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「葵と杏葉」
葵と杏葉・外伝

鰯焼く姫君・後編(戦国時代もの・大人向け)~葵と杏葉・外伝

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 下女達を叱り飛ばし、父親さえやり込める彦鶴のその唇は、どこまでも柔らかく、甘い。直茂は彦鶴を怯えさせないようそっと唇を重ねつつ、その華奢な身体を抱きしめた。
 彦鶴の、二十八歳という年齢の割には引き締まった手応えを寝間着の下に感じつつ、直茂は強引にならない程度に舌で彦鶴の唇を割り、さらに奥へと侵入してゆく。そんな直茂の気遣いを他所に彦鶴の舌は不遜な侵入者を柔らかく受け入れ、絡みあう。濃密な接吻の音だけが灯明だけの暗い部屋に響き渡り、辺りは淫靡な雰囲気に包まれた。

「彦鶴姫・・・・・・」

 互いが溶けてしまいそうな接吻から彦鶴を解放すると、直茂は彦鶴の形の良い耳朶を甘噛みしつつ彼女の名を呼ぶ。その名前を呼ぶだけで胸に熱く、甘酸っぱい感情がわき上がるのだが、直茂の腕にいる彦鶴は少しだけ不満げに直茂を見上げた。

「姫、だなんて他人行儀でございます。彦鶴、と呼び捨ててくださいませ」

 その、男心を擽る彦鶴のねだり事に直茂は舞い上がり、己の頬を彦鶴の滑らかな頬にすり寄せる。

「では、拙者のことも孫四郎と・・・・・・」

 直茂はそう囁くと再び彦鶴姫の唇を吸い、袷から手を差し入れた。帯を緩めた為か、直茂の大きく、剣だこが出来た無骨な手がするりと彦鶴の胸許に滑り込む。その先には熟れた桃のように豊満な膨らみが待ち受けており、直茂はその片方を包み込むように揉みしだき始めた。

「ん・・・・・・」

 直茂の手が心地良いのか、唇を塞がれながらも彦鶴姫は快感を訴える。そんな彦鶴姫の手も直茂の胸許に滑り込み、分厚い胸板を撫でていた。そのさり気ない積極性に、若いだけの娘とは違う、大人の手管を直茂は感じる。これだけ彦鶴も積極的ならばさらに先へ進むことも可能だろう。直茂は意を決して彦鶴に頼む。

「・・・・・・彦鶴、衝立の向こうに拙者を入れさせて貰えぬか。さすがにここでそなたを押し倒す訳にはいかぬ」

 本当は今すぐにでも彦鶴を押し倒し我がものにしたい衝動に、直茂は駆られていた。だが、いくら何でも何も敷かない床に押し倒すのも気が引ける。ここまで来れば否とは言わないだろうと直茂は訊ねたのだが、案の定彦鶴の唇から零れたのは直茂の願い通りの、甘いものであった。

「はい・・・・・・孫四郎様の御心のままに」

 花が咲き誇るような笑みを浮かべ、彦鶴は直茂に許しを与える。それを幸いにと直茂は彦鶴を抱え上げると、衝立の向こう側に敷かれていた彦鶴の褥に歩み寄り彼女を横たえた。そして手早く袴を脱ぎ去るとそのまま彦鶴の上に覆い被さるように横たわる。

「彦鶴・・・・・・そなたが欲しい」

 灯明に浮かび上がる、白いかんばせと黒目がちの瞳を覗き込みながら直茂は再度彦鶴の唇を貪り始めた。さらに少し緩んだ彦鶴の寝間着を左右に押し広げ、張りのある豊満な乳房を露わにする。

「彦鶴は、着やせをするのだな」

 直茂はそう言いながら双のふくらみの間に顔を埋め、しっとりとした感触を愉しむように頬ずりをしたあと、赤子のように豊かなふくらみにむしゃぶりついた。

「孫四郎様は・・・・・・着やせするおなごはお嫌いですか?」

 直茂から与え続けられる快感に声を上ずらせながら彦鶴は訊ねる。

「いいや、むしろ着やせするおなごの方が丈夫そうで拙者の好みだ・・・・・・それにしても、彦鶴の身体はややを沢山産んでくれそうな佳い身体だ」

 離縁した慶円は抱きしめたら折れてしまいそうな程、細身の女だった。その所為か、離縁するまでに子をなすことが出来ず、側室を侍らせていたのだが、彦鶴ならその側室以上に自分の子を産んでくれるかも知れない。
 直茂は彦鶴の身体を褒め称えると、そろりと膝を彦鶴の脚の間に滑らせた。そして今まで乳房を愛撫していた手を素早く、彦鶴の張りのある太腿に忍び込ませる。

「はあ・・・・・・っ」

 溜息にしては甘すぎる声が彦鶴の口から漏れた。前の良人・納富治部大輔によって女としての歓びを覚えさせられた矢先、納富は戦死し、三年もの間孤閨を守っていた彦鶴である。そこへ直茂の愛撫を与えられれば、忘れ去っていた情事の快楽を思い出さずにはいられない。

「彦鶴・・・・・・心地良いのか?」

 微かに開いた脚の間に手を差し入れながら、直茂は彦鶴の耳許で囁いた。吸い付くように滑らかな肌の感触に、一気に秘められた場所に突き進みたい衝動に駆られるが、そこをぐっと我慢する。そしてゆっくりと彦鶴を昂ぶらせるように膝から太腿の裏、そして内腿を撫でさすってゆく。その焦らすような動きに我慢できなくなったのか、彦鶴は焦れたように直茂の帯に手を掛けた。

「はい・・・・・・でも、私ばかり乱されて・・・・・・狡うございます。」

 そう言いながら彦鶴はするりと帯から手を滑らせ、下帯越しに直茂の逸物をなで上げる。その絶妙な愛撫の仕方に、直茂は納富の影を感じてしまった。自分だって妻がいた訳だし、側室だっているのに、妬いてしまう――――――それが恋だと開き直ってしまえばそれまでだが、やはり気になってしまう。

「八ツ溝合戦で亡くなった納富は、そなたをどのように可愛がったのだ、彦鶴?」

 嫉妬が混じった直茂の声に、彦鶴はくすり、と笑った。

「さぁ、三年も前の事ですので・・・・・・忘れてしまいました」

 その声が僅かだけ湿っぽくなる。さすがに死んだ良人のことを聞いたのはまずかったか、と後悔の念が直茂を襲ったが、次の瞬間その杞憂は霧散してしまった。

「・・・・・・ですから孫四郎様のやり方で、彦鶴を可愛がってくださいませ」

 うまくはぐらかされた、と理解つつも彦鶴の甘い声に騙されてしまう。直茂は太腿を撫でていた手をするり、と奥へと滑らせ、熱く滾った花弁を捉えた。

「ここは・・・・・・すでに拙者を欲しているようだな」

 直茂の指に絡みつく、とろりとした蜜は欲情の証であった。直茂はさらにしとどに濡れそぼった花弁を掻き分け、蜜の滴る奥へと指を進めてゆく。すると、子供を産んだとは思えないほど、彦鶴の蜜壺はきゅうきゅうと直茂の指を強く締め付けた。まるで磯巾着を思わせるその感触を堪能しながら指を蜜壺に出し入れしていた直茂だったが、またしても彦鶴が直茂をせっつき始める。

「孫四郎さま、早う・・・・・・」

 直茂の丁寧すぎる愛撫はむしろ彦鶴にとって焦れったかったようである。下帯越しに直茂のそそり立った肉棒に軽く爪を立て、切なげに直茂を催促をする。彦鶴も自分を欲してくれている――――――直茂はそれが嬉しかった。彦鶴の細い手をそっとどけると素早く下帯をずらし、張り詰め、赤黒い艶を放つ怒張を彦鶴の熱く滾った蜜壺に宛がった。

「彦鶴・・・・・・惚れておる」

 それは直茂の紛れもない本心であった。直茂は再び彦鶴の唇を深く吸い、舌を絡め取りながら灼熱の楔を彦鶴の熱泉に打ち込む。そして全てが一つになってしまうような激しい情交が始まったのだった。



 情熱的な情事が終わり、直茂は彦鶴の柔肌を撫でさすりながら耳許に唇を近づけた。

「絶対に、そなたを妻にすると石井殿に申し出るから・・・・・・今しばらく待っていて欲しい」

 今しばらく待って欲しい――――――その言葉に彦鶴は不安げな表情を浮かべる。

「何故・・・・・・すぐにではないのですか?私に何か粗相があったのでしょうか?」

「いや、違う!そう言う訳ではなくて」

 悲しげな瞳で見つめる彦鶴に、直茂は慌てて別に理由があるのだと言訳を始めた。

「実は・・・・・・拙者は前の妻と離縁してからまだ二ヶ月しか経っておらぬ。本当なら今すぐにでもそなたを妻として我が屋敷に連れ帰りたいくらいだが・・・・・・その、あまりにも早く再婚してしまうと前妻が・・・・・・」

 言えば言うほどむにゃむにゃと歯切れの悪くなりつつある直茂に対し、彦鶴は軽く直茂を睨み付ける。

「やっぱり兄の言うとおり、どなたにもお優しいのですね!しかも前の奥方様に気遣いなんて・・・・・・妬けてしまいます!」

 彦鶴は軽くむくれると、直茂の左腕を思いっきり抓った。

「いてっ!」

 意外に強い彦鶴の抓り方に、直茂は思わず叫び、顔をしかめた。

「先の奥様の事は仕方がないとしても・・・・・・私めを妻に、と仰ってくださるのであれば浮気は許しませぬから、覚悟していてくださいませね」

 やはり可愛いだけの女では無かったが、それこそが直茂が彦鶴に惹かれた理由である。まだまだ可愛らしい焼き餅に、直茂はさらなる愛おしさを覚えた。



 そして直茂が彦鶴の許に日夜通うようになった数日後――――――。

「くせ者だ!引っ捕らえろ!」

 石井家は蜂の巣を突いたような大騒ぎになっていた。その先では直茂が裸足のまま必死に庭を走り抜けようとしている。

「父上!違います!あの御方は鍋島孫四郎様でございます!私の許に通ってきてくださって・・・・・・!」

 彦鶴が止めに入るが頭に血が上った父親や家臣を止めることはできない。彦鶴の許に通うようになって数日、油断し始めた頃に事情を知らない下女と鉢合わせになってしまったのである。『くせ者』と騒ぎ出す下女を黙らせることも出来ず、直茂はそのまま逃げているのだ。

「殿!こちらでございます!早く!」

 塀に昇った斉藤が大声で直茂を呼ぶ。

「おう!」

 直茂は後ろから追いかけてくる石井の兵士達の攻撃を躱しつつ必死に走り、塀の上から手を伸ばした斉藤の手を掴んだ。その瞬間である。

「うわっ!」

 直茂の足の裏に激痛が走った。何と追いついた石井の家臣によって足裏を槍で突かれたのである。

「殿!とにかく壁の向こう側へ!傷の手当ては逃げたあとで行いましょう!」

 とにかくこのままでは串刺しにされかねない。転げ落ちるように壁の反対側へ下りると直茂は馬に跨り、尻に鞭を当てた。

ヒヒ ーーーン!

 いななきと共に馬は走り出し、石井の屋敷から遠ざかる。

「殿・・・・・・もう良いでしょう。正式に石井殿に彦鶴姫との結婚を申し込んでくださいませ。命がいくつあっても足りませぬ」

 直茂の後に続きながら、斉藤が半分泣きながら訴える。

「ああ・・・・・・そうするよ。通う度に槍で追われるのは勘弁だ」

 ある意味槍で追い立てられて踏ん切りが付いたのだろう。馬を走らせながら、直茂は家臣の言葉に頷いたのだった。



UP DATE 2011.08.04


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予約投稿第二弾『鰯焼く姫君・後編』です。久しぶりにエロを書きましたが・・・・書き続けていないと書き方忘れますね(爆)。もう少し大人向けにしたかったんですが、前編が健全ですのでこんなものでしょう(^^;)

戦国大名としては珍しく恋愛結婚だったこの二人ですが、通い出して間もなく石井の家臣団に『不審者』として追い立てられ、足の裏を刺されたというのは実話だそうです。
っていうか、この当時は大名じゃないにしてもそこそこの身分の筈なのに夜這いって・・・・・しかも不審者として追いかけられるって・・・・・堂々と言えば良いのにと思ってしまうのは私だけでしょうか(笑)。色々事情があったのでしょうけど、戦国武将としてどうかと思っちゃいます。


この話に限らず、藩祖・鍋島直茂というひとのエピソードって『気遣い』や『優しさ』を感じるものが非常に多い気がします。普通の感覚であれば元・主君の龍造寺家を潰しても誰も文句は言わないだろうに、ちゃんと領地を分け与えておりますし、代替わりした後、生活に困り強盗を働いた家臣の処遇に対し『昔よく働いてくれた家臣を現在このように追い込んでしまったのは自分の責任だ』とさり気なく息子等を脅し、罪一等を減じさせたらしいですし。(その家臣は斉藤用之助と言います。今回登場しているキャラ・斉藤とは無関係ですが名字だけ借りちゃいました^^;)

もう少し戦国時代の勉強をしてから、改めて挑戦してみたい人物ですv


臨時ミニ連載にお付き合いくださり、ありがとうございましたv明日はtwitter小説のまとめをUPします。
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