事で、それなりに気遣ってくれていたのだろう。唇にキスされた事は1度だけ、しかも触れるか触れないかの軽いものだった。

(あれって確か・・・・・・初めて事務所近くのバーに行った日だったっけ)

 初めてエライジャ・クレイグを呑んで気分が高揚していたのだろう。零細事務所のレンタルボカロで、PV撮影さえ経験したことが無いメイコにとってそれがファースト・キスだった。

「・・・・・・じゃあ、メイコがお風呂に入っている間に何か取っておくね」

 長いキスの後、カイトが口を開く。

「久しぶりなんだからゆっくり入っておいで。着替えのパジャマはこれの上着、脱衣所に置いておいた」

 カイトは穿いているパジャマを指さしながら笑顔を見せる。その邪気のない笑みにメイコもつられて微笑む。

「・・・・・・うん、ありがと」

 まるで初めての夜のような気恥ずかしさを覚えつつ、メイコはカイトの横をすり抜け風呂場へと入っていった。




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本編を読んでくださった皆様、お待たせしました(*^_^*)おまけのR-18ようやく開始です♪
・・・と言いつつ、エロ本番に突入できなかったという(^_^;)短く話をまとめられないのはご容赦くださいませ(^_^;)

この話は本編8話目(pixiv版4話目)で日本に帰ってきた直後にあたります。生誕祭の日の夕方に帰国しながらお祭りには全く参加できず、パパラッチ達に追われ、更にキャリーバッグも届かなかったという厄日ですが、それをカイトがぜ~んぶフォローしてくれる?という拙宅にしては甘口のお話にしたつもりですが・・・どうなのかな(・・?

なおメイコのキスに関する裏設定は『枕営業初期に『キスは本当に好きな人とするもの』と教えられ、身体は許しても唇だけは許さなかった』としております。きっとカイトとのファーストキスの際はかなり浮かれていたのでしょう(^_^;)もしかしたらこの話の中でカイト視点からもこのキスの話は出てくるかもしれません(そこのところはビミョ~^^;)

次回更新は11/20夜、お風呂あがりメイコ&次回こそエロに突入します!
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