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「紅柊(R-15~大人向け)」
丙申・春夏の章

定廻り同心の牝犬・其の壹~天保七年三月の捜査(★)

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春のうららかな日差しが水面に反射し、きらきらと輝く。その照り返しを受けて川縁に咲く桜もより美しく咲き誇っているようだ。そんな春ならではの景観を楽しもうと、深川の茶屋『粋月』は花見客で賑わっていた。

「お久奈ちゃん!その御膳は二階の鶴の間に運んでおくれ!」

 賄所から膳を持って出てきた久奈に、女将が指示を出す。

「あ~い!承知しました!鶴の間ですね!」

 こう慌ただしいと間違いも出てきかねない。久奈は大声で膳を持ってゆく部屋を確認すると急ぎ足で階段を昇り始めた。
 既に瀬田の家に下女として入っている久奈だったが、ここ数日――――――すなわち花見の時期は人手が足りないという建前で『粋月』に手伝いに入っていた。勿論本音は違うところにある。

――――――西山織部と杉嶋桃三郎 、本当は町奉行所如きが絡む相手じゃねぇが、新實に繋がっているのは奴らしかいねぇ。

 三日前、閨の中で瀬田が久奈の耳許で囁いた言葉が蘇る。瀬田は久奈を散々嬲り尽くしたあと、密偵の仕事をするように告げたのである。

――――――いいか。必要だったら色仕掛けを仕掛けても構わねぇ。奴らが窃盗に関わっている証拠、小柄でも鍔でも構わねぇから手に入れてこい。ただ、『粋月』の信用に関わるから掏摸はするんじゃねぇぞ。

 本当ならば掏摸の腕を使って盗みだすのが一番楽なのだが、場所が場所である。店の者が盗みを働いたとあっては入り込んで捜査をする『粋月』にも迷惑がかかる。西山や杉嶋と直接言葉を交わす危険性はあるが、方法はこれしか無いのだ。

(初めての奉行所のお勤め、しっかりしなきゃ!)

 そんな覚悟を決めて『粋月』の手伝いに入った久奈だったが、そんな時に限って西山と杉嶋はなかなか店にやってこなかった。自分が配膳を担当する部屋の客は勿論、他の部屋の客も念入りに調べていたが本人達はもとより、予約の使いさえやってくる気配を見せない。

「今日も来ないのかねぇ、あの小悪党ども」

 配膳もひと通り終わって久奈が空いた膳を賄いに下げに来た時、一緒に付いてきてくれているお涼が小声で呟く。さすがにお涼も待ちくたびれているのだろう。来てほしくない時は三日と明けずにくる『招かれざる客』だが、こちらが待ち構えている時に限ってなかなかやってこないところも腹立たしい。

「たぶん・・・・・・そう簡単には来ないだろう、って瀬田も申しておりました。さすがに周囲の目も厳しくなっているらしいですので」

 愚痴をこぼすお涼を、久奈は瀬田から聞いた内部事情をお涼に語る。その口調はすっかり瀬田の部下か使用人―――――――または内縁の妻のようだ。お涼は人の気配が遠いのを確認すると、久奈を引き寄せ耳許に囁く。

「ふふっ。すっかり瀬田様に染まっちまって・・・・・・閨では相当可愛がられているんだろうねぇ」

 久奈の耳朶を舌先でちろちろと舐めながら、お涼は久奈の乳房をすくい上げるように揉み始めた。

「お、お涼さ、まぁ。こ、ここでは・・・・・・・」

 誰に見られるか判らないと久奈は抵抗するが、お涼は構わず耳朶を舐り、するりと襟元から手を滑り込ませる。

「安心おし、今はちょいと戯れるだけさ。だけどここでの仕事が終わったら・・・・・・今日はうちのお師匠様のところで瀬田様と『合流』するんだろ?勿論わっちもお師匠様も総出であんたを可愛がってあげるからさ」

 お涼が淫蕩な笑みを浮かべ、滑りこませた指で久奈の凝った乳首を軽く抓ったその時である。不意に男衆の威勢のいい声が賄処まで聞こえてきたのだ。

「西山様、杉嶋様いらっしゃいませ!今、部屋が空きますので今暫く女将の部屋でお待ちいただけますでしょうか!すぐに手配を整えさせていただきます!」

 あれは番頭の声だろうか。予約もなしに花見の時期にやってきた非常識な武士にてんやわんやしている気配がお涼達のいる賄処にも伝わってくる。

「畜生、よりによって来なくていい時にのこのこ来やがって」

 待ちに待った二人に対し、お涼は忌々しげに舌打ちした。



 西山と杉嶋の件は『粋月』側にも言い含めてある。事情を知っている女将はお涼と久奈に西山達の配膳を任せた。そして二人が三の膳まで全て運び込むと、西山が久奈に語りかけてきた。

「おう、久しぶりだな。なかなか俺の前に現れんものだから、てっきりやめてしまったのかと思うたぞ」

 涎を垂れ流さんばかりの緩んだ顔つきで、西山は久奈に言い寄る。おぞましささえ感じるその露骨な獣欲に辟易しながらも、久奈は精一杯の作り笑顔で西山に応じた。

「は、はい・・・・・・おとっつぁんの病がちょっと思わしくなくて」

 久奈はお涼と共に予め考えておいた嘘の理由を口にする。病弱の親がいれば店で働く理由にもなるし、看病で店を休むことも自然だからだ。案の定西山はその嘘を信じたようであるが、その後が問題だった。

「おお、そうか。それは気の毒だな・・・・・・となると、やはり薬代や医者代がかさむであろう?」

 久奈の顔を覗き込むように、そして久奈の偽りの窮状に付け入るように西山が尋ねる。

「え、ええ、まぁ」

 すると西山は強引に久奈の手を握り、更に下卑た笑みを浮かべた。

「魚心あれば水心、というではないか。酌婦なんかよりもっと稼げる方法があるぞ?」

 握った手を緩めると、西山は脂ぎった掌で久奈の腕を撫で上げ始める。このままではこのまま西山に押し倒される――――――そう覚悟して久奈が目を瞑ったその時、近くにいたお涼が口を挟んだ。

「お武家様、少々お待ちくださいませ。さすがに女将の許しがなければ春をひさぐことは出来ません。ちょいと女将か番頭を呼んできますので、話をつけて頂けますでしょうか。その代わり・・・・・・」

 お涼は意味深な笑みを浮かべ、小声で西山に告げる。

「この子はわっちとねんごろでね。それなりに色々仕込んであるんですよ。何ならこの娘一人でお二人いっぺんにお相手をすることも出来ますよ」

「それは、どういうことだ?」

 お涼の意味深な発言に、西山が身を乗り出す。

「実は後ろも仕込んであるんですよ。ねぇ、お久奈?」

 お涼は西山の手から久奈を奪い取ると、これ見よがしに久奈の唇を貪り始めた。そして久奈もお涼の舌を吸い上げる。あまりにも淫靡な女同士の接吻に一瞬毒気を抜かれた西山と杉嶋だったが、すぐに相好を崩した。

「なるほど。なかなか良いものを見せてもらった。となるとお前も一緒に買ったほうが面白そうだな――――――早く女将か番頭を呼んでこい!」

 一刻も早く目の前の淫蕩な女達を愉しみたい――――――その一心で西山は喚き散らした。



 呼び出された女将は西山達に対し『お武家様ゆえの特別対応』と二つ返事で久奈とお涼に相手をさせることを認めた。勿論これは奉行所からの指示でもあるが、その事はおくびにも出さない。

「さぁてと、女将の許しも得たことだし、二人共襦袢姿になってもらおうか」

 着物に何かを隠されたらという警戒心からなのか、それとも恥ずかしい姿にして部屋から簡単に逃げられないようにするための用心なのか判らない。だが言うことを聞かなければ警戒されてしまうだろう。お涼と久奈は顔を見合わせた後、店のお仕着せを脱いで襦袢姿になる。

「へぇ、二人共なかなかいい体をしているじゃないか。ほら、お前は俺の相手をしろ」

 そう言いながら西山は久奈を強引に引き寄せると、膝の上にうつ伏せにさせた。

「さてと、前も後ろも使えるってぇお道具はどんなものなのかねぇ」

 下品な笑い声を立てながら、西山は久奈の襦袢の裾を一気に腰までまくり上げた。そして張りのある尻をむき出しにすると、強引に両足を開かせる。

「あっ・・・・・・お、お止めくださいませ」

 さすがに久奈も一瞬抵抗を見せたが、西山はわれ関せずとばかりに己の欲望に忠実に事を運んでゆく。欲情に目を充血させた西山は江戸に来たばかりの浅葱裏のごとく性急に、そして遠慮無く久奈の脚の間に手を突っ込んできた。そのあまりの無粋さに久奈の精神はは完全に冷めてゆく。

(ま、その方がお勤めには都合がいいか)

 西山の無粋な行為に比べると、瀬田の奉行所での折檻のほうが遥かに淫猥で久奈を昂ぶらせた。まるで猿のように久奈の下半身をいじりまくっている西山を冷静に観察しながら、久奈は適当に嬌声を上げる。

「ほぉ、もう感じておるのか。この助平が」

 久奈の蜜壺は殆ど濡れていないにも拘わらず、偽の嬌声で西山は誤魔化されたらしい。愛撫もそこそこに久奈の蜜壺に西山の指が差し込まれた。しかし感じるのは微かな痛みと違和感だけだ。

(瀬田様やお涼様、素月園先生と比べるのが酷、か)

 あの三人は久奈の反応を先取りし、より昂ぶらせるための悪戯を次から次へと仕掛けてくる。あの淫猥で甘美な遊戯と西山の雑な愛撫を比べるだけ虚しくなる。そうこうしている内に今度は後ろの穴もいじり始めた。

「なるほど。だいぶ柔らかいな。これなら俺達でも問題なく使える」

 そして袴を脱ぎ、前をはだけると、前触れもなく熱り立った逸物を久奈の蜜壺に入れたのである。

「あっ!」

 だが、瀬田の逸物に比べると遥かに貧相だ。これから蜜壺が大して濡れていなくても何とかなるだろう。面倒なことはさっさと終わりにしてしまおうと、久奈はお涼に仕込まれた偽の嬌声を上げる。

「ほう、いいのか?俺の逸物がそんなによがらせるとはな」

 そして数回腰を動かしただけで西山はあっという間に果ててしまった。だが、よっぽど女に縁がないのか、久奈に欲情しているのか、西山は更に久奈に迫ってくる。

「さぁて、今度は後ろだな」

 西山は久奈を四つん這いにさせると、張りのある尻を左右に大きく開き息づく菊座を露わにした。




UP DATE 2015.3.4

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瀬田やお涼達からさんざん『仕込み』をされた久奈の、初仕事がようやく始まりましたε-(´∀`*)ホッ
初仕事とは言ってもお涼も付いていますし、瀬田からもそう焦るなと言い含められているでしょうから無理をすることはないでしょう。しかしいきなり西山が迫ってくるとは・・・(>_<)
一応矢場で春をひさぐ仕事は経験しておりますが、捜査が関わってくるのは初めてですからねぇ。それがどう影響してくるのか・・・ま、新實ではなく相手が西山や杉嶋なので多分今回は無事ことが運ぶかと思われます。(今回新實が出てくるかどうかちょっと難しいところ・・・)
次回更新は3/11、久奈の捜査は続きます。
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