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「横浜慕情(大人向け)」
横浜慕情~虔三郎と結衣

横浜慕情 薔薇の誓・其の壹

 ←烏のがらくた箱~その廿八・酒田 紀行・後編 →拍手お返事&ようやく愛機が帰ってくることになりました(^^)
 虔三郎と結衣が明豊堂本家から妾宅へ帰ってきた時、柱時計が丁度九時を告げた。

「意外とあっちで時間を食っていたんだな。」

 ランプに火を灯している結衣の後姿を眺めながら虔三郎はしみじみと呟く。ネクタイも緩め、結衣より一足早くくつろぐ体勢に入っていた。

「ええ。まさかあちらの旦那様夫婦とお食事までご一緒させていただけるとは思ってもいませんでしたし。」

 ランプのつまみをひねりながら明るさを調節している結衣が虔三郎に応えた。結衣が驚いたのも無理はない。龍太郎夫婦は虔三郎が結衣を連れてきた事がよっぽど嬉しかったのか、帰ると言う二人を強引に引きとめ、わざわざ料理屋から夕食を取り寄せ夕飯を共にしたのである。

「いつまで子ども扱いしやがって。あれじゃあ昌憲のほうが大人みたいじゃないか。」

 虔三郎は食事の際に出てきた話題に対しふくれっ面をした。虔三郎の子供の頃の話や少年時代のやんちゃなどが中心で、甥っ子の昌憲のほうが遥かに落ち着きがあると冷やかされたのである。

「お前も昌憲も実の母親の元からこっちに引き取られたが、お前のほうが何にでも首を突っ込みたがる。だからこそ新しいことに敏感でないと務まらない商人向きなんだ。だが、たまには昌憲ほどの慎重さも欲しいところだが。」

 可愛げの無い子供という点では虔三郎も昌憲も似た者同士なのだが、安全が確認できるまでてこでも動かない昌憲に対して虔三郎はとりあえず手を出し、時に大失敗をやらかすというまるで逆の性格だ。珍しい軽口半分の龍太郎の言葉に虔三郎がそれこそ子供のように拗ねているのである。結衣に対して初めて見せるその表情を微笑みながら見つめていた結衣だったが、不意に表情が曇る。
 
「やっぱり家族っていいものですね。お とっつぁんが生きていたら・・・・・・旦那様たちと同じように、私たちのことを喜んでくれたんでしょうか・・・・・・。」

 滝沢家の家族団らんを目の当たりにして昔の事を思い出してしまったのだろう。しんみりと呟いた結衣に対して虔三郎はあえて明るく、茶化すような言葉を吐いた。

「この馬鹿娘が、ろくでもない男 に捉まって!って渋い顔をされるのがオチだろうよ・・・・・・・そうだな、原のおやっさんの件がひと段落付いたらお前のおとっつぁんの墓参りに一緒に行くか。今度、新盆だろう?」

 口調こそふざけ半分だったが、虔三郎の思わぬ気遣いに結衣は目を丸くし、そして嬉しさに涙を浮かべながら頭を下げた。

「虔三郎さま・・・・・ありがとうございます。おとっつぁんの新盆まで・・・・・。」

 実のところ、貰っていた小遣いを貯めた金で出来る限りの供養を新盆にしようとしていた結衣だっただけに、虔三郎の申し出は嬉しい誤算であった。

「お前がそんなこといちいち気にするんじゃねぇ。」

 結衣のあまりの感謝振りに照れたのか、それを隠すようぶっきらぼうに言い放つと虔三郎は隣に座った結衣の身体を引き寄せた。

「結衣・・・・・。」

 虔三郎は結衣の名を熱っぽく呼ぶと、その柔らかな桜色の唇に己の唇を重ねる。最初はただ唇を重ねているだけの接吻は徐々に深くなり、いつの間にか虔三郎の舌は結衣の唇を割り結衣の舌を吸い始めた。そんな情熱的な接吻に結衣はただ身を任 せ、陶酔する。明日の状況次第ではこれが最後の契りとなるかも知れない--------そんな焦燥が二人をより熱くさせていた。

「虔三郎さま・・・・・。」

 長い時間が経った後、虔三郎の接吻からようやく開放された結衣の唇から虔三郎の名が零れ落ちる。強く抱きしめられた虔三郎の腕の中、これ以上は無いほどの幸せと充足感を結衣は感じていた。その時、部屋の柱時計から十時を知らせる鐘が鳴った。

「もう十時か・・・・・こんな時間じゃ湯屋はもう開いてないだろうな。風呂は明日の朝でい いな、結衣?」

 どちらにしろ明日出かけるまでに余裕があるのだからと虔三郎は笑う。その言葉に結衣ははにかみながらこくん、と一つ頷いたのだった。



 気を利かせた下女が、二人が妾宅に帰ってくる前に布団を敷いておいてくれたらしい。寝室として使っている小部屋を開けるとすでに布団が二組敷かれていた。その上に虔三郎と結衣はじゃれあう子供のように倒れこむ。
 陽だまりの匂いと結衣の柔らかな身体が虔三郎のほっとさせ、同時に欲情を駆り立てた。結衣の滑らかな頬に頬ずりをしながら何度も接吻を重ねつつ、虔三郎は同時に結衣の帯を解いていく。

(ここが俺の安らげる場所----------。)

 ほとんど自宅と化している小さな妾宅に地味で貞淑な女----------商売敵を蹴散らし、さらにのし上がろうとする自分には絶対に似合わないものだと思っていたが、それを心から欲しているのは他ならぬ自分である事に虔三郎は自嘲した。だが、自嘲してもその安らぎを貪るのを止める気は毛頭無い。結衣の帯を解き、胸許をくつろげるとそこに現れた小ぶりなふくらみに虔三郎は舌を這わせ、赤子のようにむしゃぶりつく。

「あっ・・・・ん・・・・・・。」

 虔三郎のひたむきな愛撫に対し、甘さを含んだ吐息が結衣の唇から零れ落ちる。初めて互いの思いを知って抱き合った昨晩以上に艶かしいそれは、虔三郎をすっかり信じきった安堵感さえ感じさせた。細い腕は虔三郎の首の後ろに回され、更なる愛撫をねだるかのように力がこもる。

「そんなに心地いいのか?結衣。」

 結衣の行為に応えるように華奢な背中に腕をまわしながら虔三郎は尋ねる。

「・・・・・はい。」

 昨日よりもさらに心を許したかのような、はにかんだ笑みを浮かべた。その笑顔の愛らしさに引き込まれるように虔三郎は結衣の顔に己の顔を寄せ、再び唇を奪う。

(明日・・・・・上手く逃げ切る事ができるか・・・・・。)

 そんな不安を掻き消すように虔三郎は結衣を貪り続ける。そして虔三郎が感じている不安を結衣も同様に感じているらしい。昨日以上に虔三郎に強くしがみ付き、虔三郎の接吻に応えるその姿はまるで置いてけぼりを食らう幼子のようだ。

「絶対に・・・・・お前を守り通すからな。」

 背中に回した腕に力を込めながら虔三郎は結衣の膝に己の膝を割りいれた。恥じらいながらも侵入してくる虔三郎の膝を拒まず、むしろ包み込むように虔三郎の脚に結衣の脚が絡みついてくる。心を許しあっていればこその仕草に虔三郎は身体の芯が熱くなるのを感じた。

「結衣、俺の服を脱がせてくれないか?」

 虔三郎は自分の首に回されていた腕を解き、結衣の細い手を自分の胸許に引き寄せる。虔三郎の言われるままに結衣はシャツのボタンを外してゆくが、虔三郎はそれを邪魔するように結衣の耳朶に息を吹きかけたりわき腹をくすぐったりと悪戯をする。

「けん・・・・ざぶろ・・・・うさま・・・・・ずるい・・・・・・。」

 上目遣いに結衣は虔三郎を睨みつけるが、虔三郎は全く気にした風も無く悪戯にも似た愛撫を繰り出してゆく。

「ほら、ちっともボタンが外れてないじゃないか。別に俺は構わないぞ。お前だけがあられもない姿で啼く事になるだけだから。」

 くすくすと笑いながら虔三郎は言うと、結衣の着物をめくり上げ、すでに蜜をたたえ潤っている花弁にそっと指を這わせた。

「あんっ・・・・・・そ・・・・れは・・・・・・。」

 結衣は慌て、シャツのボタンを外そうとするがそれは虔三郎の愛撫によって邪魔されてしまう。本当の意味で男というものを知ったばかりの結衣に、虔三郎からの愛撫に溺れずにいろというほうが酷であろう。虔三郎もそれを知っているだけにわざと結衣が何も出来ぬような悪戯を仕掛け続ける。

「俺の手管に耐えて何かをしようなんて十年早い。俺だって本気でお前を落としにかかっているんだからな。」

 虔三郎の言葉と同時に結衣の蜜壷に虔三郎の長い指が二本、容赦なく入り込んできた。結衣が驚く間もなくその指は結衣の蜜壷の中で蠢き、結衣を翻弄し始める。虔三郎の本気の手管に結衣はただその身を任せることしか出来ずただただ虔三郎にしがみ付く。

「ずるい・・・・です・・・・・はうんっ・・・・・・・こんなに・・・・・されて・・・・・しまったら・・・・・・・。」

--------------虔三郎さまだけしか見えなくなってしまいます。

 そんな結衣の訴えに虔三郎は気を良くし、さらに敏感な花弁をそしてその中央にある花芽を責め立ててゆく。

「いいじゃねえか・・・・・俺だけを見続けていればいいんだ、お前は。どんな事があっても絶対にお前を守ってやるから余所に目をやるんじゃねぇ。」

 どこまでも甘い囁き声は結衣の身体の芯に浸み込んでゆく。結衣が自分の色にどんどん染まってゆく優越感に浸りながら虔三郎はズボンの前を緩め始めた。だが、結衣はそれにさえ気がついていないようで、虔三郎にしがみ付きながら快楽を、そして愛を訴え続ける。

「勿論です・・・・・こんなにも、虔三郎さまのことしか見えないのに・・・・・。」

 結衣が甘く蕩けるような文句を言ったその刹那、その華奢な身体を熱くたぎった怒張が貫いた。

「可愛い奴だ・・・・・絶対にお前を手放したりしないからな。」

 結衣に、というよりはむしろ自分に言い聞かせるようにそういうと、これ以上ひとつになれない程結衣を強く抱きしめ、虔三郎は激しく腰を使い出した。



 次の日の朝、二人で近所の一番風呂を使ったあと、ゆっくりと身なりを整える。原との約束は昼近くである。それまでに結衣も、そして虔三郎自身も『戦化粧』を整える必要があるのだ。
 改めて髪を結いなおした結衣はお栄から借りた白緑の着物に華やかな牡丹の帯を締める。髪には帯と揃いの牡丹の花簪をあしらい、結衣の若さを引き立てる。
 一方虔三郎は英吉利製の三つ揃えに結衣の着物とあわせた白緑のネクタイとポケットチーフをあしらった。その色は虔三郎の瞳の色と呼応し不思議なつながりをかもし出している。本来なら羽織袴で訪問するべきなのだろうが、万が一を考えて動きやすい格好をとあえて選んだ三つ揃えであった。そんなこんなで二人の身支度が整ったその時である。

「原様のところから迎えの俥がやってきました。」

 それを知らせにきたのは何と藤堂であった。思わぬ人物の登場に、結衣は勿論虔三郎も驚愕する。

「何故お前がこんな時間にここにいる?」

 部下達には休暇を取らせていたはずだと虔三郎が口を尖らせるが、藤堂は人を食ったような笑みを浮かべながらその理由を話し出す。

「・・・・・明豊堂の大旦那様より命が下っております。万が一があったとき、裏道を抜けて鎌倉の別荘へ逃げるようにと。すでに野毛に馬も隠してありますし、腕の立つ者も揃えておりますので安心して原の旦那と対峙してきてください。」

 いつもながら本気だかふざけているのか判らない口調ながら、その目に宿る光は初めて見るもの-----------新選組一の人斬りと怖れられた者の眼光であった。この男がいるならば何かあっても逃げることが出来るかもしれない・・・・・虔三郎は急に心強さを感じた。

「判った。じゃあ、何かあったら頼む ----------いくぞ、結衣。」

「はい、虔三郎様。」

 虔三郎の言葉に応える結衣の姿はまさに夫唱婦随----------本物の夫婦そのもののようであった。二人は顔を見合わせ互いの覚悟を確認するとにっこりと微笑み、待たせてある俥に乗り込んだのだった。




UP DATE 2010.08.17

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およそ2ヶ月ぶりの横浜慕情の最新話です。ここ最近エッチシーンを書いてなかったので思ったよりぬるくなってしまいましたが勘弁してやってくださいませ><

話としては決戦前夜、ってところですねvもしかしたら最後の情交になるかも、って思いながらのシーンでしたのでもう少し書き込みをしたかったのですが、いつもと違うPCに旦那の帰宅の早さが重なり(お盆明け、仕事もお盆モードですしね~)、止めに自分自身がエロの書き方を忘れているという・・・・・横浜慕情が一段落したら短編でリハビリでもしたほうがいいかもしれません(苦笑)。

次回はとうとう原善三郎の野毛の屋敷に突撃です。藤堂(沖田)他かなりの数の部下も水面下で動いておりますが、果たして彼らの活躍するシーンはあるのでしょうか(笑)。正直肩透かしのほうが虔三郎と結衣にとってハッピーエンドになる可能性が高いんですけどねv来週までお待ちくださいませv
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