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「短編小説」
江戸瞽女の唄

江戸瞽女の唄~むかし語り

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うららかな小春日和の陽射しが座敷の奥まで差し込んでくる。朝餉を取ろうと着替えを終えた隼人のもとに、兄・祥太郎がやってきた。
 その手には赤子がすやすやと眠っている。隼人にとっては甥っ子に当たる祥三だ。兄が抱いているということは、きっと義姉が朝餉の支度をしていて手が塞がっているのだろうと隼人は推測する。

「ああ、もう起きていたか、蓮二郎」

 少し驚いた表情を浮かべる兄に、隼人はふくれっ面を露わにした。

「・・・・・・当たり前じゃないですか、兄さん。一体何時だと」

「昔はこの時間になって叩き起こしに来てもなかなか起きなかったくせに」

 祥太郎の指摘に隼人は苦笑いを浮かべることしか出来ない。確かに子供の頃は寝坊癖が治らず父や兄によく叱られていた。

「で、わざわざ起こしに来てくださったんですか、兄さんが・・・・・・というか、庄屋様直々に」

「それもあるが、ちょっと話したいことがあってな・・・・・・お前、そろそろみわと一緒になるい気はないか」

 あまりにも単刀直入過ぎる、唐突な言葉に隼人は面食らう。

「はぁ?一体何を言い出すかと思えば。どういう風の吹き回しですか?」

「親父殿がお前のことを心配して、毎夜枕元で愚痴をこぼすんでな。いい加減お前も大人になったらどうだ、いろいろな意味で」

 祥太郎は隼人にそこに座るように促すと、自らもあぐらをかいた。そうなると兄の話は長くなる――――――立ち話では済まないのだ。隼人も諦めて祥太郎の前に正座する。

「しかし兄さん、俺のところには親父殿は枕元どころか夢にもでてきませんが」

「そりゃあお前が心の何処かで拒んでいるからだろう。というか、未だに根に持っているんじゃないのか?俺とおみわが許嫁になったことを」

 からかうように言うと、祥太郎は腕に抱えた我が子の顔を覗き込んだ。

「おみわの代わりに、というのは語弊があるが、みわの妹のおつやが嫁に入ってくれたんだし、既に三人も子供を成してくれている。許嫁の件はもう遥か昔のことだ」

 祥太郎は遠い目をしながら更に続ける。

「お前たちも瞽女の仕事があるだろうから、簡単に所帯は持てないだろう。だが瞽女と手引以上の絆を持っても良いんじゃないか?」

「はぁ」

「その決意ができれば、お前の枕元にも親父殿が出てくると思うぞ」

「それは勘弁願いたいですね。兄さんのお気遣いはありがたいですけど、暫くは今のままでやっていきます」

 きっぱりと言い放った隼人に、祥太郎は苦笑いを浮かべた。



 法要が終わると隼人は早々に実家を後にし、みわを預けてある瞽女の頭領の家に向かった。勿論みわが心配だったということもあるが、やはり兄を始めとする家族から色々云われるのが煩わしいということが一番の原因だ。

(俺達は俺達だ――――――瞽女と手引、充分じゃないか。夫婦以上に一緒にいられる関係なんだから)

 みわに欲望を感じないと言えば嘘になる。だがその欲望さえ押さえ込んでおけば、どちらかが死ぬまでずっと一緒にいられるのだ。その為には己の浅ましい欲望など捨ててしまえる――――――隼人はそう信じ込み、みわを引き取り早速巡業へと出向いていった。


 だがこの三日後、隼人は己に課した禁を犯すこととなる。





UP DATE 2017.10.21 

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今回は隼人と兄・祥太郎の会話が中心となりました(*^_^*)どうやら祥太郎は父の跡を継いで庄屋になっているようですね(*´ω`*)
しかも既に3人もの子供が(゚∀゚)更に驚きなのは彼の妻がみわの妹・おつやがお嫁に入っているようです。
当時の結婚はあくまでも家と家の結びつきのためのものですから、姉がダメなら妹が・・・ということはよくある話でして(^_^;)そんな状況でも夫婦仲は良いのでしょう(*^_^*)祥太郎もイクメンよろしく妻が忙しい時は子供の世話をかっているようです。

そんな幸せ満載の実家から逃げるようにみわの許へと戻った隼人ですが、どうやら自ら課した禁を犯してしまう状況に追い込まれるようで・・・もしかしたら★が付くかもしれませんが、その際はちゃんとアナウンスもいたしますのでご容赦ください(>_<)
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