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「VOCALOID小説」
聖龍協奏曲~奏国物語

ボカロ小説 聖龍協奏曲~奏国物語 幕間・皇帝と一角獣の処女4(★)

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――――――娘子隊の象徴、白龍・陽炎を貸与してやる

 皇帝の側近の一言に、ルカは唖然とし、言葉を失った。娘子隊の象徴でありながら、100年近く隊長の騎乗を拒み続けている、最も気難しく、最も美しい龍である。たとえ歩兵であっても聖龍への騎乗が許されれば一足飛びに隊長になることもできるが、その前に近づいたら殺される可能性も極めて大きい。

(・・・・・・私を、抹殺しようというのか)

 身分不相応の『お召』を受けた身である。上級貴族や元老院からの反発を避けるため、闇から闇へ処理される可能性も否定出来ない。だが、それだったら暗殺部隊に始末を命じれば済むことだ。わざわざ気難しい白龍を出す必要も無いだろう。
 側近の心の中が判らず、戸惑いを露わにするルカに、側近は更に問いかける。

「どうした?白龍では不服か?」

「い、いえ。滅相もございません・・・・・・私が白龍に乗れないことにより、陛下にご迷惑がかかる事はございませんよね?」

 自分が白龍に殺されるだけならまだしも、それによって皇帝の威光に何らかの傷や穢れが付くことだけは許しがたい。そんなルカの一言に、側近は一瞬怯んだが、すぐに仏頂面に戻る。

「安心せよ、それはない。そもそも陛下はお前を側室に、と我儘を言い出しておるのだ。だが・・・・・・判っておるな?」

「・・・・・・勿論でございます。私如きの身分では側室など」

 城外の陣営な、一夜限りの戯れと許されるが、側室に取り立てるとなると話は違う。国内貴族の力関係、元老院の承諾、その他諸々の障害があり、事実上ある一定身分以上の者が側室に入ることは不可能なのだ。

「それ故の『白龍騎士』だと思ってくれ」

 側近は、無駄に仰々しく言葉を続ける。

「そうそう資格者が現れない龍騎士、幾ら上流貴族や元老院が文句を言おうと陛下の側にいることは可能だ。しかし・・・・・・」

 側近は言葉を飲み込む。時には全権を任されることもあり、宰相よりも権力を持つ龍騎士である。国内の権力均衡を保つため、側室は勿論、愛人と公言することも憚られるのだ。

「・・・・・・陛下の希望を叶え、お前が奏国で生きてゆくのはこの方法しか無い。龍騎士となり奏国で生きるか、それとも追放の憂き目を見るか」

 側近の言葉にルカは暫し考えこむが、ひとしきり考えた後ようやく口を開く。

「・・・・・・一度だけ、白龍への騎乗を試させてくださいませ」

 確実に生き残る道を選ぶなら、奏国を捨て、傭兵になったほうがいいだろう。だが、女性傭兵の需要は極めて少ない。更に自分を士官学校に入れてくれた父母に対して申し訳ないという気持ちもある。そしてそれらを越えて、奏国に残りたい、最大の理由があった。

(せめて陛下の影が拝める場所に・・・・・・)

 一夜を共にしたからというだけではない、もっと真剣な気持ちがルカに芽生えていた。女性として側にいることが許されないなら、せめて兵士として皇帝を守りたい。その為には白龍に騎乗することだけがルカに残された道なのだ。
 ひくに引けない状況の中、ルカは側近の申し出を受けざるを得なかった。



 白龍の呼び出しに最初は難色を示した皇帝だが、ルカがユニコーンに騎乗できなくなった原因が自分であることを指摘されると、渋々ながらそれを了承した。

「別に余の龍でも構わぬのだぞ?」

 不満も露わに言い放った皇帝の一言に、ルカは苦笑いを浮かべる。

「皇帝龍のもう一つの席――――――そこは未来の皇后陛下の場所でございます。というか、その前に皇帝龍の御前に近づいた瞬間、私など爪で喉を掻き斬られるのが関の山でしょう」

 ルカはそう告げたとき、不意に空から大きな翅音が聞こえ、何かが地面に降り立った。

「これが・・・・・・陽炎!」

 ルカの目の前――――――そこには金色のたてがみに真珠色の鱗をした龍がいた。真珠色の龍は、青玉の如き美しい瞳でルカを見つめると、鐘のような美声でルカに問いかけた。

《おまえか?我に乗ろうという向こう見ずは?》

 その声は予想していたものよりかなり穏やかで、ルカは少しだけ安心する。だが、まだ予断は許さない。

「はい。貴方様に認められるかわかりませんが、私にはそれしか奏国に残る方法が残っておりませぬ。力量不足の未熟者が、貴方様に騎乗することはご不満でしょうが、何卒よろしくお願いいたします」

 ルカは膝をつき、騎士の礼節を持って白龍に懇願する。すると白龍はちらりと紫龍と皇帝の方を見やり、小さな溜息を吐いた。しかし、頭を下げているルカにはそれが見えない。

《要は・・・・・・人間の都合だな。まぁ、暫くの間は乗せてやってもいい》

 暫くの間、という言い方に引っかかるものを感じた、が取り敢えずは乗ることが出来るらしい。ルカはようやく笑顔を見せ、白龍に近づくとその首筋を撫でた。




「あの時のの陛下の不機嫌さっていったらなかったなぁ」

 ひと通りの話を済ますと、カイトは何かを思い出すように遠い目をした。

「身分が低い女とはいえ、これは!っていう相手を見つけた直後に白龍に横取りされたんだから」

「横取りって・・・・・・人聞きの悪い。そもそも龍騎士同士は結婚できないの?」

 奏国の慣習がよく判らず、メイコはカイトに尋ねる。

「別にそういう決まりは無いんだけど・・・・・・何せ龍騎士は全権を持つこともあるからね権力の集中を恐れる元老院が真っ先に反対に回る。それと慣習として『龍騎士』は基本的に伴侶を自分の龍に乗せることになっているんだ。つまり、どちらかが『龍騎士』を辞めないことには奏国での結婚は難しいね」

「本当に大国って面倒くさいのね」

 前髪を掻き上げながら、メイコが肩をすくめる。

「それは否定しない。勿論皇帝はルカに白龍騎士を引退するように迫っているけど・・・・・・何せ100年ぶりの白龍騎士だ。元老院や有力貴族が黙っていないし、ルカ本人も『白龍が許してくれるまで』と白龍騎士であり続けている」

「ねぇ。何か引っかかるんだけどさぁ、『白龍が許してくれるまで』って・・・・・・まるで一時的な白龍騎士みたいね」

 メイコの疑問に、カイトは一も二もなく頷いた。

「実は白龍がそう言っているんだ。本当の白龍騎士はまだ子供らしく、見つけ出すことが出来ないらしい。その子供が龍に乗れるようになるまではルカを乗せてもいいって」

「ふぅん・・・・・・龍って気難しいのにね。奏国の白龍は『龍乗り』の資格が無くても騎乗を許しちゃうんだ」

 ミクが不思議そうに小首を傾げる。どうやら『一時的な龍騎士』という状況に納得が行かないらしい。

「う~ん、例外が無いわけじゃないけどね」

 そんなミクの疑問に応えたのは、意外なことにメイコだった。

「メイコ。何か龍のことで知っているのか?」

 どうやらカイトも知らないことがあるらしい。メイコの顔を覗き込みながら話の続きを促す。

「あくまでも『白の魔導師』の間に伝わる口伝なんだけどね。龍の格式って指の数が多いほど高いでしょ?で、皇帝龍のような五本指の龍に乗れる人は、四本指や三本指の龍にも乗ることが出来るって・・・・・・私達の『父なる神』は7頭の龍を乗りこなしていた、って言われるし、グリアーノの国祖も五本指のフラウと四本指のキルヒャを乗りこなしていたって伝わっているわ」

「おいおい、三本指は誰でも乗れるじゃないか。それは伝説に入れなくてもいいだろう」

 カイトがメイコの話に茶々を入れるが、不意に真顔になる。

「だが、五本指の龍に乗れる資格がある者が、四本指の龍に乗れるとなると・・・・・・やっぱりルカは陛下の『運命』なのかな」

 そうでなければ、一時的にとはいえ白龍に乗ることなどできないだろう。今は問題ないが、そのうち新たな白龍騎士の成長と共に問題になるかもしれない。

「そう考えるほうが自然でしょ。そもそもオーラの色から全く同じなんだから」

 メイコの言葉にカイトは気難しげに眉間に皺を寄せた。



 その頃、皇帝の天幕からは押し殺した喘ぎ声が聞こえてきていた。

「へい・・・・・・か」

 それはルカの声だった。男を煽る甘い声は、皇帝の耳をくすぐり更に高ぶらせる。

「解っているだろうな、ルカ?」

 皇帝はルカの耳朶に唇を寄せ、甘噛みする。するとルカはビクン、と身体を震わせ、皇帝にしがみついてきた。戦士としては細すぎる腰に手を回しながら、皇帝は更に囁く。

「国家予算の関係で、暫くの間戦争も行幸も許されない状況だ――――――」

 城内では各所からの牽制もあり、皇帝といえどもルカを夜伽のために召し出すことはできない。そんな状況の中、ルカを抱くことが出来るのは戦争による出陣時と国内情勢の視察の為の行幸のみなのだ。
 それ故、『以前奪われた土地を取り返すため』という理由での出陣や、行幸が多い皇帝だが、それには相応の金が要る。さすがに予算が足りないと元老院配下の大蔵寮に泣きつかれ、暫くの間外にでることは控えることになったのである。

「――――――だから、今夜は眠らせぬ。覚悟しておけ」

 皇帝がそう告げる時、喩えではなく本当に朝まで翻弄される。娘子隊の隊長として厳しい訓練に耐えているからこそ、この尋常でない『お召』にも耐えられるが、そうでない普通の女であれば一晩で使いものにならなくなるだろう。

「もうこんなに乳首を尖らせて・・・・・・可愛いやつよ」

 皇帝は屹立した乳首を含み、軽く歯を立てる。

「あんっ、お戯れを・・・・・・はうっ」

 初めてのお召の時はただ身体を固くしていたルカだったが、今ではすっかり皇帝の好みに染められていた。皇帝の指先一つ、接吻ひとつで燃え上がり昂ぶるその痴態は、男顔負けの働きをする白龍隊隊長とは思えない。

「戯れなものか。お前だって期待しておるのだろう?」

 皇帝は乳首を口に含んだまま喋る。その不規則な舌の動き、そして掠める歯による甘美な刺激に、ルカは頤を仰け反らせた。





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・・・てな感じでルカは白龍騎士になりました。ルカの着任は一時的なものらしい・・・白龍が皇帝や紫龍をちらっと見ながら『しかたねぇなぁ』という感じでルカの騎乗を許した、と思ってくださって間違いございません(*^_^*)

そんな微妙なバランスの中、皇帝とルカはひっそりこっそり出張先で愛を育んでおります(*´艸`*)果たしてこの二人が堂々と人前で手を携える日が来るんでしょうか・・・次回6/9は幕間最終話、前半エロ&後半凱旋準備と相成ります(*^_^*)
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