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「紅柊(R-15~大人向け)」
癸巳・春夏の章

年礼と女礼者・其の参~天保四年一月の景色(★)

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潮騒の音が鳴り響く春まだ浅い夜、忍び泣きのような寿江の嬌声と為右衛門の低く、甘い囁き声が部屋の中を這ってゆく。

「ほら、寿江。こんなに感じやすくては子作りどころではないぞ。」

 為右衛門は固くしこった蕾を口に含んだまま喋り続け、喋り終わった瞬間舌を絡めながら強く吸い上げた。

「ああんっ。」

 経験豊富な大人の手管に翻弄され、甘ったるい声が寿江の口から零れる。為右衛門が口に含んだ蕾は刺激にますます存在感を増してゆくが、それを為右衛門は優しく吸い上げ、軽く歯を立てながら弄んでゆく。二人の情事はまだ始まったばかりだというのに寿江は昂ぶり、為右衛門の厚い胸板にしがみついた。

「旦那様・・・・・もぉ・・・・・わたくしを嬲るのは・・・・・あんっ・・・・・お止めくださいませ。」

 為右衛門に翻弄されっぱなしの寿江は、切なげな目で為右衛門を睨みながら訴えるが、為右衛門はあえてその言葉を無視するようにもう片方の乳房を掌で包み込んだ。そしてこちらも硬く、充血した蕾を指で摘み、少し強めに擦りあげる。

「はあぅ!」

 今までより強い刺激にびくん、と寿江の身体が跳ね上がる。若鮎のような寿江の反応の良さに気を良くした為右衛門は、さらに彼女を昂ぶらせるべくそのしなやかな身体を翻弄し始めた。



 十六歳で為右衛門の許に嫁いできた寿江は祐筆・榎本麒一郎の次女である。本来なら祐筆と御徒、身分違いで結婚することは適わないのだが、後藤五左衛門の代から御様御用を任されている剣の使い手の家系であること、そして子沢山の上にほぼ全員が健康に成長した子供達の行き先に困った榎本が半ば強引に為右衛門に押しつける格好で寿江を嫁がせたのである。
 最初こそ『人斬』の家に嫁にやられたと怯えていた寿江であったが、一回りも歳の離れた為右衛門の大人の優しさが良かったのか、それとも試し斬りの家に嫁いできた嫁を家族総出で気遣った為か、寿江はすぐに後藤家に馴染んだ。
 残った問題は跡継ぎだけなのだか、こればかりは授かりものであるし、如何ともしがたい。しかし周囲はそれを良しとせず、特に寿江の父親である榎本はさすがに『娘が子供を産まなくて申し訳無い』と為右衛門に詫びを入れ、妾の世話を申し出たが為右衛門はあっさりとそれを断った。

「それがしは妻を生涯ただ一人の相手と決めております。お気持ちはありがたいのですが、今暫くご容赦の程、お願い致します。」

 そう断言され、深々と頭を下げられては榎本としてもそれ以上何か言うことは出来ない。

「承知しました。あれは・・・・・幸せ者です。」

 御徒とは言え二代に渡って将軍家御様御用を務め、山田道場でも高い地位を得ている後藤家は新見藩の誇りである。その家を自分の娘を嫁がせたことで潰してしまったとあっては申し訳が立たない。榎本は涙を浮かべながら義理の息子に深々と頭を下げた程である。
 だが、為右衛門自身は周囲が気にするほど子供ができない事を深刻に考えていなかった。子供がなかなかできない事を除けば寿江は良くできた嫁で、舅姑にも尽くしてくれるし弟妹達ともうまくやってくれる。こと身分が違うと慣習なども違ってくるだけに馴染めないことが多いと聞くが、寿江にはそれが無かった。そしてそれ以上に----------。

「だ・・・・・んな、さまぁ・・・・・。」

 為右衛門の腕の中で快楽を訴え続ける寿江があまりにも愛らしく、為右衛門は再び唇を貪った。藩の同僚や試し斬り道場での付き合いでそれ相応に経験も重ねてきた為右衛門だが、ここまで為右衛門の思うがままの反応をしてくれるのは寿江ただ一人である。否、寿江の閨での仕草、反応は為右衛門が一から作り上げたと言っても良いだろう。
 何も知らない処女に思うがまま手取り足取り自分の好みを教え込み、己の色に染め上げた、ただ一人の女----------それが寿江であった。閨事に対して奥手だったのも幸いしたのかも知れない。為右衛門の言うことを素直に受け入れ、今では呼吸をするようにごく自然に為右衛門が望むような反応を示すようになったのである。

(あとは俺が頑張るだけか・・・・・。)

 唇を重ね、貪り愛ながら為右衛門は寿江の太腿に手を滑らせ、その奥に侵入した。するとそこは火照った肌よりなお熱い蜜が溢れ出ており、為右衛門の剣だこができた、太い指に絡みつく。その反応に満足しながら、為右衛門は手探りで寿江の花芽を探し始めた。そしてしっとりと湿ったひこばえに隠れている花芽を探し出すと、それを蜜を絡めた指でつるり、と撫で上げたのである。

「んっ・・・・・。」

 慣れている筈の為右衛門の愛撫に強い反応を示し、寿江の眉根が少し寄る。そして脚の間にある為右衛門の手を挟み込むように太腿に力が籠もった。これでは指先は動かせるものの、それ以上は動かすことは出来ない。だが、為右衛門はそれを良いことに指先で花芽や花弁を擽るように愛撫しながら、寿江の耳に唇を近づけた。

「そんなに脚に力を入れてしまっては、これ以上可愛がってやれぬぞ。」

 意地悪く耳許で囁きながら為右衛門は寿江を空いた腕で抱き寄せ、耳に舌を忍ばせる。寿江を昂ぶらせながら自分は冷静を装う----------そんな為右衛門の術中に寿江はまんまと嵌ってしまった。

「旦那様・・・・・そんな意地悪を・・・・・言わないでくださいませ。」

 恨めしそうに上目使いで為右衛門に訴える寿江に、為右衛門はくすくすと笑いながら頬ずりする。

「だったら脚の力をお抜き。」

 為右衛門は弟や後輩達には絶対に聞かせられないような、蕩けるような優しい声で寿江に囁いた。その声に誘われるように寿江はおずおずと足の力を抜いてゆく。

「いい子だ。」

 為右衛門は寿江の頬に唇を落とすとその太腿を広げ、己の逸物を宛がった。どくどくと脈打つ為右衛門の逸物は、まるで十代のような勢いを示しながら寿江の蜜壺のとば口を焦らすようになぞってゆく。

「旦那様ぁ、焦らさないで・・・・・。」

 鼻に掛った声で寿江は訴えるが、為右衛門はそのまま己の逸物を寿江の蜜壺に宛がったままにやりと笑う。

「寿江、お前が好きなように動いて良いんだぞ。これだけ濡れているんだ、少し腰を浮かせればすんなり挿ってしまうはずだ。遠慮は要らないから・・・・・やってごらん。」

 為右衛門の囁きは寿江の心を操る力があるのだろうか。為右衛門に誘われるように寿江は腰を浮かせ、為右衛門を飲み込んでゆく。そしていつの間にか寿江の声は潮騒より甲高く響き始めた。



 それから一刻後----------あまりにも激しく、情熱的な情事に疲れたのか、諸々の後始末を終えた寿江は、布団に潜り込んだ瞬間、為右衛門の腕の中で眠り込んでしまった。

「久しぶりだったから・・・・・少し無理をさせたか。」

 為右衛門の腕の中、安心しきった表情で眠りに就く寿江を見つめながら為右衛門は微笑む。その時である、微かではあるが階下でがらり、と引き戸が開く音が聞こえてきたのだ。その音の出所からすると、どうやら勝手口が開いたらしい。

「・・・・・五三郎か。」

 自分達に気を使って木戸が閉まる寸前に帰宅したらしい。為右衛門は寿江を起こさぬようにそっと腕を抜いて起き上がると、そろりそろりと一階へと下りていった。

「五三郎か?白湯でよければ火鉢にかかっている鉄瓶に入っているぞ。」

 勝手口の横にある水瓶の水を柄杓で飲んでいた五三郎に為右衛門が声を掛ける。

「あ、兄者。申し訳ありません、起こしてしまいましたか?」

 水を飲みかけていた五三郎は、兄の顔を見るなり慌てて頭を下げた。五三郎にとって為右衛門はただ長兄であるというばかりでなく、剣術の師匠でもある。父親以上に頭が上がらない存在と言っても良いだろう。

「いや。寝る間もなかったが。済まないな・・・・・お前にまで気を使わせて。」

 こんな時間に五三郎が帰ってくる理由はただ一つしかない。自分達に子供が出来ない事を弟にまで気遣わせてしまう----------さすがに申し訳無いと為右衛門は五三郎に詫びた。

「いえ、そんな・・・・・。」

 そう言いながらも、なまじ的を射ているだけに五三郎は口籠もる。

「俺達に早く跡取りができれば、お前にも気を使わせることは無くなるんだがな。」

「そればかりは・・・・・しょうがないじゃないですか。そもそも兄上は妾を持つつもりは無いんでしょう?」

 兄夫婦の仲の良さは嫌と言うほど思い知らされている五三郎である。それこそ藩主の命令でもなければ兄は妾を持つような真似はしないだろうと五三郎も半ば諦めていた。そして案の定、為右衛門は五三郎の言葉に頷く。

「まあな。まだ寿江も二十二になったばかりだし----------もし、できなかったらお前の子供でも養子に貰うさ。」

 為右衛門のその言葉には、本気の気配が含まれていた。その声音に五三郎は苦笑する。

「冗談きついですよ、兄上。俺自身の養子のクチだって決まっていないものを。」

 父親や兄嫁を起こさないよう声を押し殺して笑う五三郎であったが、為右衛門の答えは穏やかながら五三郎の心にぐざり、と刺さるものであった。

「養子の口って・・・・・お前はもう諦めたのか、七代目浅右衛門の銘を----------俺はそんなつもりでお前を鍛えている訳ではないぞ。」



 潮騒が鳴り響く部屋の中、二人の間にしばしの沈黙が流れる。七代目山田浅右衛門になる、すなわちそれは幸と夫婦となり山田家を継ぐと言うことである。下級武士の次男坊の養子先として、これ以上のものはそうそう無いだろう。そして妙齢の弟子達は勿論それを目指して日々精進している。

「確かに前畑の芳太郎や利喜多、半年前に入ってきた広田など競争相手は多いが、お前にはそれだけの腕があるはずだ。幸との年の差だって七歳と・・・・・。」

「止めてください、兄上!」

 夜中であることを忘れ、五三郎は大声を上げ為右衛門の言葉を遮った。

「あいつとは・・・・・本当の兄妹のように育ってきたんです。そりゃ、試し斬りをやっている身としては『浅右衛門』の銘は憧れますけど・・・・・。」

 五三郎はごくり、と唾を飲み込む。

「ただでさえ幸は・・・・・親に早死にされて、あの細い肩に山田家の銘を背負っちまっている。だからせめてあいつが惚れた男と一緒になって貰いたいんです。俺はそれを支えるだけで・・・・・。」

 絞り出すような五三郎の言葉に、為右衛門は溜息を吐いた。

「自分に惚れさせよう、って気概は無いのか、お前には。」

「そんなものがあれば、遊里で連戦連敗とはいかないでしょう。」

 この前だって買った娼妓が一度も顔を見せに来なかったと五三郎は肩を竦める。

「それはお前が高望みをするからだ。」

「幸は場末の女郎よりも遙かに高値の花ですよ。」

「確かにな。」

 弟の言葉に為右衛門は苦笑しながら頷いた。

「だが・・・・・浅右衛門の銘は諦めるなよ。親父や俺が得ることが出来なかった銘だが、お前にはまだまだ可能性がある。その為には・・・・・。」

 為右衛門は五三郎に流し目をくれる。

「もう少し刀を信じろ。お前に足りないのはそれだけだ。」

 そう言い残すと踵を返し、為右衛門は自分の寝室へと引き返していった。



 次の日、いつもより少しだけ遅く為右衛門と五三郎は山田道場にやってきた。

「為右衛門先生、五三郎兄様、お早うございます!大先生は藩のお務めですか?」

 二人に声を掛けてきた幸は珍しく女物の着物に銀杏髷を結っていた。

「お、今日はお前が年礼か?紋付なんて着込んで・・・・・大奥にでも呼び出されたか?」

 昨晩の為右衛門とのやり取りの為か、五三郎はやけに眩しそうに幸の娘姿を見つめる。

「ええ、年礼というか何というか・・・・・佐賀に嫁がれた姫君様から、長刀の試しを頼まれたんです。今日はその詳細を伺いに行ってこようかと。」

 幸のその言葉に、五三郎と為右衛門の二人は納得げに深く頷いた。

「武威で有名な佐賀藩は、貰った奥方も武術好きで有名だからなぁ。確か姫君様ってあそこの殿様より三歳も年上の兄さん女房だったよな?身分も歳も上じゃ完全に尻に敷かれているんだろうなぁ・・・・・気の毒に。」

 他藩の大名に対してあまりと言えばあまりな五三郎の発言を、幸はやんわりと窘める。

「兄様、口が悪すぎますよ。まったく・・・・・今は誰もいないからいいですけど、ここには色んな藩からお弟子さんが来るんですから口には重々気をつけてください。あ、それと六代目の体調も戻りましたので、今日は昨日の分までしっかりしごかれてくださいね。あ・に・さ・ま。」

 無邪気な笑顔と共にそう言い残すと、幸は既に呼んであった宿駕籠に乗り込み、佐賀藩邸にある御住居へと出発したのだった。



UP DATE 2012.1.17

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為右衛門と寿江の年の差夫婦、頑張って子作りしているのですが、なかなか子供に恵まれないようです。原因の殆どが為右衛門の多忙によるものなのでしょうが、もしかしたら『がんばりすぎ』なんじゃないかと・・・・・(要・オトナの深読み・笑)この『子供が出来ない』ということは、跡継ぎを作ることが義務だった江戸時代に於いて非常に深刻な問題でして、『妻の実家が妾を世話する』という話もままあったようです。今回為右衛門も嫁の父親から妾の紹介を受けるところでしたが、それはあっさり断っております(^_^;)

余談ですが後藤家と祐筆・榎本家、本当は後藤家の三男と榎本家の娘が結婚しておりまして、為右衛門じゃないんですよねぇ。ただ、藩の祐筆と結婚できるくらいの身分orそれが認められる実力(将軍家御様御用を任されている等々)があるらしいということが判りましたので、三男の話を長男の為右衛門にシフトしてしまいました。本当に『紅柊』は調べ物に苦労します(苦笑)。


周囲の動向は色々あるようですが、そんな中今度は幸が年礼に出向きます。特別出演として盛姫に登場して貰うつもりですので宜しかったら次回をお楽しみくださいませ。更新予定は24日ですv

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