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夾竹桃の吐息・其の貳

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 立て付けの悪いドアを開けた瞬間、俺は眼の前に存在する『事実』を受け入れられず硬直した。確かに俺は『ビビリ』かもしれないが、俺でなくてもこの状況を平然と受け入れられる奴はそうそういないだろう。
 俺の目の前には真っ白いワンピースを着た女の子が床に座り込んでいたのだ。純粋な日本人ではないらしく、目鼻立ちははっきりとしていてやけに肌の色が白い。その肌の白さとは対照的に唇はルージュでも塗っているかの如く紅い。更に特徴的なのはその目の色だった。日本人よりは明らかに明るいその色は、葡萄のような緑色にも陽光のような金色にも見える。

「あなたは・・・・・・だあれ?」

 俺が唇を開く前にその女の子が語りかけてきた。見た目は高校生くらいに見えたが、やけに喋り方が幼い。小首を傾げたその姿はむしろ五歳児のようだ。俺はその声にはっ、と我に返る。

「ひ、人に名前を聞くんならまず自分の名前から言ったらどうだ?」

 眼の前の女の子が泣き出すかもしれなかったが、そもそも空き家に入り込むような奴に同情なんかいらない。俺は精一杯居丈高に振る舞う。だが、そんな俺の努力を知ってか知らずか女の子はにっこり笑って俺の問いかけに答えた。

「あたし、キョウコ」

「俺は千護(せんご)。ところで、何で君はこの家に――――――俺のじいさんの家に入り込んでるの?」

 すると女の子は困ったように微かに眉根を寄せる。

「あたし・・・・・・わからない。気がついたらこのお家にいたの」

 淡々と語るその口調は、特に混乱しているようにも、嘘をついているようにも見えなかった。むしろ俺のほうが混乱する。
 そもそも俺が来る前、扉という扉にはすべて鍵がかけられていた。だいぶ古くなっているとはいえシンナーやトルエンなどの劇物が置かれているのだ。そう簡単に不良中高生やそれ以外のヤバイ奴らに入られる訳にはいかない。
 だが事実、目の前に女の子はいるのだ。ただ『不法侵入』をした筈なのに真っ白いワンピースには汚れ一つ付いていなかった。俺は普通に入り込んだだけでもあちらこちらに埃の汚れが付いてしまったというのに・・・・・・。
 更にそのワンピースはやけに古めかしいデザインだった。1950年~60年台のハリウッド映画に出てくるようなワンピースで、女性のファッションに疎い俺でも判るほどだ。

(これ、撮影とかじゃないよな。隠しカメラがあったりとか)

 俺はキョロキョロとあたりを見舞わずがそのような仕掛けがなされているようには思えない。理由の分からぬ状況にますます混乱したその時、俺のスマホから間の抜けた着信音が流れた。直斗からのLINEの着信音だ――――――その瞬間、強い風が部屋の中に吹き込んで俺の視界を奪う。

「うわっ!!」

 俺は思わず自分の目をかばう。そして改めて目を開けたその時――――――今まで眼の前にいたはずのワンピースの女の子は影も形もなかった。

「お、おい!どこに行ったんだよ!!」

 あれは白昼夢だったのか。それとも・・・・・・俺はぶるっ、と軽く震えると慌てて部屋を後にする。

「あれはきっと疲れが見せた幻だ。いや、この家に漂っているシンナーの匂いにラリっちまったのか・・・・・・もう今日は引き上げてさっさと寝ちまおう!勉強は明日でいいや」

 直斗のプラモの件もLINEでのやり取りで済むだろう。俺はそそくさと階段を降り、逃げるようにじいさんの家を後にした。




UP DATE 2018.6.23

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誰もいない職人部屋にいたのは白い、古風なワンピースを着た女の子でした。しかも風が吹き込んだ瞬間、いなくなってしまったという・・・(゚∀゚)
これは千護の疲労や怯えが生んだ幻なのか、それとも人外の何かなのか・・・((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
今回はさっさと逃げることが可能でしたが、片付けが進むに連れて逃げるに逃げられない状況も出てくるでしょう。その時何が起こるのか?そして主人公は逃げることができるのか?できましたらお付き合いのほどよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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