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「紅柊(R-15~大人向け)」
癸巳・春夏の章

うそかえ・其の参~天保四年二月の再会(★)

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 日差しにさえ嫌われてしまったかのように薄暗く、ひんやりとした部屋の中、銀兵衛は小さな声で喜代に語りかけた。

「今更なのは百も承知だ。だけど、喜代・・・・・もう一度やり直さないか。」

 鷽の木偶人形を握りしめながら、銀兵衛はなけなしの勇気を振り絞る。結婚当初から冷遇し、不義をするまで追い込んだのは他でもない自分であるし、その上今まさに喜代を乱暴に犯したばかりである。拒絶されるのは火の目を見るより明らかだが、それでも銀兵衛は言わずにいられなかった。たとえ拒絶され、心中することになっても己の気持ちを吐き出すことができただけでも銀兵衛は満足である。案の定喜代からの返事はなく、微かな息づかいだけが彼女の存在を感じさせるだけであった。

(当たり前・・・・・だな。)

 自嘲的な笑みを浮かべながら、銀兵衛は恐る恐る喜代の方を振り向いた。その瞬間、銀兵衛は唖然とする。

「き・・・・・よ?おまえ・・・・・!」

 銀兵衛の前には後ろ手に縛られつつも上体を起こし、銀兵衛をじっと見つめている喜代がいた。髪は乱れ、体中には痛々しい青痣がいくつもある上に、腰まで露わになった下半身は、脚こそ閉じられているが無残に汚され、汚れている。さらにその頬には涙が伝っていたが、微かに、しかし確かな笑みが浮かんでいたのである。
 そして、その笑みは間違いなく銀兵衛へ向けられており、喜代は笑顔のまま銀兵衛に語りかけた。

「旦那様・・・・・やり直そうって・・・・・それは、誠でございますか。」

 泣き濡れながらも、その声は堪えきれない嬉しさを滲ませている。しかし、まだ確信しきれないのか同じくらい不安の色も滲ませていた。

「不義を犯した私に・・・・・やり直そうなんて・・・・・。」

 その言葉を瞬間、銀兵衛は喜代ににじり寄りその華奢な身体を抱きしめた。銀兵衛の腕の中で一瞬喜代は苦しげに呻いたが、それでも銀兵衛は腕の力を緩めようとはしなかった。否、緩めることが出来なかったと言った方が正しいだろう。

「それは・・・・・俺の所為だ。俺にもう少し甲斐性があって、お前に冷たく当たらなければあんな事にはならなかった筈だ・・・・・。」

 銀兵衛は喜代の髪に顔を埋めながら囁く。

「それよりも、お前はいいのか?俺はお前に対して冷たくしてきたし、それに今も乱暴を・・・・・。」

 この時になって銀兵衛は己のやらかしたことに本当の意味で気が付き愕然とした。これらの事に比べたら喜代のたった一度の不義など些細なことである。急に自信を失いかけ、腕の中の喜代から身体を少し離した銀兵衛だったが、銀兵衛の失いかけた自信を取り戻させたのは他でもない喜代であった。

「私には・・・・・旦那様しかおりませぬ。」

 銀兵衛の腕の中、見上げながら喜代は言う。その声は銀兵衛が初めて聞く、蕩けそうなほど甘いものであった。

「喜代・・・・・!」

 その一言に我を忘れた銀兵衛、喰らいつくように喜代の唇を貪った。先程喜代を犯したときと同じように強引に唇を割り、舌で喜代の口腔を犯すが、先程と違うのは喜代の反応であった。
 先程は恐怖に身体を竦ませ、舌先まで強張っていた喜代だったが、今は銀兵衛の舌に応えるように己の舌を絡ませてくる。それは拙くぎこちないものであったが、今まで受け身だけだった喜代が控えめながら自分に応えてくれたことが銀兵衛には嬉しかった。
 最初こそ獣のように荒々しかった接吻だが、喜代に合わせるように徐々に穏やかなものに変わってゆく。心を通じ合わせた深い接吻----------ただそれだけのことなのに、先程何度も精を放ちながら得られなかった充足感が銀兵衛を満たしていった。
 ----------どれほど長い時間そうしていただろうか。ようやく心の平穏を取り戻した銀兵衛は、喜代を接吻から解放した。そして唾液に濡れた喜代の口の端をちろちろ舐めながら、後ろ手に縛られた喜代の手首を擦る。

「・・・・・今、手の戒めを解いてやるからちょっと待っていてくれ。」

 銀兵衛は喜代を抱きしめたまま結び目を解こうとしたが、結び目が固くなってしまっていてなかなか解くことが出来なかった。

「解けないな・・・・・小柄を取ってくる。」

 自分で解くことを諦めた銀兵衛は、立ち上がり大刀を取り上げると、拵えの小柄を抜いて戒めを断ち切った。戒めから解放された喜代の手首には擦れた跡があり、痛々しい。銀兵衛は改めて喜代の前に回り込みながら喜代の手を取ると、痣ができた手首を撫でさする。

「喜代・・・・・良いんだな?」

 喜代の手首を撫でながら、銀兵衛は改めて喜代の気持ちを確認する。そして喜代は嫌な顔ひとつせず、銀兵衛の問いに答えた。

「はい・・・・・・勿論でございます。」

 恥じらいながら嬉しげな笑みを浮かべ応える喜代を、銀兵衛は改めて優しく、そして強く抱きしめた。



 同じ身体を抱いているとは思えない―――――喜代を抱きしめ唇を重ね合わせながら銀兵衛は思った。先程は恐怖に怯え、身体を強張らせていた身体が、今は全てを任せきってどこまでもしなやかで柔らかい。銀兵衛は喜代を昂ぶらせるように舌を絡ませながら薄い胸に手を這わせた。先程強く掴んだ所為で鬱血しているだけに、その触り方も慎重だ。

「・・・・・痛くないか?」

 一旦唇を離しながら銀兵衛は喜代に尋ねる。

「・・・・・。」

 喜代は黙ったまま首を横に振った。その目潤んだ目は喜代の昂ぶりをあらわしている。蒲生の家は躾に厳しく、閨事でもはしたない真似はするなと言われているのだろう。今まで喜代が羽目を外すところは見たことが無かったし、情交に溺れる素振りも見せたことがなかった。それだけに上気した頬と潤んだ目は銀兵衛に自信を与える。

「そうか・・・・・痛かったら遠慮無く言ってくれ。でないと・・・・・また無体をしてしまいそうだ。」

 銀兵衛は今度は喜代の首筋に舌を這わせながらそっと乳房を撫で回し、先端で尖っている突起を指で転がした。その瞬間、喜代の身体がぴくり、と跳ね上がる。

「・・・・・・はぁっ。」

 溜息のような、押し殺した声には明らかに快感の響きがあった。結婚していた頃の情交でさえ声を押し殺し、はしたなく嬌声を上げるような真似は絶対しなかった喜代がこの様な声を上げることさえ極めて珍しい。少なくとも銀兵衛は初めて耳にする。もしかしたら快感に声を上げることさえ喜代は知らないのではないか―――――そう思い至った銀兵衛は、喜代の耳に唇を寄せ、そっと囁いた。

「心地良かったら・・・・・遠慮せずに声を上げていいんだからな。どんなにあられもない姿も声も・・・・・知るのは俺だけなんだから。」

 その瞬間、銀兵衛の指はは今までよりさらに強く喜代の乳首を刺激する。緩急を付けながら与え続けられる銀兵衛からの刺激に喜代の頬は、そして白い身体はますます赤みを帯びてゆく。そして銀兵衛は喜代の耳朶を強く舐り、軽く歯を立てた。快感から逃げようにももう一方の銀兵衛の腕が喜代をしっかりと抱きかかえ、逃げ出すことは叶わない。逃げ場を失った快感はどんどん喜代を高みに突き上げ、翻弄する。

「あっ・・・!」

 容赦のない銀兵衛の愛撫に耐えられなくなったのか、喜代は思わず銀兵衛にしがみついてしまった。そしてしがみつきながら小刻みに震えている。どうやら軽く気を遣ってしまったらしい。身体を紅潮させながら肩で息をする喜代の背中を撫でながら、銀兵衛は耳朶を舐るのを一旦止め、からかうように囁いた。

「・・・・・こんなに感じやすかったんだな、喜代は。今まで俺はだいぶ損をしていたようだ。」

「感じ・・・・やすい?」

 銀兵衛の言っている意味が解らなかったのか、しがみつきながら喜代は不思議そうに銀兵衛の顔を見上げた。その頬は紅を差したように紅潮し、半開きになった唇は艶っぽく濡れている。その唇に自分の唇を一度落としたあと、銀兵衛は喜代の瞳を覗き込んだ。

「そうだ。まだまだこれからが本番なのに、こんなに敏感に反応するなんて・・・・・気を遣りすぎて腰を抜かしても俺は知らんぞ。」

 冗談めかしながらそう言うと、銀兵衛は喜代の背中に回した手を下へ滑らせ小さな尻をなで上げた。

「きゃあっ。」

 そのぞわり、とした感触にびっくりした喜代はさらに強く銀兵衛にしがみつく。

「お・・・・・お止めくださいませ・・・・・。」

 一体自分はこれから何をされるのか、そしてこれからどうなってしまうのか理解出来ず、喜代はただ銀兵衛に縋り付くことしかできずにいる。それを良いことに銀兵衛はさらに喜代を責め始めた。

「そう言いながら俺にしがみついているじゃないか。乱れるのが嫌ならば俺から逃げないと・・・・・でなければ、もっと恥ずかしい思いをすることになるぞ。」

 銀兵衛は笑いながらさらに喜代の尻の割れ目に指を滑らせてゆく。結婚していた頃にはこのような愛撫をしたことはなく、喜代にとっては初めての感覚なのだろう。菊座から蜜壺、そして敏感な花芽へと滑り込んでくる銀兵衛の指が与えてくれるものが快感なのか、不快なのかさえ理解することが出来ず、ただ銀兵衛にしがみつき震えていた。

「だ・・・・・んな・・・・・さまぁ!」

 だが、しがみつくことでさらに銀兵衛の愛撫から逃れることは不可能になる。いつの間にか押し倒された喜代の膝は銀兵衛の膝によって閉じることを不可能にされ、銀兵衛の手の動きを許してしまっている。一方、銀兵衛の膝は喜代の太腿深くに割り込み、いきり立った逸物が喜代の滑らかな太腿に押し当てられていた。さらに銀兵衛のもう一方の手は喜代の乳首を弄び続けており、唇は喜代の首筋から耳朶にかけての敏感な部分を責めている。
 そもそも銀兵衛の一方的な交わりと、不義の相手による吐き気がする情交以外知らない喜代にとって、一度に複数の場所を嬲られるという経験は初めてであった。先程、乳首を嬲られた快感など比べものにならないくらい強く、激しい快楽の波が立て続けに喜代を襲い続ける。
 そしてそれは喜代の身体の反応として現れ始めた。花芽や蜜壺を往復していた銀兵衛の指をいつの間にか熱を帯びた蜜が濡らし、くちゅくちゅと淫靡な濡音を部屋に響かせ始めたのである。今まで殆ど濡れることがなかった喜代のこの反応に銀兵衛は満足し、耳朶に唇を這わせながら思いの丈を訴えた。

「喜代、惚れている・・・・・。」

 そう言いながら、銀兵衛は熱い滴りを零し始めた蜜壺に指を挿入した。拒絶するような引き攣れを伴った先程とは違い、銀兵衛の指はするりと喜代の蜜壺に入り込んだが、次の瞬間、銀兵衛の指はかなりの締め付けにあい軽く驚く。

(これが・・・・・女の身体なのか。)

 心が通じ合った瞬間に、身体も男を受け入れるように整えられる―――――蜜が滴る蜜壺を銀兵衛に嬲られながら、自分にしがみつく喜代を見つめ、銀兵衛はさらに嬉しくなる。

(ならば・・・・・応えてやらねば。)

 銀兵衛は指を抜くと、すかさず喜代の太腿に擦りつけていた己の逸物を宛がった。

「喜代、挿れるぞ。」

 その声はどこまでも優しく、喜代は安心しきった表情で頷いた。その表情に促されるように銀兵衛は喜代の蜜壺に己の逸物を挿入する。

(違う・・・・・これが、本当の喜代なのか。)

 挿れた瞬間、先程とはまったく違う感触に銀兵衛は驚愕した。指でも感じていたが、喜代の蜜壺は銀兵衛をすんなりと受け入れたにも拘わらず、挿れた瞬間銀兵衛を逃がすまいとでもするかのように強く締め付けてきたのである。子供を産んでいる女のものとは思えぬその締め付けに銀兵衛は精を吐き出しそうになるが、さすがにここで漏らしてしまってはあまりにも悲しすぎる。できるだけ長くこの快感を味わっていたいと、できるだけ刺激を避けるように努力したがそれも最初だけで、いつの間にか銀兵衛の腰は喜代の身体の奥を深くえぐるように激しく動き出していた。

「だんな・・・・さまぁ。」

 先程とは違う、甘く切ない声が銀兵衛の耳許で囁かれる。自分にしがみつく喜代の腕に力が籠もり、喜代の昂ぶりも最高潮に達していることを銀兵衛は知った。

「喜代、気を遣るときは・・・・・一緒に・・・・・。」

 銀兵衛の腰はさらに激しく動き、そして----------二人は強く抱き合ったまま、同時に気を遣ったのである。激しい息づかいだけが響く小さな部屋に、ようやく西日が差してきたことに気付くこともなく、二人はただ互いの身体を強く抱きしめていた。



 雀の鳴声と仄かに漂う梅の香に誘われて銀兵衛は目覚めた。相変わらずの男一人寝だが、銀兵衛は満足していた。喜代は昨日の日暮れ前に実家へ返した。さすがに離縁した夫の許に泊まるのは体裁が悪すぎる。

「・・・・・今度の十六日はあらかじめ仕事を済ませておかないとな。」

 喜代の来訪を知らされてた銀兵衛は仕事を放り出していた。その仕事は勿論そのまま残っており、銀兵衛は臭い鰯油の灯明に燻されながら丑の刻までかかって仕事を終えたのである。心置きなく喜代との逢瀬を堪能するにはあらかじめ仕事を終わらせておかなければならない。

「暫くはこの木偶人形が喜代の代わりだな。」

 銀兵衛は仏壇に飾った鷽の木偶人形を見やりながら微かに微笑む。雀の声に混じりどこからともなく鶯の恋鳴きが聞こえ始めた中、銀兵衛は道場に出かける準備を始めた。いつもと同じ行動だが昨日とは明らかに違うのは、愛しい人が自分を想ってくれているという確信である。
 以前のように夫婦で暮らすことは難しいかもしれないが、それを支えに自分はますます強くなれると銀兵衛は襟を正し、ようやく春めいてきた江戸の街へ歩き始めた。



UP DATE 2012.2.21

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ようやく互いの誤解が解け、仲直りができた銀兵衛と喜代でした(^o^)これが『焼けぼっくいに火が付いた』って奴なんでしょうね~。
ただ、あくまでもこれは本人達だけの仲直りなので、即復縁といかないところが当時の面倒臭いところ(笑)。暫くは元夫婦でありながら、人目を忍んでの逢瀬となりそうです。(まるで不義密通・苦笑)
さすがにこんな状況がいつまでも続くとは思えませんので、そのうち何かしらの動きがあるでしょう。それは今年の年末になるか来年になるか解りませんが・・・・・紅柊イチの面倒臭いCPの話はまだ終わりではありませんので、ご了承くださいませねv

来週の更新は猫絵師国芳三月分、3月の紅柊はようやく主役の恋バナを取り上げることができそうです(^o^)
(実は山田浅右衛門の句で『多分彼女の事を読んだのでは?』というすっごく可愛らしい句があるのですvタイトルはその句の頭『花になれ 花になれとや~』とさせて戴きます。)
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