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「紅柊(R-15~大人向け)」
癸巳・春夏の章

黴雨の盗人・其の壹~天保四年六月の事件(★)

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しとしとと梅雨の走りの雨が闇夜から落ちてくる。その為か、江戸の夜はいつもよりも早く眠りに就いたように静かであった。それは麹町三丁目にある生薬屋・轟木屋も同様で、裏の通用口が叩かれるまで皆深い眠りに就いていた。

「すみません!いつもお世話になっております深川の伊吹屋でございます!轟木屋の番頭さんが酔われてしまったので送り届けに参りました!」

 どんどんと激しく叩かれる戸の音と若い男の大声に眠りを破られた若い手代は、眠たげな目を擦りながら戸に穿たれた穴から外の様子を見る。そこには提灯を手にした若い男と、下男の様な屈強な男が立っていた。そして屈強な男に肩を借り、崩れ落ちるようにぐったりしているのは間違いなく轟木屋の番頭の一人、康二郎である。どうやら伊吹屋との接待で飲みすぎてしまったのだろう。康二郎の酒癖の悪さはいつもの事である。

「すみません、伊吹屋さん。うちの番頭を送り届けてくださ・・・・・うわっ!」

 手代が裏口のつっかえ棒を外し、戸を開くや否や十人以上の男達がいきなり押し入ってきたのだ。

「お、押し入りか!」

 しかしそう叫ぼうと思った瞬間、手代は喉元に焼き付くような痛みを感じその場に倒れる。さらに背中に刃が突き刺さり、手代はあっけなく命を奪われてしまったのだ。湿気混じりの空気に生臭い血の臭いが入り交じり、それがますます濃くなってゆく。

「恭四郎、いつもながら良い獲物を選んできたな。轟木屋はここ最近相当儲けているって噂じゃねぇか。」

 頭らしい中年の男が若い男----------恭四郎ににやりと笑いかけながら、肩に抱えていた番頭を手代の亡骸の上に放り投げた。すでに番頭も息絶えており、手代が作った血溜まりの血を跳ね上げながら土間に転がる。
 強盗の標的になる店を選び、番頭の酒癖の悪さを利用して勝手口のつっかい棒を明けさせる計画を立てたのも、全てこの若い男、恭四郎の提案であった。ただ一つ、番頭本人の死体を使う事以外は・・・・・。

「いいえ、計画だけなら誰にだって立てることができやすが、実行するには熊五郎一味のお力がなけりゃ不可能でさぁ。」

 若い男は中年の頭、熊五郎のおだてに乗ることなく、逆に熊五郎を褒めそやす。その言葉に悪い気はしないのか、熊五郎は恭四郎の顔を覗き込み、一つの提案をする。

「客分にしておくのは勿体ねぇ。いい加減俺の配下につかねぇか?」

 だが、恭四郎はその言葉に対して首を横に振った

「いいえ、やめておきましょう。あっしの師匠は独眼の和吉ただ一人、オヤジを裏切る気はありやせん。」

「・・・・・死罪になった男に義理立てするか。変わった奴だ。」

 熊五郎は苦笑いを浮かべると、恭四郎を置いてさっさと奥座敷に行ってしまった。他の者達は手代や丁稚を殺めたり、下女を犯したりとやりたい放題だ。血飛沫が舞う阿鼻叫喚の中、奪えるものを全て奪い、火をかけて逃亡する----------それが悪名高い熊五郎一味のやり方であった。そして恭四郎は訳あって熊五郎一味の片棒を担がされている。

「相変わらず好き放題やりやがって・・・・・しかしどうやら離れには誰も向かっていないな。」

 恭四郎は確認するとそっと母屋から出て行った。轟木屋には女ばかり四人の娘がいる。上の三人はすでに嫁いでここには居ないが、ただ一人、末娘の澪だけは嫁がず、手代達が迂闊に近づけない離れで暮らしていた。恭四郎は内部調査のため、色仕掛けで下女を籠絡した際、それを聞き出していたのである。

(今時珍しい本物の『箱入り』とやらを犯るのも悪くない。)

 強盗をしても恭四郎への金品の分け前は一切無い。何故なら恭四郎の盗みの師匠である『独眼の和吉』が熊五郎へ借金をしたまま奉行所へ捕まり、死罪になってしまったからである。その借金三十両分を返済するまで恭四郎はただ働きなのだ。ならばせめて女ぐらいは極上のものを選びたい----------恭四郎は轟木屋の箱入り娘のことは一切口にせず、あらかじめ調べておいた庭奥の離れへと足早に向かって行った。



 母屋から聞こえてくる騒々しい声に、澪は目覚めた。日が暮れることは小降りだった雨も今は激しくなっている。その激しい雨音をかき消すほどの怒鳴り声や悲鳴に澪は恐怖を覚える。

「な・・・・・何が起こっているの?ねぇ、ばあや?」

 何かあったら真っ先に起きるはずの乳母が起きてこない事にも不安を覚え、澪は上体を起こした。その瞬間、不意に障子が開け放たれ、ひんやりと湿った空気と共に何者かが澪の寝室に入ってきたのだ。そして澪が逃げる間もなく、非常識な侵入者は澪の口を塞いだ。

「死にたくなかったら騒ぐんじゃねぇ!」

 澪を恫喝する声からすると、かなり若い男のようである。しかし幾ら若くてもドスを効かせたその声は十七歳の娘を脅すのに充分すぎる迫力があった。

(な・・・・・何で?ばあやは?無事なの?)

 澪はきょろきょろと目だけを動かすが、周囲には誰もいないどころか気配さえ感じられない。そんな澪の様子に気が付いた若い男は鼻で笑いながら澪の耳元で囁いた。

「死に損ないのばあさんなら隣の部屋で伸びてるぜ。ま、俺じゃなけりゃ殺されていただろうけどよ。」

 殺されていた----------あまりにも物騒なその言葉に、澪は驚き目を大きく見開いた。ふと気が付けば母屋の方で騒ぎが大きくなっている。もしかしたら----------澪は男の手を振り払おうとしたが、逆に強い力で押さえつけられてしまった。

「ちょ・・・・っと、離してください!」

 口許を押さえつけていた手が離れた瞬間澪は叫ぶが、男はそんな澪を嘲笑うかのように胸許に手を掛け力を込める。

「ひとの心配をするより、てめぇの心配をした方がいいんじゃねぇか、お嬢さん。」

 その瞬間一気に胸許が晒され、羽二重のように真っ白な双球が露わになった。

「きゃあ!」

 何をされるかようやく理解した澪は男の手から逃げだそうと暴れ出したが、その瞬間鳩尾に拳を突き入れられ、息が出来なくなる。

「大人しくしやがれ!そんなに殺されてぇのか!」

 男は澪の頬に小刀をぴたり、と突きつけながら膝で強引に澪の脚を割り始めた。その乱暴な行為に本気の殺意を感じた澪は、がたがたと震えながら抵抗を止める。

(ようやく大人しくなったか。手間かけさせやがって。)

 若い男----------恭四郎は心の中で毒づきながら、澪の顔の傍に小刀を突き刺した。早くしないと一味の者にここを嗅ぎつけられてしまうだろう。その前にやることをやってしまえと、澪の膝に手を掛け力任せに両足を開いた。その瞬間、寝間着と腰巻きが太腿の付け根までめくれ上がり、真っ白な太腿からそのさらに奥の秘められた部分まで露わになってしまう。

「やっ・・・・やだっ!!」

 まだ鳩尾に拳を突き入れられた痛みは残るものの澪は反射的に膝を閉じようと力を込め、めくれ上がってしまった裾を抑えようとする。しかし、澪の手は恭四郎にはたかれ、恭四郎の手の侵入を許してしまった。澪の秘所は乾ききり、恭四郎が触れても何の反応も示さないどころかむしろ貝のように硬く口を閉ざしてしまっている。これでは逸物をねじ込むにも一苦労だろう。

(『箱入り』ってぇ奴は面倒臭ぇ。ま、あんまり簡単に股を開かれても興ざめだけどな。)

 恭三郎は未通の秘孔を探り当て、乱暴に指を突き入れながら、どうやって手中の獲物を料理していこうかと考え始めた。



 偵察の為『伊吹屋の手代』の振りをして轟木屋に上がり込んだ際、偶然に澪を見かけた。主人やその妻の性格も悪く、上三人の姉たちも男癖が悪いと店の使用人達に悪態を吐かれていた轟木屋の一族だったが、唯一澪だけは大人しく、手代や丁稚、下女達からも評判が良かった。どうやらそれは澪が十二歳になるまで父方の祖母と向島の寮で暮らしていて、悪い空気に染まらなかった為らしい。
 そしてその身持ちの堅さから間違いなく『生娘』であるだろうと皆が太鼓判を押していた。その情報は恭四郎の指がまさに今、確認している。男としては細い指の恭四郎だがそれでも一本挿れるだけでも苦労しているし、澪も苦しげに眉を顰めている。さらに見ず知らずの男に蹂躙されている嫌悪感からか、澪の秘所はちっとも濡れてこなかった。

(それでも他の奴等に犯られるよりはマシなんだぜ、お嬢さんよ。)

 男は有無を言わさず皆殺し、女も犯した後に口封じのため殺してしまうという一味のやり方では間違いなく澪も輪姦された挙げ句殺されてしまうだろう。だったら他の者達に気付かれる前に澪を手込めにして、できれば逃がし、それが駄目なら自分で殺めればいい----------澪の、小振りな乳房を鷲づかみにしながら恭四郎は思った。

(どうせお縄になれば獄門だ。だったら好きなようにやらせて貰うさ。)

 基本的に殺しには手を出さない恭四郎だったが、一度だけ包丁で抵抗された為、一人だけ殺している。それに熊五郎一門の仕事こそただ働きだったが、師匠の下で行っていた『修行』や生活のための一人働きの金を合計すれば軽く十両は超えるだろう。捕まれば間違いなく死罪か獄門----------ならば生きている間にやりたいことをやらねば損だろう。半ばやけっぱちになっている恭四郎は己の逸物を下帯から引っ張り出すと、乾ききった澪の乙女の封印に楔を打ちこむが如く、乱暴に逸物を狭い秘孔にねじ込んだ。

「いたいっ!いやっ!離して!」

 ただでさえ男を受け入れたことがない上に恐怖に身体が縮こまり、男を受け入れる状況では無いところへ強引に怒張した逸物をねじ込まれたのである。その激痛に澪は叫び、泣きじゃくるが、恭四郎は力任せに腰を打ち付ける。己の先走りと澪の出血だけが潤滑油代わりなだけに少々痙れる感じがあるがやむを得まい。恭四郎は盛りの付いた犬のように腰を振りながら、ふるふると柔らかく震える澪の乳房に歯を立てた。

(さすがに・・・・・初物はきついな。)

 恭四郎の逸物を拒絶するように、きりきりと締め付けてくる蜜壺に顔を顰めるが、それでも恭四郎は止めようとしなかった。押し入り強盗をやっていてもこんな機会は滅多にないし、それほど保たないだろう。そうこうしているうちに処女の締め付けに耐えられなくなった恭四郎は白濁を澪の中にぶちまけた。

(少し、惜しいかな。)

 性格のおとなしさが邪魔をしているが、よくよく見ると澪は華やかな顔立ちの美形である。吉原あたりに売り飛ばせば梅茶女郎くらいにはなれるだろう。それ以上に恭四郎の心に『何か』が引っかかるのだ。もしかしたら一目惚れに近い感情なのかも知れないと恭四郎は冷静に己を分析する。

(惚れる前に殺すか、それとも売り飛ばすか・・・・・。)

 いつまでも側に置いていては危険な女だ----------盗人としての本能がそう警告を発した瞬間である。不意に澪が両腕で恭四郎を突き飛ばし、開け放たれた障子から裸足のまま飛び出したのである。

「おい、待て!そっちに行ったら・・・・・!」

母屋にはすでに火がかけられており、真っ赤に燃えている。降りしきる雨もその炎を消しきれないようだ。そしてその炎を背にして何者かが澪の前に立ちはだかったのである。

「危ねぇ!」

 恭四郎が叫んだその瞬間、何者かが手にした刀が澪の喉を切り裂いたのである。そして澪は喉を手で押えながらその場に崩れ落ちた。だが男の足許から逃げだそうと動いているところを見ると即死はしていないらしい。

「ふむ、雨の所為で踏み込みが甘かったか。一太刀で始末できなかったとは、不覚。」

 刀を手にした男はそう呟くと手にした刀を振り上げ、地面に倒れた澪に刀を振り下ろそうとする。

「おい、待て!新實!」

 さすがに目の前で澪を殺されるのを見るのは堪らないと思ったのか、恭四郎が慌てて刀を手にした近寄ってゆく。

「犯らずに殺す、って手はねぇだろうが!上玉だぞ!」

 恭四郎は刀を手にした男----------新實に対して凄む。この男も恭四郎同様熊五郎一味の客分扱いなのだが、『人の血』を好む傾向があるところが恭四郎には受け入れられない。少なくとも熊五郎の子分達は『顔がばれないように』という必要から苦しませることなく殺しをするのだが、新實は今回のようにわざと相手を苦しませるような殺しをするのだ。だからこそ助けられる可能性があるとも言えるのだが、早くしなければ手遅れになりかねない。恭四郎は新實の興味を他に反らそうと躍起になるが、新實はなかなかその場を去ろうとはしない。

「ふん。乱れた姿で飛び出してくるような女だ・・・・・どうせ商家のあばずれだろう。時間の無駄だ。」

 二人の睨み合いが続いたその時である。呼子の笛と共に御用の声と火消し達の怒声が聞こえてきたのだ。

「どうやら長居は無用らしいな。」

 新實と呼ばれた男はそう呟くと、恭四郎と澪を置き去りにその場を立ち去っていった。

「畜生!こんな事だったら隣の部屋で伸びているババァを放っておくんだった!」

 恭四郎は毒づくと、澪の怪我の状態を確認する。喉を切られているが傷は思ったより浅い。だが早く処置をしなければ死んでしまうだろう。

「仕方がねぇ。ワラ店の澄庵に頼むか。ここからならそう遠くねぇし。」

 そう呟くと、恭四郎は懐から止血用の軟膏を取り出し、澪の傷口に塗りつける。そして手拭いで傷口を縛って止血をすると、澪の華奢な身体を両腕で抱え上げた。



UP DATE 2012.6.5

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今回はいきなり山田一門の誰も出てこず(あ、一応元・一門が出ているか、新實・・・私も忘れ去っている・爆)、とんでもない押し入り強盗事件から話が始まってしまいました。
ちなみにこの店、山田家のある平河町の目と鼻の先にあり、山田家とは直接の取引はないものの存在だけは知っているという設定になっております。なので火事があれば様子ぐらいは見に行く、ってところですかね。さらに恭四郎が最後に呟いている『ワラ店』というのは山田道場が面している道のことを申します。なのでかなり山田道場の周辺で事件は起こっているというところですかね。

次回は火事場の実況見分&死体の傷から山田道場に事情聴取が行われるという展開を予定しております。そしてあわよくば恭四郎&澪の話も・・・押し入り強盗の加害者と被害者の奇妙な行く末もお楽しみくださいませ(いわゆる『ストックホルム症候群』って奴です)v次回恋新予定は6/12です
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