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「紅柊(R-15~大人向け)」
丙申・春夏の章

かまいたち・其の貳~天保七年一月の厄災(★)

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 新春とは名ばかりの冷え込む部屋の中、掻巻に包まれた子供たちの安らかな寝息が聞こえる。その寝息を邪魔しないよう銀兵衛と喜代は声を押し殺しつつ互いを求め合っていた。

「喜代・・・・・・すっかり出来上がっているようだな。こんなに蕩けて」

 銀兵衛の指摘通り、触れた部分から溶け落ちてしまいそうなほど熱を帯びた花弁は息づき、銀兵衛を求めている。滴り落ちる淫蜜は銀兵衛の指から掌、そして喜代が跨っている銀兵衛の太腿へとぽたり、ぽたりと滴を垂らした。

「ふあっ・・・・・ん」

 昂った嬌声を抑えるように喜代は銀兵衛に抱きつき、肩に顔を埋める。そんな妻の反応を楽しみながら銀兵衛は喜代の腰を引き寄せ、ぬぷり、と中指を蜜壺に挿れた。

「んんっ・・・・・・はぁっ」

 声を押し殺すのも辛いのか、喜代はくぐもぐった声を上げてしまう。銀兵衛はそんな喜代を焦らすようにわざとゆっくり中指を動かし始めた。蜜壺の内壁を擦り上げ、時には引っ掻くようにじっくりと、丁寧過ぎる愛撫を繰り出してゆくのはは大人の余裕なのか。声を堪える喜代を翻弄する手管を弄しながら銀兵衛は膝の上の喜代を嬲る。そんな愛撫に焦れた喜代は、銀兵衛を指を深く飲み込もうと無意識に腰を浮かした。

「はしたないぞ、喜代」

 喜代の動きに気がついた銀兵衛は意地悪く囁くと、親指で花芽を押しつぶすようにこすり上げる。

「ああんっ!」

 雷のように身体を走り抜ける刺激に喜代は身体を跳ね上げ、更に強く銀兵衛にすがりつく。そして快楽に弾む息を整えながら銀兵衛の耳許で囁いた。

「申し訳・・・・・・ございません。でも、こんなに焦らされては・・・・・・喜代は切のうございます」

 滅多に自分から求めない喜代にしては珍しく、銀兵衛を強く求める言葉を口にする。それだけ喜代も昂っているのだろう。

「そうか、切ないか」

 銀兵衛は指を抜くと、即座に己の怒張を喜代の蜜口に宛てがった。

「まずはお前の中の欲を鎮めてやらないといけないようだな」

 耳許で囁くと同時に銀兵衛は、そそり立った逸物で、下から喜代を突き上げた。

「あんっ!だ、旦那さまぁ」

 子供を起こさぬよう押し殺した声だが、扇情的な色を滲ませた声は銀兵衛を煽るのに充分だ。銀兵衛は喜代の嬌声を塞ぐように唇を重ねると、腰を動かし始めた。
 二人の子供を産んだ蜜壺は、若い娘のような締りはない。しかしどこまでも柔らかく銀兵衛の逸物を包み込み、蛸のように絡みついてくる。年々変化してゆく喜代の身体に、飽きるどころか更に深く知りたいと銀兵衛は更に強く喜代を抱きしめた。

(今思えば、新婚の頃は本当に勿体無いことをした)

 剣術の道を究めんと、家族や妻を犠牲にしてしまった過去は嘆いても戻らない。若さに満ち溢れた喜代はもう二度と戻ってこないのだ。
 それだけに今の喜代を大事にしようとする気持ちが強くなっているのかもしれない。銀兵衛は更に腰を早く動かしながら、一旦唇を離す。

「そろそろ・・・・・・いくぞ」

 その瞬間、喜代の膣内に銀兵衛の情熱がはじけ飛んだ。

「旦那・・・・・・さま」

 満ち足りた表情を浮かべつつ喜代が銀兵衛の腿の上で微笑む。その幸せそうな笑みに思わず銀兵衛も微笑みを返した。

「今度は・・・・・・どっちがいいかな。男でも女でも・・・・・・川越でなら伸び伸び育ててやることができる」

 情交をしたからといって子供が出来るわけではないが、何となく喜代を孕ませたような予感を銀兵衛は覚える。それは満ち足りた幸せゆえの錯覚なのかもしれないが、それでも良いと銀兵衛は妻を改めて抱き寄せた。



 翌日の悲劇を知ることもなく――――――。



 翌日、家老の川越八幡宮参りの供揃えの一人として銀兵衛はその行列に参加した。それ自体は特に珍しいことではないし、むしろ平和な腰越ではそれくらいしか武士の晴れ舞台は無いのだ。品位を落とさない程度に、しかしどこまでものんびりとした武者行列が続く中、その災いの影は突如として現れた。昨日銀兵衛が見かけた怪しげな鳥追女、それが家老の武者行列の前に現れたのである。

「おい、鳥追!貴様、この行列が川越藩国家老のものと判っての狼藉か!」

 銀兵衛の上司である徒頭・丸岡が行列の前に現れた鳥追に怒鳴りつける。だが、その鳥追はその場から立ち去るどころか不敵な笑みを浮かべたまま動かないではないか。

「おなごだとて容赦はせぬぞ」

 丸岡の言葉と同時に数人の御徒が女を取り囲む。その様子を行列をなしている他の武士は固唾を呑んで見守るだけだ。 
 そんな中、銀兵衛は丸岡のすぐ後ろに位置取りをするが、不意に女の右後方の物陰から嫌な気配を感じた。

「丸岡さん、ここは俺達に任せてご家老をお護り頂けますか。と言うか、道を替えてすぐさまこの場から立ち去って頂きたいんです。あの女の後ろから、殺気を含んだ嫌な気配が・・・・・ああっ!」

 丸岡に語りかけていた銀兵衛が、突如大声を上げる。その声に驚き、耳を抑えながらも丸岡は銀兵衛に尋ねる。

「どうした、前畑!何があったんだ!」

 すると銀兵衛が指さした物陰から、一人の男がのっそりと出てきた。あちらこちらつぎはぎだらけの着流しに落し差しにした二本の刀、月代さえろくに剃っていない無頼の姿は流れ者のやくさのように見えたが、漂わせる雰囲気は更に危険なものを感じさせる。そんな薄汚い男を指さしつつ、銀兵衛は怒りに震える声で男に怒鳴りつけた。

「に、新實!何故貴様が川越にいる!」

「新・・・・・・實?」

 何のことか訳が解らず、丸岡は銀兵衛に尋ねる。すると銀兵衛は大刀を抜きながら丸岡に事情を説明し始めた。

「ええ。山田道場の一人娘を殺害し、大樹公を毒殺しようとした極悪人です!丸岡さん、ご家老を早く安全な場所へ!」

 銀兵衛の言葉に徒頭を始め、数人の御徒達は家老の駕籠を守るように配置に着く。その間にも新實は一歩、また一歩と武者行列の方へと近づいてきた。

「ほぉ、俺の名前を知っているとは・・・・・・そうか、お前、四兵衛の従兄弟の銀兵衛だな?」

 獰猛な獣のように舌舐めずりをすると、新實も刀を抜く。新春の陽光にぎらりと光る大刀に、清々しさの欠片もない。幾人もの血を吸ったその刀は脂や血で汚れ、錆まで浮いていたが、それだけに禍々しさを感じずにはいられない。

「丸岡さん!早くこの場から離れてください!俺一人では・・・・・・どこまでこいつを足止めできるか判りません!」

 その言葉に行列がざわめいた。山田道場の高弟として名前を連ねる前畑家の手練が、弱音とも思える言葉を臆面もなく叫んだのだ。いかに目の前の男が恐ろしい男か、瞬時にして理解する。そして家老の武者行列は丸岡の先導の下、即座にその場から退散した。

「ふん、武士も地に堕ちたものよ」

 遠ざかっていく家老の行列を見つめながら、新實は鳥追の女―――――夕波に声をかける。

「夕波、お前は少し下がっていろ。すぐに終わらせるから」

 そう言いながらも新實は銀兵衛との間合いを詰めていく。

(奴の間合いは・・・・・・どの程度なんだ!)

 普通の武士であれば瞬時に相手の間合いを掴むことが出来る銀兵衛だが、その経験は目の前の新實には当てはまらないだろう。少なくとも自分の間合いよりは向こうのほうが長いと思っていおいた方がいい。

(奴の素早さは尋常じゃない。何せ手練の同心を即座に二人斬り殺しているんだ。勝てるとは・・・・・・思わないほうがいいだろう)

 それどころか、この場から生きて離れることさえ不可能かもしれない。ならばせめて一太刀でも浴びせ、後で戦うものに少しでも有利な状況を作っておきたい。銀兵衛は刀を握り直し、一歩分すり足で前へ出る。

「ほう、なかなかやるようだな。さすがは山田一門の剣士というべきか・・・・・・だが、お前の生命もここまでだ!」

 新實は刀を上段に構えた。背が高いとはいえ、銀兵衛ほどではない新實が構えるにしては不自然な構えである。わざと隙を見せるようなその構えに、銀兵衛は警戒を強める。

(懐に誘おうというのか・・・・・・だが、思惑通り飛び込んだら奴に一太刀浴びせる前に首を斬られるな)

 とにかく慎重に――――――最悪家老が逃げ切れるまでの時間稼ぎだけはしなければならない。銀兵衛は間合いを取りつつも、いつ新實が襲いかかってきても問題ないよう目で威嚇し続ける。

「ふん、さすがに山田道場の門弟は愚かではないな。普通の勤番や八丁堀はすぐに飛びかかってきたものだが・・・・・・そっちから来ないなら、こちらから行くぞ!」

 どうやら我慢比べは銀兵衛の勝ちだったらしい。痺れを切らしたそ新實が、叫びと同時に銀兵衛に襲いかかってきた。

(うまくいくかわからぬが・・・・・一か八かだ!)

 助かる見込みなど既に捨てている。だが、山田一門の門弟として新實を無傷でこの場所から立ち去らせるわけにはいかないのだ。
 銀兵衛は鬨の声を挙げ、新實に向かって駆け出す。そして手にした大刀を左腕一本で持ち、槍のように新實を突き刺そうと腕を伸ばしたのである。間合いが判らぬ相手に対し、これが唯一、銀兵衛が出来る方法であった。これならば新實に手傷を負わせることができるかもしれない―――――――それだけを信じ、銀兵衛は更に左腕を伸ばす。だが手応えを感じるか感じないかまさにその時である。

「うぉぉぉぉ!!」

 まるで獣のような素早い動きで新實が後ろに飛び退き、刀を振り下ろしたのである。それと同時に銀兵衛の左腕に激痛が走り、銀兵衛は左腕を押さえたままその場に倒れた。




UP DATE 2015.1.14

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案の定といいますが、やはり鳥追に扮した女―――夕波の影には新實がいましたね(-_-;)何故川越にいるのかは定かではありませんが、江戸から逃げ出したにしても、江戸に舞い戻るにしても多分道の途中だったと思われます。
そして新實は確実に関八州ではお尋ね者ですので、表立った行動が取れない分何かと生活が不便なのでしょう。いつの間にか鮫ヶ橋から夕波を引っ張りだして旅の道連れにしておりました(^_^;)

それにしても何故武者行列を襲おうと思ったのか・・・庶民への辻斬とかでは飽きたらなくなってきたんでしょうかねぇ(>_<)新實の殺しは快楽殺人ですので、一般の常識が通用しないのです(T_T)
そんな新實を相手に一太刀を・・・と挑んだ銀兵衛ですが、果たして一太刀浴びせることが出来たのでしょうか?そして銀兵衛は生きて喜代や子供たちの許に戻れるのでしょうか・・・次回21日の『かまいたち』最終話までお待ちくださいませ(*^_^*)
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