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とある下宿屋と炬燵開き~軟弱下宿人とツンデレ管理人の娘

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「ねぇ~、おかみさ~ん!うちの下宿、まだ炬燵出さないんですかぁ?」

 下宿人の彰が台所を覗き込み、夕餉の支度をしていた管理人親子に猫撫声をかけてきた。どうやら自室が寒くて勉強が手につかないらしい。普段は食事ができたと言ってもなかなか自室から出てこない彰にしては珍しい事である。普通の管理人であれば下宿人の要望を聞くのかもしれない。しかしここの下宿屋は少々趣が違っていた。

「はぁ?何軟弱なことをほざいているんですか」

 冷ややかに言い放ったのは娘の花奈である。

「炬燵開きは二の亥の日に決まっているでしょう。まだ三日もあるじゃないですか!」

 彰の要望を突っぱねる花奈に対し、彰は弱々しく、しかし図々しく反論する。

「江戸のお武家の炬燵開きは上亥の日にやるって来ていたんだけどなぁ・・・・・・」

「すみませんね、うちは町人ですしっ!そもそも男で寒がりって鍛え方が足りないんじゃないですか?勉強ばっかりしていないで竹刀の素振りでもしてみたら如何ですか!」

 花奈のにべもない物言いに彰はしゅん、と落ち込み、花奈の隣で里芋を剥いていた母親のお松は思わず吹き出してしまった。

「去年もそうだったけど、本当に彰さんは寒いの苦手ねぇ。でも北国のご出身でしたよね。それなのに」

「北国はもっと合理的ですよ。肌で寒い、って感じたら早々に厚着をして囲炉裏にガンガン火をくべますから。家の中で凍死なんてしたくありません!」

 あまりにも真剣な彰の言葉に、お松は耐えられず大笑いをする。しかし花奈は興味なんか無いと言った風情で知らんぷりだ。

「まぁ、今日のところは温かい豚汁で我慢してくださいな。炬燵は男手がある三日後の亥の日に出しますから、それまでご容赦くださいね」

 あくまでも炬燵は三日後に――――――お松のその一言に、釈然としない表情のまま彰はその場を後にした。



 夕餉を終えた彰は自室に戻ると明日の授業の予習を始めた。周囲が秀才ばかりの帝大の授業についていくにはまだまだ努力が必要だ。しかし勉強に集中したくても指先がかじかみ、ペンを持つ手が震えてくる。そんな冷えきった手に息をかけつつ再びノートにペンを滑らせようとしたその時、不意に乱暴に部屋のドアを叩く音がした。
 いや、音の場所からすると蹴り飛ばしているようだ。かなりドアの下の方から乱暴な打音が続いている。

「っつたく、一体誰だよ!乱暴な野郎だな!」

 ちっ、と舌打ちをして彰は扉を開ける。すると目の前に青い鰹縞の山――――――綿入れ半纏が現れた。その分厚さに彰は思わず素っ頓狂な声を上げる。

「な、何ですか、これは!」

「・・・・・・ほら、さっさと受け取りなさいよ、彰さん!」

 その鰹縞の綿入れ半纏を彰に押し付けたのは花奈だった。ぶっきらぼうに綿入れ半纏を押し付けるとくるりと後ろを向いてしまう。

「炬燵はまだ出せないからそれで三日間過ごしてよ!風邪なんか引かれたらうちの評判に関わるんだから!」

 乱暴に言い放つと、花奈はさっさとその場を去ってしまった。

「い、一体今のは?」

 彰は唖然としたまま、押し付けられた綿入れ半纏を改めて確認した。その手触りは真新しい木綿そのもので、さらさらと心地よい。更に中綿もふんわりとしており真新しい匂いもする。時間的に店は閉まっているし、もしかしたら花奈が作ったものだろうか――――――と、その時彰はある事を思い出した。

「そういえば数日前からおかみさんと2人で何やら縫っていたもんな、お花奈ちゃん」

 真新しい綿入れ半纏に顔を埋め、彰は嬉しそうに笑う。そして早速それに腕を通すと再び予習のために机へと向かった。




UP DATE 2017.11.18


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なんだかメモ書きみたいな話になってしまいました(^_^;)元々『烏のおぼえ書き』創作関連メモにてネタとして書いていたものなのですが、今回はそれをちょっと形にしてみようと思いたちやってみたのですが・・・いかんせんツンデレキャラというものを書き慣れていないので難しい(>_<)更に下宿人である彰ももう少し軟弱というかダメダメな男にしておいたほうが良かったかな~とも。と言うか、ダメダメな相手にほど『この人は手を貸してあげないと・・・』って思うじゃないですか(^_^;)そのダメっぷりがちょっと弱かったかな、と少し反省(>_<)できれば『勉強はできるけど運動神経は皆無、ケンカをすれば全敗確実』的な下宿人に『ツンデレで気が強いけど、意外と面倒見は良い管理人のお嬢さん』をもっと磨き上げればレギュラーになりそうな気も・・・(^_^;)

厄介な病気の闘病中、しばらく土曜日はこんな感じで実験的なものを書かせていただくと思いますので、お付き合いくださったら幸いですm(_ _)m
(実は結構病気が悪化しておりまして・・・近日中にその辺のお知らせを書かせていただきますm(_ _)m)
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