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「紅柊(R-15~大人向け)」
癸巳・秋冬の章

枯れ紅葉、散りぬれば・其の貳~天保四年十月の休息(★)

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初冬の不忍池は蓮の花に代わって真鴨や百合鴎が主役となる。池の周辺を取り囲むように出合茶屋が立ち並ぶこの場所には、蓮よりむしろ恋にいそしむ水鳥達の方が相応しいかもしれない。そんな出合茶屋の中の一軒に、芳太郎は縫と共にいた。

「今年の紅葉、やっぱり色づきが良くないですよね、お縫さん。」

 茶屋の窓から不忍池を見下ろしながら、芳太郎は縫に声をかける。その姿はいつものきっちりとした袴姿ではなく、灰汁色をした吹流し縞の着流し姿である。一方縫は煤色の滝縞に赤朽葉色の半襟をかけている。色合わせの妙だろうか、決して鮮やかな色ではない赤朽葉色は縫の大人の色香をより引き立てているように芳太郎には思えた。

「ええ。紅葉だけじゃなく、国許のお米も今年はあまり出来が良くないとか・・・・・昨日届いた喜代さんからの手紙に書いてありました。辛うじてさつまいもだけは何とかなったとか。」

 縫と喜代は年も近いせいか仲が良く、喜代が川越へ下ってからも手紙のやり取りをしている。そして前畑、蒲生の家の者以外で銀兵衛と喜代の関係を知っている唯一の人物であった。否、むしろ家の者よりも縫のほうがこの件に関しては詳しいかもしれない。

「お喜代さんか・・・・・銀兵衛とはどうなったか、書いてありませんでしたか?」

 いくら本人の事情があったからといって、銀兵衛には江戸での稽古を諦めて貰った負い目がある。芳太郎は窓から離れながら縫に尋ねた。

「ええ、どうやら正式に復縁が決まったようで・・・・・来月に家族だけで杯を交わすそうです。さすがに『神無月』はまずいでしょう。」

 縫の一言に芳太郎は思わず吹き出す。

「ははは、確かにそうですね・・・・・じゃあ神様が留守の時を見計らうように逢っている俺達は悪人、ってことですか。」

 芳太郎は笑いながら縫の背後に周り、その華奢な身体を抱きしめた。

「・・・・・神様がいらっしゃっても、あなたは関係なく悪さをするでしょう、芳ちゃん。」

 くすくすと笑いながら縫は芳太郎を見上げ、自分に回された腕に手を添えた。



 不忍池の畔には逢引の場である出合茶屋が多い。さすがに藩邸でそうそう親しげな姿を見せるわけにも行かない芳太郎と縫も、人目を忍んで月に一度はここを利用するようになっていた。
 ここに来るのはある程度金銭的に余裕がある、奥女中と歌舞伎役者や大店の後家と若い手代など後ろ暗さを漂わせた二人連れが殆どだ。だが、こんな場所でなければ何度も情を交わすことは難しい。芳太郎も決して金銭的に余裕が有るわけではないが、月に一度の出合茶屋の料金くらいなら手代わりの小遣い代で賄えると、少々背伸びしてこの茶屋に来ていた。

「お縫さん・・・・・。」

 芳太郎は背後から縫を抱きしめたまま首筋に唇を這わせ、縫の胸許を広げてゆく。すると縫の柔らかい乳房が露わになり、ひんやりとした冷気に晒された。

「芳ちゃ・・・・・。」

 芳太郎を呼びかけようとした縫の唇を芳太郎の唇が塞ぎ、縫の舌を絡めとる。その性急さには心なしか焦りが含まれているようであった。
 逢うだけなら十日に一度、だが身体を重ねることができるのは茶屋に出向ける一度しか無いだけに急く気持ちは勿論あるだろう。だが、芳太郎を煽り立てているのはそれだけではなかった。

『ああ・・・・そこお!いいのぉ!!』

 どこからともなく聞こえる女の嬌声―――――奥女中か、どこかの未亡人だろうか。艶かしい声が芳太郎の欲望の火に油を注ぐのだ。あんな風に縫を乱れさせ、我が物にしたい―――――芳太郎は縫の唇を開放すると、その柔らかい身体をまさぐりながら耳朶を噛んだ。

「あふっ。」

 鼻にかかった甘い吐息が縫の唇から漏れる。決して美人ではないが、芳太郎に抱きすくめられ、頬をほんのり上気させているその横顔はどこまでも魅惑的であった。

「お縫さん、もっと乱れて・・・・・。」

 まるで子供が甘えるように縫の耳許で囁くと、芳太郎は硬く凝った縫の乳首をそろり、と撫で上げる。

「やっ・・・・・それ、だめぇ!」

 痺れるような感覚から思わず逃げ出そうとしたが、却って芳太郎の胸に倒れこむ形になってしまう。乱れた裾からは真っ白な太腿が半ばまで露わになり、膝も少し開いてしまっていた。さらに胸元は帯の辺りまではだけてしまい、欲情のためか小刻みに震えている。

「本当に感じやすいんだから・・・・・ますます可愛がりたくなるじゃないですか。」

 芳太郎は淫らに咲き誇る縫を抱きしめたまま、敷かれた布団に転がった。二つ枕の一つに縫の頭を乗せると、芳太郎は覆いかぶさるように縫に跨り、軽く接吻をする。

「何で井藤さんや田辺さんがお縫さんを離縁したのか・・・・・俺にはまったく判りません。こんなに可愛い人を手放すなんて信じられない。」

 芳太郎の腕の中では六歳も年上とは思えないほど縫は若々しく、愛らしかった。さらに芳太郎と身体を重ね始めたころから大人の色香を漂わせ始め、この頃では再婚の話が上がったり、離縁した田辺が復縁を持ちかけているという嫌な噂も耳にする。

「ねぇ、お縫さん。田辺さんと復縁なんて、しないでしょう?」

 柔らかく熱を帯びた乳房や子供を産んだとは思えないほど細い腰に手を這わせながら芳太郎は縫に尋ねる。

「する訳・・・・・ないでしょう。だってあの人は・・・・・あんっ。」

 不意に縫が頤を仰け反らせ、嬌声を上げる。話に気を取られた縫の隙を突いて芳太郎の手が縫の秘所に伸び、ぷっくりと膨らんだ花芽を擦り上げたのだ。縫にとっては唐突過ぎるその刺激に縫は翻弄されるが、芳太郎はわざと縫に質問の答を強要する。

「田辺さんが・・・・・お縫さんに何をしたんですか?教えてくれなければもっと悪戯しちゃいますよ。」

 まるで悪さを仕掛ける子供のように囁くと、芳太郎は花芽を擦り上げている指の動きを早め、空いた手の指を二本、とろとろに蕩けて芳太郎を受け入れるばかりになっている蜜壷に挿し入れた。その瞬間、縫の蜜壷はきゅっ、と芳太郎の指を締め付ける。その若い娘のような締め付けに満足しながら、芳太郎は蜜壷の中で指を蠢かした。

「芳ちゃん!もう・・・・悪戯は、やめ・・・・・ああっ!!」

 芳太郎の手を押さえつけながら縫は首を横に振って快感を緩めようとするが、それを許す芳太郎ではない。

「じゃあ田辺さんが何をしたか教えてください。でないと・・・・・。」

 芳太郎は蜜壷に挿し入れている指をさらに一本増やし、花芽を嬲る指も増やし少し強く摘む。さらに乳房を口に含むとこりこりと凝った乳首に軽く歯を立てたのである。さらなる強い刺激に縫は溺れそうになるが、生来の負けん気の強さと変な生真面目さの為、律儀にも芳太郎の質問に答えてしまう。

「・・・・・閨では人形みたいに無反応なくせに・・・・・務めには余計な口を挟んで、って・・・・・はぁっ、ん・・・・そんな、激しくしちゃ・・・・・ああっ!」

 蜜壷の中や花芽で激しく蠢く芳太郎の指に縫は翻弄され、縫は嬌声を上げ続けた。剣士としては芳太郎の指はむしろ細い方だが、それでも剣だこのできた節くれだった指はそこそこの太さを持っている。その指で縫の一番繊細な部分を絶妙な手管でかき回されているのだ。感じるなと言う方が無理だろう。自分の腕の中で乱れ続ける縫に満足しながら、芳太郎は縫の耳朶に顔を近づけた。

「どこが人形みたいなんでしょうね・・・・・こんなに可愛らしくて貪欲で。ますます俺を夢中にさせるんですから、お縫さんは。」

 芳太郎は縫に甘く囁きながら下帯をずらし、硬く強張った己の逸物を引っ張りだす。そして蜜壷を嬲っていた三本の指と入れ替えるように縫の蜜壷に己の逸物を突き入れた。決して細くない指以上に太く、長い芳太郎の逸物は縫の蜜壷の最奥まで侵入し、それを縫の蜜壷は柔らかく、だけと強く締め付ける。その心地よさに溺れながらも芳太郎は不安を拭い去ることが出来ず縫の頬に己の頬を擦り付けた。

「いつか絶対に・・・・・お縫さんを俺の妻にしてみせますから。絶対に復縁なんか、しないでくださいね!」

 もし復縁の話が具体化してしまったら、自分は田辺を斬り殺しかねないと芳太郎は思う。そんな事がないように―――――芳太郎は愛しい人を逃さぬように、強く縫を抱きしめたのだった。



 紅葉が色づく前に枯れてしまうのは江戸から十三里離れた川越でも同様であった。そんな枯れ紅葉がはらはらと喜代の手元に落ちてくる。それに気が付いた喜代はふと視線を手元の手紙から空に向けた。

「きれいな空・・・・・これで紅葉が綺麗に染まっていたら素敵なのに。」

 一年前とはまるで逆の幸せの中に喜代はいた。離縁され、泣き暮らしていた去年の紅葉はとても美しかったと聞いている。だが、一歩も家の外に出なかった喜代はその紅葉を見ていないのだ。否、たった一枚だけ、銀兵衛が娘の喜美に持ってきたという紅葉の色だけは見た。その悲しいまでの紅に涙をそそられたものである。
 その紅葉に比べ、今年の紅葉はお世辞にも美しいとはいえない。紅葉というよりむしろ枯葉といったほうが良いだろう。それでも喜代にとっては美しく感じられた。

「喜代!帰ったぞ!」

 玄関から銀兵衛の声がする。まだ届けは出していないが喜代の兄の計らいですでに親子三人―――――喜代の腹の子を入れたら親子四人で蒲生家の隣に所帯を構えていた。

「お帰りなさいませ、旦那様。」

 弾む声で玄関に出向いた喜代だったが、いつにない銀兵衛の厳しい表情に足が止まる。

「どう・・・・・なさったのですか、旦那様?」

 不安そうな喜代の表情に、銀兵衛は作り笑顔も見せること無く真剣な眼差しで口を開いた。

「・・・・・ああ。ちょっと、否、かなり厄介な男が江戸に舞い戻ってきたとの手紙が早飛脚で届いてな。その男が万が一川越に入ったら『斬り捨て御免』で一刀両断にしろと・・・・・建前上は道場からの手紙だが、実際は幕府からの命令だ。」

 そう言いながら銀兵衛は家斉の花押が入った斬り捨て御免の許可証を喜代に見せた。

「ば・・・・・!」

 その一言に喜代は驚きのあまり思わず自らの口を塞ぐ。川越藩主からの命令ならいざしらず、幕府からの直接命令、しかも斬り捨て御免ともなればあまりにも物騒過ぎる。
 それに川越は江戸に近いとはいえ、ここ十年以上死罪になるような犯罪者は一人も出していない平和な藩だ。もし凶悪犯がやってきたとしても藩の同心では対応できるか甚だ心許ない。

「心配するな、喜代。川越は宿場の通過点だ。もし逃げるとしたらもっと遠くに逃げるだろう。」

 銀兵衛は怯える喜代を抱きしめる。ただでさえ微妙な時期である、できるだけ精神的な負担をかけないようにと銀兵衛は喜代の頭を撫でてやりながら喜代を落ち着かせる。

(今は・・・・・新實の詳しい話はしないほうが良さそうだな。)

 山田家の事件が起きた時、銀兵衛は入門したての若者だった。死んだ青木彦次郎―――――幸の実の父親には目をかけてもらっていただけにその若すぎる死が悔やまれてならない。

(やっと取り戻した幸せを、新實になんか壊させやしない。俺は彦次郎さんと違って新實の本性を知っているんだ。絶対に喜代を・・・・・この幸せを守りぬいてみせる!)

 怯える喜代の肩をそっと抱き寄せながら、銀兵衛は決意を固めたのだった。



UP DATE 2012.10.09

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『枯れ紅葉、散りぬれば』の二話目は出合茶屋で逢瀬を重ねている『厄介な恋のまっただ中』、芳太郎と縫と、一山越えて穏やかに川越で暮らしている銀兵衛&喜代を取り上げさせていただきました^^
少しずつですが逢瀬を重ねている芳太郎達ですが、恋する女は人目を引いてしまうんでしょうかねぇ。急に色っぽくなったなった縫はモテモテのようです。それだけならともかく離縁した前の旦那からも復縁を迫られているようで・・・厄介なことにならなければ良いんですけどねぇ。特に芳太郎は殿のお気に入りの御徒ですので、別の若い嫁を押し付けられる可能性があります。それをうまく避けていけるのか・・・以後お楽しみに^^

一方銀兵衛達は来月内輪で杯事をすることになりました^^しかも喜美ちゃんの弟か妹までできたようで(*^_^*)為右衛門のところと同い年の子になりそうです♪ただ、平和な街・川越にも新實の影は及んでいるようで・・・できることなら通りすぎていってもらいたいものです><

次回更新予定は10/16、もう一組のおめでた・為右衛門夫婦と一人寂しい猶次郎あたりを取り上げたいと思いますv
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