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「紅柊(R-15~大人向け)」
丙申・春夏の章

かまいたち・其の壹~天保七年一月の厄災(★)

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 年が明けて天保七年、江戸からおよそ十三里離れている川越にも新春がやってきた。黒漆喰が輝く宿場町には新年早々旅人や年礼の礼者が行き交い、江戸とはまた違う独特の賑やかさを醸し出している。
 そんな新年の年礼参りを終えた前畑銀兵衛は、やけに厳しい表情のまま自宅に帰ってきた。

「父上様、お帰りなさいませ」

 出迎えに出てきた娘の喜美と息子の銀太には反射的に笑顔を見せた銀兵衛だったが、顔色の悪さばかりは隠せない。それに気がついた喜代は、心配そうに銀兵衛に尋ねた。

「何か、出先であったのですか、旦那様?お顔の色が優れないようですが」

 すると銀兵衛は少し困ったように眉を下げ、口を開く。

「あったというべきか、これから更に大きな厄災があるかも知れないというか・・・・・・」

 銀兵衛は奥歯に物が挟まったような物言いをしつつ、二人の子供を両腕で抱きかかえる。

「詳細は子供らを寝かしつけた後でする」

 喜代に話すということは、少なくとも藩の機密に関わることではないだろう。少しだけ安堵に頬を緩めつつ、喜代は銀兵衛の言葉に小さく頷いた。



 銀兵衛が重い口を開いたのは、子供らを寝かしつけた直後だった。小さな寝息を隣室に聞きながら、銀兵衛は意を決したように喜代に語り始める。

「江戸の吉原にいた筈の女が、何故か鳥追い姿で川越城下にいた。しかも少々厄介な質の女だ」

「吉原にいらっしゃった方、ですか・・・・・・」

 銀兵衛の口から吉原、と出た瞬間に喜代が露骨に嫌そうな表情を浮かべた。どうやらやきもちを妬いているらしい。それに気がついた銀兵衛は苦笑いを浮かべ、更なる詳細を語り始めた。

「妬いてくれるのは男冥利に尽きるが、残念ながらその女は俺の馴染みじゃない。その女は山田道場の同僚だった五三郎の馴染みだった娼妓なんだが・・・・・・他の花魁に小指を届けに行っていたお幸さんに熱湯をかけたそうだ」

「え!お幸様に・・・・・・!」

 その瞬間、喜代の顔が青ざめる。銀兵衛と不仲だった頃も何かと自分に気を遣ってくれた幸がそんな目に遭っていたとは想像だにしなかった。恐ろしさのあまり小刻みに震えだした喜代だったが、銀兵衛はその肩を優しく抱き寄せる。

「安心しろ。初代からの血筋を引く武家の娘だ。うまく身を交わして事なきを得ている。ただ、さすがに事が事だから、その娼妓は見世をクビになった、とは聞いたんだが・・・・・・俺達が川越に来る一ヶ月前の話だ」

 そこまで一気に話し終えると、銀兵衛は抱き寄せた喜代の耳許で小さく囁いた。

「それにしても未だに俺の郭遊びに妬いてくれるとはな」

 普段は大人しい喜代だが、こと銀兵衛の郭遊びに関してはやきもちを妬くところがある。だがその事で銀兵衛を詰ることは一切なく、多少拗ねるくらいの可愛らしいやきもちだ。銀兵衛にとって喜代のやきもちは自分を『男』として見てくれることの確認でしかなく、むしろ喜ばしささえ覚えてしまう。

「いつまでもやきもちを妬かれても困るからな・・・・・・今夜は足腰が立たなくなるまでとことん可愛がってやらないと」

 頬をすり寄せながらの露骨な誘い文句に、喜代は顔を真っ赤に染める。

「も、もう・・・・・・お戯れはやめてくださいませ!」

 恥ずかしさを誤魔化すためか、喜代は怒った風に唇を尖らせた。その唇に軽く己の唇を重ねた後、銀兵衛は不意に真面目な表情に戻る。

「だが、そんな女が何故鳥追い姿で川越に来ているのか皆目見当がつかぬ。それと・・・・・・鳥追いに付き物の男影もその場には無かった」

 それを聞いた瞬間、銀兵衛の戯れに溺れかけていた喜代も驚きに大きく目を見開いた。

「そんな事は・・・・・・ありえませんよね」

「ああ。そもそもこんなところより江戸の方が稼げるだろう。男がいなければこんな辺鄙なところに来るとは思えない」

 江戸とは違い、川越の芸人は旅芸人が殆どである。それだけに女芸人は身を守ってくれる男衆と必ず行動を共にする。それだけに男の影が無いというのは異常であり、銀兵衛の目も引いたのだろう。
 新年早々の異常事態に慄く喜代だったが、銀兵衛はそんな喜代を安心させるかのように強く抱きしめ、耳許に唇を寄せた。

「川越は宿場町だ。できることならこのままさっさと通りすぎてくれることを祈るしか無い」

 そこまで話し終えると銀兵衛は喜代の耳朶を軽く噛み、舌先で擽る。すると喜代は銀兵衛の腕の中で身体をぴくり、と震わせ頤を仰け反らせた。

「っ、あんっ・・・・・・旦那、さまぁ」

 子供を起こさぬよう、声を必死に抑えた喜代の小さな嬌声に、銀兵衛は昂ぶりを覚える。

「銀太もこの春で三歳だ。そろそろ・・・・・・下の子が出来てもいいだろう?」

 舌や歯で喜代の耳朶を嬲りつつ、銀兵衛は喜代を煽る。
 物価が高い江戸では一人の子供を育てるのさえ大変だったが、江戸からほんの十里と少し離れた川越は驚くほど物価が安い。しかも藩が率先して質素倹約に励んでいるため、それほど見栄をはらずに済む事も、禄が少ない御徒には有りがたかった。もう一人か二人、子供がいてもまだ余裕があるだろう。

 銀兵衛は耳朶から頬、そして顎へと接吻を仕掛けつつ寝間着の上で手を滑らせた。銀太を育て始めてから喜代の胸は心なしか大きくなったような気がする。それは二人の子供に乳を与えたためなのか、それとも精神的に安定した生活のためなのか判らない。だが、銀兵衛にとっても喜代にとっても江戸より川越の水があっていることだけは確かだった。

「喜代・・・・・・惚れている」

 その言葉に偽りは無かった。むしろ以前に比べてますますその想いは強くなっているかもしれない。銀兵衛は自分の唇で喜代の唇を塞ぐと、喜代の寝間着の胸元を押し広げた。 以前より大きくなったとはいえ、どちらかと言えば小振りな乳房を銀兵衛はやわやわと壊れ物を扱うように優しく揉みしだき、自分の膝を喜代の脚の間に滑り込ませた。
 そんな銀兵衛の動きに喜代は素直に従う。阿吽の呼吸、とでもいうのだろうか。互いの肌に慣れた者同士だけができるその手際の良さに不満はないが、銀兵衛としてはもう少しだけ刺激が欲しいというのも正直なところだ。

「喜代。たまにはお前が上になってみるか?」

 再び耳朶に唇を寄せた銀兵衛が囁いた瞬間、唇が触れている耳朶が熱くなる。きっと顔から首筋まで真っ赤になっているだろう。

「だ、旦那様!ざ、戯言も大概にしてくださいませ」

 恥ずかしさに消え入りそうな声で喜代は反論する。しかしその初々しい反応は、銀兵衛の悪乗りを更に増長させるだけだった。

「戯れなんかではないぞ。ほら、支えてやるから俺に跨ってごらん」

 喜代が怖気づかないように猫なで声を出しつつ、銀兵衛は喜代を自分の膝上に跨がらせた。そんな喜代のすぐ前には、銀兵衛の逸物が窮屈そうに下帯を持ち上げている。銀兵衛はその逸物を左手で下帯から引っ張りだすと、右手を伸ばし、喜代の右手を掴んだ。

「まずは喜代の手でこいつを可愛がってくれないか?」

 銀兵衛は喜代の手をそのまま引いて、己の逸物に触れさせる。そして細い指を逸物に絡ませるように握らせた。

「そのまま、擦ってごらん。そう、最初はそんな感じでいいから」

 銀兵衛に促されるまま喜代は銀兵衛に逸物を擦り始めた。決して上手な愛撫では無いが、それでも喜代の掌の中で逸物は脈打ち、更に硬さを増してゆく。そして、その反応と合わせるように喜代の息も徐々に上がり、頬や剥き出しになった乳房も興奮に桜色に染まった。

「喜代、もしかして感じ始めているのか?」

 銀兵衛の逸物を擦りながら、腰をもじもじと動かし始めた喜代に銀兵衛が尋ねる。

「だ、大丈夫・・・・・・です」

 上がる息を抑えつつ喜代は返事をするが、それが痩せ我慢であることは一目瞭然だった。

「我慢することはない。俺の脚に擦りつけてもいいんだぞ?」

 そう言った瞬間、銀兵衛は片膝を立て、喜代の脚を更に深く割った。銀兵衛の膝は熱い蜜を滴らせる柔らかな花弁を捉え、ぐいぐいと喜代の身体を突き上げる。

「あんっ!お、おやめください・・・・・・ませ、旦那様ぁ」

 鼻にかかった甘い声で喜代は訴えるが、銀兵衛はますます面白がって喜代を下から翻弄し続けた。

「本当に止めてしまっていいのか?今止めたら辛いのはお前だぞ?もうこんなに濡れて・・・・・・」

 更に膝で花弁を押し潰しながら、銀兵衛は喜代の上体を引き寄せる。

「武士の妻の矜持なんて、今は捨ててしまえ。俺達はただの男と女なんだ」

 欲情に掠れた銀兵衛の声が喜代の耳を擽る。その声に浮かされたのか、喜代はむき出しになった乳房、そして銀兵衛の膝に嬲られている花弁を銀兵衛に強く押し付け始めた。淫らな雌と化した妻を愛おしそうに見つめつつ、銀兵衛は再び耳朶を嬲り始める。

「色っぽい顔をして・・・・・・お前は歳を重ねれば重ねるほどますます良くなってゆく」

 普段は生真面目で貞淑な妻だが、銀兵衛の愛撫一つで娼妓よりも艶かしくなる。それは三十路近くになってますます顕著になっているようだ。銀兵衛は膝や掌、そして唇や言葉で絶え間なく喜代を犯し、自分の色に染め上げる。

「さて、そろそろいい頃合いかな」

 銀兵衛は喜代の脚の間に手を伸ばし、すっかり蕩けきった花弁に触れる。その瞬間、喜代の唇から更に甘い嬌声がこぼれ落ちた。



UP DATE 2015.1.7

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今回は舞台を江戸から川越に変えまして、久しぶりに銀兵衛・喜代夫婦主役の話を書かせていただきました(*^_^*)
ちょっと調べてみたらこの二人が江戸から離れて既に2年半が経過していたんですよね~(@@;)それだけこの連載も長く続いているということでしょう。主人公が毎回違うのであまりそういう感じはしないのですが(^_^;)

今回はちらっ、としか出てきていませんが、銀兵衛が見かけた怪しい鳥追い、そして本来ならその鳥追いの傍にいなければならないはずの男の影――――――果たして彼らは何者なのか。そして長きに渡り死罪さえ出していない平和な街・川越に何をもたらすのか・・・『かまいたち』の正体は最後の最後で判明すると思いますので、宜しかったらお付き合いのほど宜しくお願いしますm(_ _)m
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